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生理痛への本質的な対策〜忘れられた「月経血コントロール」の伝説~その一

ひふみ国師(以下「ひ」):さて、今日は女性限定の講座をやるよー。

女子一同:よろしくお願いします!

ひ:さて、私は、人に何かを話すのはけっこう好きな方だと思ってる。思ってるんだけど、今日は若干の不安もあるんだ。

まほ(以下「ま」)テーマがテーマですもんね。

ひ:そう、今回話すのは「女性の身体」について。男性が女性の身体について女性に向けて話すというのは・・・いろんな意味でヘンな感じがするもんだ。
 実際のところ、私は身体のことをもう20年学んできていて、多くの人の身体を楽にするお手伝いをしてきたが、決して専門家というわけではない。

ま:確かにそうかもしれないけど、師匠が話すということなら大丈夫ですので、安心して話してください!

あいら(以下「あ」):セクハラとか言いませんから!(笑)

ひ:ありがとう(笑)。今回は、聞き手のみんなの後押しというのがどうしても必要だ。
 でも、後押しをもらえるのであれば、私はこれを絶対伝えておかなければならないと思っているんだ。

あ:師匠が「絶対」って言うの、珍しいですね。

ま:私は今回のお話、それこそ「絶対」聞きたい!って思ってました。だって、長い間悩まされていることですから。

あ:ホントにそうだよねー。これってもう、女にとってどうしようもない、大変なことだからねぇ。

ひ:では、盛り上がってきたところで今回のテーマを改めて。今回は「月経」についてのお話だ。
「何で男のあんたが知ってんだい」って感じかもしれないけど、女性のみなさん、月経は・・・すごい!(笑)

ま:すごいんですか!?

ひ:すごいとも(笑)。今日はまずはそこから話を進めていって、月経痛の原因と対策まで伝えるよ、

あ:やったー!

ひ:では早速はじめよう。


失われた「からだの知恵」

ひ:便利なものがあふれている現代と違って、昔の人は、生活の中でからだを使う機会がたくさんあった。
 「おじいさんは山へ芝刈りに。おばあさんは川へ洗濯に」じゃないけど、掃除や洗濯も、まとめて放り込んでスイッチを入れておけばよい今とは違って、昔は手で洗ってた。農作業や畑仕事も、使うのはトラクターじゃなくて自分の腕と道具だね。また服装は洋服ではなく着物だし、移動手段も基本は徒歩。しかもとても長い距離を歩いていて、坂本龍馬なんかは親戚に会いに往復8時間くらい歩いていたと言われている。
 これだけ聞いていると「昔は不便で大変だったんだなぁ」と思うけど、その一方で、昔の日本人は豊かな「からだの知恵」を代々伝承していたんだ。
 そのひとつが「月経血コントロール」だ。

あ:月経血コントロール!?

ま:どういうことですか!?

ひ:うん、これは男の私が言うのはちょっと表現が難しいところなんだけど、現代の女性は、ほとんどの人は月経血を生理用品にただ「垂れ流し」にしているんだというよね?
 そうではなく、昔の女性、特に明治後半から大正前半より前に生まれた女性の多くは、おしっこを我慢しておいてトイレで出すみたいに、月経血をとめておいて、トイレに行って腹圧をかけて出す、ということをしていたんだ。

あ:えー!!ほんとですか!?

ひ:うん、これは実際に、三砂ちづる先生という女性の研究者がフィールドワークをして突き止めていることだ。
 それこそ、明治後半から大正前半以前に生まれた人のインタビューもあるし、着物を着る昔の生活が残っている京都の芸妓さんの証言もある。
 しかも、「月経血コントロール」を現代に復活させる試みもあって、実際に多くの人が月経血コントロールに成功しているんだ。それまでは前後合わせて12~13日くらい続いていた月経が、月経血コントロールができるようになるためのトレーニングに参加してからは、5日間でスッキリ終わるようになったとか、そういう報告が多く届いている。
 さらに、身体面での効果だけでなく、自分のからだの状態がよりわかるようになったとか、他人の意見に振り回されなくなったとか、精神面でのプラスの効果も報告されている。

ま:すごいです!!

あ:ちょっとまだ信じられないですけど、ワクワクして来た~!

