ジュリエットからの手紙 (映画)
今回の好きな話は、映画「ジュリエットからの手紙」です。
イタリア北部のヴェローナでは、毎年2月になると街がバレンタイン一色になるのだとNHKの番組で知った。赤いハートをモチーフに通りの店は飾り付けられ、ハート型のイルミネーションもあちこちに出る。かわいい。非常にかわいい。菓子店などではハートのお菓子も作られていたりして、街全体がかわいらしくロマンチック。
なぜヴェローナがそうなのかというと、ここにはジュリエットの生家があるからだそう。イタリアには行ったことがないので調べた限りの情報だけれど、そこにはジュリエットの像があって世界中から恋に悩む女性たちがここを訪れる。ジュリエット像の左胸に手を当てて恋の悩みの解決を願ったり、カップルは真実の愛を誓ったりする。
悩みを持って訪れる人の中には、悩み事を書いた手紙を置いていく人もおり、この手紙は「ジュリエットの秘書」と呼ばれるボランティア団体がすべて回収し恋の悩みからの解放をお手伝いしてくださっている。イタリア語だけでなく、英語やフランス語やスペイン語、日本語など様々な言語で書かれた手紙にあわせて、複数の秘書がそれぞれに得意な言語で返事を書いてくれている。番組では、複数いる秘書のひとりにスポットをあてて彼女が返事を書いた相手のことも追いかけていた。
バレンタイン一色になる期間は祭りとして街が賑わうのだけど、その祭りのフィナーレを飾る「ジュリエットの吐息」というイベントもまたロマンチック過ぎてため息もの。ハート型をした赤やピンクの紙ふぶきが街の広場に降り注ぐ。無数に近いハートが降ってくるわけだが、ほんの少し白いハートが混ざっていて、これを手にできた人は幸運に恵まれるのだという。白いハートはほんの少しなので手に出来る人は少ないらしい。
そしてこのハートの紙吹雪を降らすスタッフもまたボランティアだというから、街の皆さまの「愛」はすごい。ジュリエットの生家があることの誇りや義務感、それからジュリエットの街というイメージも大切に大切にされてる。
という風な番組を見てから、ヴェローナに行ってみたいと思っていたころ、この映画が公開された。もうテーマからかわいらしいし観たいリストに入れていたのだけど映画館では見損ねた。いずれ借りるかなんかして観たいと思っていたら、Amazonプライムビデオで配信されていて、これは観るタイミングだ!!と思った。
あらすじ
ニューヨークでライターをしている女の子が、彼と共に訪れたイタリアで様々な運命に出会う話。(あらすじ短すぎ)
観終わって
ゴリゴリのラブストーリーで、冒頭の出会いからして結果が見えていたのだけど、それでも楽しめた。
主人公はいくつか運命の出会いを果たす。一つ目は、ジュリエットの生家。ここに来なければこの話は成立しなかった。ジュリエットに関わらなければ、ソフィーは彼とワイン畑視察へ行ってアメリカに帰国し結婚するだけだった。そんなありきたりな、異国で自分を放っておくような彼と結婚して自分はそれでいいのか・・・そんな悩みをソフィーは胸に抱くことになったと思う。でもそれはそれで作品になりそうだけど(笑)
二つ目は、その生家で見つけた一通の古びた手紙。日付をみると50年前で、留学中に現地の男性と恋に落ちて駆け落ちを約束したけど勇気が無くロンドンへ帰ってしまった、という懺悔にも似た内容だった。これを見つけたのがソフィーで、ジュリエットの秘書たちの仕事を手伝うことにしたソフィーはこの手紙への返信を任される。
三つ目は、その古びた手紙の差出人・クレアの孫・チャーリー。冒頭でもう運命の出会いを果たしちゃってるので想像に難くないわけだけど、過程が胸キュンなのでもう少しお付き合い頂きたい。
チャーリーから、うちのばあちゃんに余計な手紙を書いたのはお前か!と一方的に文句を言われたソフィーは、去っていく彼を追いかけて差出人・クレアと対面する。手紙をきっかけに、元カレが生きてるならあの時のことを謝りたくて元カレを探しに来たそうで、孫も大きくなったしご主人も亡くされてロンドンで退屈なのかなーなんて思った。もうここで、ああ二人はアレね・・・ムフフ・・・♡と想像がついてしまった(笑)だけどラブストーリーなので!結果は判りきってても大丈夫です。
ソフィーはどうせヒマだし、この事がネタになるかもしれないと、ライターであることを告げて同行させてもらうことになり、ここから軽快なBGMが流れ出す。車窓にはイタリアのきれいな風景が流れる。これが気持ちがいい。天気もいいし画面が明るくてたのしい。湿度が低そうな空気感もいい。
