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【声劇台本】なでしこの君へ〜第二話

《あらすじ》

舞台は昭和初期の田舎町。
勇から夏祭りに誘われたキミ。
二人で出かけるのはこれが初めてのこと。
緊張しつつも夏祭りを楽しむ二人。

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《前回のお話》


『第二話 なでしこの君へ』

キミ 「お待たせしました。待たせてしまってごめんなさい。浴衣着るのに時間かかっちゃって…」

勇 「いえ、大丈夫ですよ。待ってる時間も楽しいですから」

キミ 「そんな…からかって…」(はにかみながら)

勇 「さ、行きましょうか?」

キミ 「はい」



(虫の声)


勇 「あの…浴衣、似合ってますね」

キミ 「…ほんとですか? 良かった!  ありがとうございます」

勇 「とても美しいですよ」

キミ 「そんなこと言ってくれるの、勇さんだけですよ」

勇 「そんなことないですよ。キミさん、綺麗だから…」

キミ 「きゃっ!」(つまずいて転びそうになる)

勇 「危ない!(転びそうになるキミを咄嗟に抱きかかえながら) 大丈夫ですか?」

キミ 「す、すみません…! ありがとうございます。大丈夫です」

勇 「あ… すみません…、つい…。あの… 良かったら、手、繋ぎませんか?」

キミ 「はい…」(照れながら)


(お祭り会場)


勇 「一回りしてみましょうか」

キミ 「はい」

勇 「気になったお店があったら遠慮なく言ってくださいね」


キミ 「はい。ありがとうございます」


勇 「なんだか賑やかですね。あっちに行ってみましょうか?」


キミ 「そうですね! なんでしょうね?」


勇 「あ…! 猿回しですよ! ほら!」


勇 「見えますか?」


キミ 「はい! 見えます! わぁ、すごい!あんなに上手に回って!」


勇 「あはは。ほんとすごいですね! うまいもんだなー」


キミ 「かわいいですね! お猿さん、初めて観ました」


勇 「僕もですよ! 観れて良かった!」



(間)

 

勇 「ついでに参拝して行きましょうか?」


キミ 「そうですね。行きましょう。」


(神社の鈴を鳴らす)

(二人とも柏手を打つ)


勇 「じゃ、夜店、回りましょうか。どこ行きたいですか?」

 キミ「そうですね… 金魚すくい、なんてどうでしょう?」

勇 「良いですね! やりましょう!」

キミ 「うふふ。金魚すくい、得意なんですか?」

勇 「まぁ、見ててくださいよ」

勇 「すいませーん。金魚すくい、一回!」

キミ 「頑張ってください!」

勇 「よぉ〜し。キミさん、どれが良いですか?」

キミ 「では、あの赤い子を…」

勇 「承知しました!では…」


(金魚が跳ねるシーン)


勇 「あぁ…! 逃げられた!」


キミ 「あはは。難しいですねぇ」

勇 「すみません、捕れなくて…」

キミ 「いえ…良いんですよ。あの… 私もやってみてもよろしいですか?」

勇 「もちろんです! ぜひ!」

キミ 「はい。なんだか緊張しますね」

勇 「金魚すくい、初めてですか?」

キミ 「ふふ。一度だけやったことあるんですよ」

勇 「頑張ってください!」

キミ 「はい…!(間)よいしょっ…!」

勇 「わ! 捕れた! すごい! すごい! キミさん、すごいですよ!」

キミ 「うふふ。私もびっくりしてます」

勇・キミ (2人で笑う)


(間)


勇 「かわいいのが捕れて良かったですね。 


キミ 「はい。あ…うちに金魚鉢、なかったんでした。明日買いに行きます」


勇 「明日は一緒に行けませんが、今度見に行っても良いですか?」


キミ 「え…。はい… いつでもいらしてください」(はにかみながら)


勇 「他に何か欲しいものありますか?」


キミ 「そうですね… あの… 飴細工が気になります」


勇 「良いですね! 買いましょう!」

キミ 「ありがとうございます。あの… 勇さんもお好きなもの買ってくださいね」


勇 「ありがとうございます。じゃあ、僕は団子を食べようかな」


(間)


勇 「そろそろ帰りましょうか?」 

キミ 「そうですね… もう遅いですもんね」

勇 「あ…ちょっと待ってて下さい」


(勇は何やら買いに行った)


勇 「ほら、これ!」

キミ 「あ…なでしこ…」

勇 「今日は曇ってて月が見えないから、夜道は危ないかと思って。そしたら、キミさんの浴衣の柄と同じ、なでしこの柄があったから」

キミ 「素敵なちょうちんですね。こんな柄があるなんて」

勇 「一目惚れして買ってしまいました」

キミ 「まぁ!」


勇 「一目惚れはなでしこだけじゃないんですが…」(独り言のように呟く)  

女 「え…?」


勇 「あの… また誘っても良いですか? 見せたいものがあって」


キミ 「はい。もちろんです。ぜひ!」


勇 「良かった! じゃあ、今日は帰りましょうか。
では…」(手を繋ごうと差し出す)


キミ 「あ…」


勇 「また転ばないように、ちゃんと繋いでますからね」


キミ 「はい…」(照れながら)


赤い金魚となでしことキミの頬も赤く染まっていた。

ー第三話へ続くー

https://note.com/fuwari3333/n/n6ea1f71bb235

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表紙イラスト:山浦大福(Twitter@daih033)


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