ひ:昔の日本人の能力というのは、ちょっと想像を絶したものがあるよね。彼女たちは、下着や生理用品もない中で、より快適なからだの使い方をしていたんだ。
 でも、これはそういう昔の日本人のすごさを理解するための話でもあるんだけど、そのからだの可能性は、現代の女性たちにもしっかりと残っていて、そのやり方を「思い出す」ことで、昔の日本人が持っていた豊かなからだの知恵を取り戻し、便利になった現代社会でより幸福に生きていけるんだよ、という話でもあるんだ。
 当然、この「からだの可能性」は、君たちの中で見つけてくれるのを待っているよ。からは、向き合えばちゃんと答えてくれるんだ。

ま:希望に満ちたお話ですね・・・!

「ポジティブ月経」でいきましょう

ひ:日本の産婦人科医療の第一人者の松本清一さんという人がいるんだけど、まず、この人が言った言葉を紹介しよう。
実は月経をポジティブにとらえるだけで、月経痛というのは減るものなんですよ

ま:月経をポジティブにとらえる・・・かー。考えたこともありませんでした。

ひ:月経痛やその煩わしさに長い間悩まされてきた人は、「このどこにポジティブ要素があるの!?」と思っても無理はないよね。
 でも実は、月経が辛いから考えがネガティブになっている、のではなくて、逆に月経をネガティブなものと考えているから、月経が辛くなってくる、という面もあるんだ。

あ:どういうことですか!?

ひ:例えば、心と体が深くつながっている、ということを証明するために行われた心理学の実験があるんだけどね。

あ:ふむふむ。

ひ:この実験はまず、被験者が風邪を引いたつもりになって、風邪の症状を想像するところからはじまるんだ。
 さらに、風邪を引いたという思い込みをよりリアルにするために、室内にはティッシュやチキンスープやワセリンなど風邪を思い起こさせるようなものを置き、さらには人が咳をしたりくしゃみをしているビデオも見せたりした。 
 ・・・まぁ、ずいぶんシュールな光景なんだけど(笑)。

ま:確かに(笑)。

ひ:で、その6日後、この人たちに電話をかけて今どんな感じか確認してみたんだ。
 すると、なんとこの人たちの38%もの人たちが、実際に風邪を引いたんだ。

あ:えー!!

ひ:しかも、お医者さん役の人・・・この人は実際には実験スタッフなんだけど(笑)、その人が「あなたは風邪の兆候がありますね」と告げると、その割合はさらに高まったんだ。

ま:えー!!おもしろい!!参加者さんにはお気の毒ですけど・・・(笑)。

ひ:このようなことは、このようなネガティブなものだけでなく、ポジティブなものも含めて多くの実験で確かめられているんだ。詳しく知りたい人は『マインドフル・ボディ』という本を読んでみて。
 さて、この例を出して私が言いたいのは、人というのは、自分がそう思うと、現実の方もそれに近づいて行ってしまう、ということなんだ。

あ:なるほど、ということは・・・。

ひ:そう、月経についても、「ネガティブなもの」という刷り込みを受けたことで、「月経痛がひどい身体」へと、自ら変わっていってしまった可能性がある、ということなんだ。
 実際に、月経がはじまったとき、お母さんが「これで女になってしまった。ああめんどくさい」と嘆息したのを覚えているという女性も多いそうだね。
 またお母さんがそう思っていなかったとしても、そのお母さんが月経をネガティブなものだと捉えているのなら、その空気は間違いなく娘にも伝わってしまうだろうね。

ま:あっ!私の場合は、そのときお母さんが「何か食べたいものある?」って優しく聞いてくれて。そのときは嬉しかったんですけど、よく考えたら、優しくしてくれるのは、お母さんの中に「かわいそう」っていう思いがあったからなのかもしれないと、今気づきました。
 そのときから私は、無意識に「これはいいことじゃないんだ」っていう思いを重ねてここまで生きてきたと思います。

あ:なるほどー。私のお母さんはすぐ対応してくれたって感じですけど、「おめでとう」という空気はなかったですね(笑)。

ひ:ふむふむ、貴重な証言をありがとうね。今ふたりが言ってくれたみたいな経験を、きっと多くの女性がしているんだろう。
 初潮の体験についてはいろいろあると思うんだけど、最初は何ともなくとも、周りの子が苦しんでいるのを見たりして、だんだん自分も・・・という人も多いのかもしれないね。

あ:そうかもしれないですね~。こういうことってなかなか女の子どうしでも話さないから、他の人がどうだったかっていうのはあんまりわからないですね。

ひ:そこがこの話題の難しいところだよね。だから一刻もはやく、なるべく多くの女性たちにからだの知恵を伝えていくことが大切だし、できれば学校教育でもやってほしいと、私は思っているんだよね。
 さて、では月経をポジティブに考えるために、ちょっと視野が広がるお話をしていこうか。

ま:はい!

アメリカのインディアンにとっての月経とは?