ソフィーとチャーリーの生い立ち、クレアと元カレのいきさつなどをお互いに把握していきながら、元カレ・ロレンツォを探す旅は、クレアが留学していた地域に限定してロレンツォという名前の男性を訪ね歩くことになった。数人のロレンツォに的を絞って、だけど訪ねたロレンツォはいずれも別人。
君の求めるロレンツォが居なかったらココへ戻っておいでと手を握ったり、もし僕が彼だったら君を離さないのにと花を寄越したり、海パン一丁でクルーザーから降りてきたり、女房から疎ましく扱われてたりした。いかにもイタリア人!のような人たちで、イタリア人と関わったことはないけどテレビなどで見聞きするイタリア人ぽくて楽し(笑)
何人ものロレンツォと対面して疲れた頃、もしかしたらもうロレンツォは居ないのではと、あきらめた。帰ることを決めた日の夜、ソフィーとチャーリーはイイ感じになる。
「明日帰るなんてまるで日曜の夜みたいな気分だ。月曜が来て欲しくない」
「ほんとね…「学校」は好きだったのに」
こんな風な会話がなされるのだけど、この時ソフィーが言った「学校」とは、今彼のヴィクターのことであろうと思った。ヴィクターのことは好きなはずで結婚も決まっているのに、この数日間がとても楽しくて、何この気持ち・・・みたいな。そうんなでしょう、ソフィったら!その気持がお互いに近づいてしまったのね。マリッジブルーかと思ったけど、ヴィクターがアレじゃあブルーになるかもしれないなあ・・・。ただヴィクターの引き際は男らしかったからそこだけ褒めたい。
ソフィーとチャーリーのアレを見ていたクレアの振る舞いがかわいい。ニヤニヤして、孫の恋の行方を探っている感じ。翌朝、車に乗り込む時も足を伸ばしたいから、と、ソフィを助手席に座らせては、後ろの席から前の二人をニコニコして見てたり、クレアかわいい。
そしていよいよ運命の出会いのラスボスである元カレ・ロレンツォが現れるわけだけど、この時のクレアのかわいいことったらないし、本物のロレンツォのイケメンなことったらこの上なく、まさにもう、ロレンツォ!!!。
いやだって登場の仕方がズルい。これは実際に観てもらいたいから書かないけれど、かっこいいし、ロレンツォが元カレじゃなくても、ロレンツォ・・・あなたを探してた・・・♡ってなる。みんなクレアになる自信ある。
そして、ようやく会えたけど、お互いにもうジジイババアだし遅かった、と落ち込むクレアに、ロレンツォがロレンツォたる力を遺憾なく発揮!!!演者さんはお年を召した方なのだけどとてもこう・・・すごくセクシー。胸キュンしっぱなしで苦しくなる。ギャランドゥすごそう。知らんけど。
ラストは予想通りの展開。ソフィー演じるアマンダ・セイフライドさんがかわいいしスタイルよくてハーフアップの髪型も似合っていて英語も聞きやすい。挿入歌はテイラーが歌う「LOVE STORY」。これがすごく合っている。テイラーも好きだから、まさかここで流れるとは思って無くて、嬉しかった。歌詞にロミオとジュリエットが出て来るしピッタリ。
どうでもいい情報だけど、チャーリー役の方は私の従弟に似ている。
原題と邦題問題
問題というものでもないけど、私は邦題がちょっと好きじゃない。だいたいが内容と合ってないし、何だこれ!のようなタイトルがださい。この作品の原題は「Letter to Juliette」なので、ジュリエットへの手紙、と訳せるはずだけど、邦題は「ジュリエットからの手紙」。
手紙の方向が違う気がするんだけどなあ・・・けど、ソフィが見つけた手紙は、結果的に、50年前のジュリエットが残した手紙で、50年後のジュリエットが出した手紙になったんだろうから、だからどっちの解釈でもいいんだろうな。
おわりに
他人に何かアドバイスしたい時、それは自分にも当てはまり事だったりして、自分を励ますためだったりするし自分が気づくきっかけになったりもするもので、だから、クレアへの手紙は、ソフィにとって、真実の愛(コレが何かはアレだけど)を目指すきっかけになったんだろうな。クレアが手紙を残したのは結果的にジュリエットへあてた手紙になったんだな…という深読みをして楽しんでいる。
ラストで、クレアはソフィにとってのジュリエットになっていたし、最後までソフィを応援してくれていてとってもあったかい映画だった。ロマンチックな映画。日々穏やかに過ごしていてなんかちょっと退屈〜・・・・と感じている時に観るとちょうどよい気持ちになれる。主人を大切にしようとかそいういのじゃなくて、それもあるけども、そういうのじゃなくて。
#イタリア #クリストファーイーガン #フランコネロ #アマンダセイフライド #映画 #シネマ
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