満月
本格的に夏めいてきた。
少し外を歩いただけで、背中がじっとりと汗をかき始める。
べたつくおでこを指の腹で軽く抑えながらバスを待つ。
空も近くなったし、日も長くなったなあと思う。
入道雲が青い空を占領している。
この手で掴んだらどんなだろう。
追いかけても、追いかけても、きっと捕まえられない。
いつかあの雲の中を潜ってみたいのに。
今年、7回目の満月は昨日だった。
あとは欠けていくだけ。
空に浮かぶまんまるお月様。
静かに住宅街を照らしている。
月に見守られているようで、心が凪いだ。
生ぬるい風が優しく頬を撫でる。
こんなひとりぼっちの夜は至高。
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