ひ:実は、月経をポジティブに考える文化というのは、そんなに珍しいものじゃない。
 そもそも日本だって、娘が初潮を迎えたら、その日の夕飯にお赤飯が出てきた、というのはよく聞く話だし、さっきの松本先生の話では、田舎の方では娘が一人前になったといって家の前に旗を立てたりしていたところもあったのだそうだよ。

あ:私の家でも、お赤飯食べましたよ(笑)。

ひ:伝統を大切にするすてきな家庭だね(笑)。ただ、現代の文化だと、お赤飯が出てきてもそれがどういう意味なのかということを、当事者である女の子がしっかりと理解するというのは珍しいだろうね。
 でも、月経をとても大切に考えていて、その意味をていねいに伝える文化もまだ残っているんだ。
 その文化を持っているのが、アメリカのインディアンだと言われている。
 アメリカのインディアンの人たちは、「月経のたびに女は生まれ変わる」と考えているんだそうだ。
 このことは三砂ちづる先生の『オニババ化する女たち』という本に書いてある。なので、その点について触れている箇所を読んでみよう。

アメリカインディアンの人たちは、初潮を迎えた女性にお祝いをして、「ああ、これであなたも毎月生まれ変わるチャンスができた、女はいつでも変わることができる、毎月、月経を通じて生まれなおしができるのだよ」というふうに伝えていって、月経を喜んで迎えるといいます。日々を生きていくことは、ときおりそれだけでとてもつらいこともあります。何があっても、毎月、月経ごとに、全部流していけるよ、生まれ変わることができるよ、という考え方は、次の世代へのやさしさに満ちていると思います。

『オニババ化する女たち』三砂ちづる 光文社新書 2004年 p52-53

ま:そっか・・・あれは、日々を生きる中で私の中に溜まっていた、悪いものを出してくれているんですね・・・まるで神社でお参りするみたいに。

ひ:そうだね。人間のからだを構成する細胞は、まさに日々「生まれ変わって」いる。生まれ変わることで、肌はみずみずしい状態を保っているんだ。
 余談だけど、お肌の細胞の生まれ変わりの周期が月経と同じ約28日というのもおもしろいよね。
 お肌の細胞が生まれ変わってよい状態をキープしているのと同じように、月経をきっかけに女性は生まれ変わり、いつもよい状態で人生を歩んでいくことができる、ということではないだろうか。
 月経というのは、子宮の細胞くんや細胞ちゃんたちが、ご主人さまにそのことを思い出してもらおう、とがんばっている証拠なのかもしれないね。

あ:そっか~。子宮も細胞というたくさんの命が集まって、日々がんばってるんですね。健気だねぇ、よしよし。

ま:なんだか、自分のからだや、月経が愛おしくなってきました。

ひ:それはすてきなことだね。
 これからぜひ、月経が訪れたら、1ヶ月を振り返って、自分のからだや心はどうだったかな?と振り返ってみてほしい。
 そして、「疲れや不調をスッキリなくして、また新しく生まれ変わろう」という気持ちを持ってみてほしい。
 その意識をちょっとでも持てば、女性たちはどんどん美しくになっていくはずだ。外側も内側もね。

あ:はい!

「美の基準」と月経

ひ:もうひとつ、月経がポジティブに感じられるお話をしよう。

あ:なんでしょうか!?

ひ:その話をする前に、逆にみんなに質問だ。
 「美しいからだの条件」とは、何だと思う?

ま:美しいからだの条件!そうですね、姿勢がいい、ということでしょうか。

あ:やっぱり、スラっとしていて手足が長いことですかねぇ。でも、ボンキュッボンも「美しい」に入りますね。太っているのが美しいとされるところもありますね~。

ひ:ありがとう。2人とも違った観点で「美の条件」を話していておもしろいね。
 2人が答えてくれたことからもわかるように、どんな人を美しいと思うかは人それぞれだし、もっといえば時代や文化、地域によっても変わる。このように、美しいかどうかを判断するための基準というのはとても曖昧なものなんだ。
 おそらく現代日本人の多くは、「スタイルがいい」とか「肌がきれい」とかっていう基準を持っていると思うけど、それだって元を辿れば雑誌や広告の会社がつくったイメージかもしれないね。
「スタイルがいいとはこういうことですよ!」
「肌がきれいとはこの人のようなことを言うんですよ!」
と、あるべき姿を勝手につくりあげて、そのイメージに近い人をテレビなどのメディアがこぞって持ち上げる。そうやって、多くの人が憧れる「美の基準」がつくり出されているんだけど、現代では外側から美の基準を当てはめられることに息苦しさを感じている女性も多いよね。実際に、映画の『バービー』では、バービー人形が美の基準を押し付けたといって、中学生女子からマーゴット・ロビー演じるバービーが批判されていたりもした。

あ:なるほど。ちょっと話はずれるかもしれないですけど、中高生時代を思い出してみると、その、いわゆる「美の基準」を満たしていないと判断された女の子は、スクールカースト上位の子から下に見られる傾向が、残念なことですが現実的にあると思いますね。それが「息苦しい」というのは、スクールカーストを外から眺めていた私も感じていました。

ひ:そうだね。このことは、外から押し付けられた一面的な美の基準に、人間が振り回されてしまっている例だといえる。

ま:そっか・・・そう考えると、美の基準はもっと多様でいいのかもしれないですね。

ひ:ほんとにそうだね。でも、その一方で、「古代ギリシャから伝えられてきた美の条件」というものもあるんだ。

ま:それはなんですか?

ひ:それは「左右対称である」ということ。もっと詳しく言えば「左右のバランスが取れていること」だ。

あ:なるほど・・・?

ひ:これはパッと聞くとプロポーションのことを言っているように聞こえるかもしれないけど、実はそうじゃない。
 左右対称・・・左右のバランスが取れている、というのは、別にモデルのように細くて手足が長くなくても、どんな人にも当てはまることだからだ。
 私の考えを言えば、この「左右対称」は、身体を半分に折り曲げたらぴったり重なる、ということではなく、例えば事故などで片腕を失った人だって、「左右対称」になり得るんだと思う。

あ:確かに、左右がまったく同じ形ではなくても、左右のバランスが取れている、ということはあり得るような気がします。

ひ:うん、今「形」と「バランス」と言ってくれたけど、そう、この美しさは「形」の問題ではなく「バランス」が問題なんだ。
 左右のバランスが取れている人というのは、パッと見ても美しいけど、それ以上に、何か奥深い本質的な魅力的があるよね。
 例えば大谷翔平なんかはまさに左右のバランスが取れている人の典型だ。彼のあの柔らかく透明感のある表情は、左右のバランスが取れていないと決して出てこない。
 女性だったらフィギュアスケートの浅田真央ちゃんもそうだよね。真央ちゃんの顔はいい意味でポカーンとした「抜け感」があって、そこがとても魅力的だ。しかもその表情の背後には奥深いものを感じるし、立ち姿から動いている姿まですべてが美しいのは言うまでもない。
 わかりやすい例を挙げようとしたら、たまたま手足も長くてスタイルのよい人を挙げてしまったけど、この人たちが「左右のバランス」が優れて取れているということは、なんとなくわかるかな?

あ:めちゃめちゃよくわかります!実際、この人たちと同じくらいスタイルがいい人はたくさんいると思うんですが、何というか、そういう人と大谷や真央ちゃんは、根本的に違う種類の「魅力」があるなーと思っていたんですよね。何が違うのかというと、それは「左右のバランス」なんだということがわかりました!

ま:うんうん。私も大谷と他のメジャーリーガーたちは、はっきりとわからないけど、何か存在感が違うなって思っていました。他のメジャーリーガーは筋肉筋肉してるけど、大谷はスーッとしているというか・・・。

ひ:ふたりとも、感性が豊かだなぁ!
 せっかくだからメジャーリーガーの例で話そうか。
 もちろん、メジャーリーガーたちもトップアスリートなわけだから、一般の人に比べたら左右のバランスは取れている。
 でも、大谷に比べたら、かのメジャーリーガーたちも左右のバランスがちょっと崩れていると言えるね。
 今、まほちゃんが「筋肉筋肉してる」って言ってておもしろい表現だったんだけど、「左右のバランスが取れていない」というのは、つまり右側に比べて左側の筋肉が力んでいたり、肩の右側はゆるんでいるけど左側の筋肉が凝っているとか、そういったアンバランスがある、ということでもあるんだ。
 対して、左右のバランスが取れている人は、からだのどこか一部の筋肉が力んでいるということがなく、全身の無駄な力が抜けているんだ。
 そのような人は、全身から「スーッ」という印象が漂っていて、その抜け感がとっても魅力的に感じられるんだよね。
 もちろん、野球やフィギュアスケートだけでなく、サッカーやバレエ、日本舞踊、はたまた一般のビジネスマン、主婦まで、本当にすばらしい人というのは左右のバランスが取れていて、全身の力も抜けていて「スーッ」があるんだ。

あ:なるほど~。

ひ:そして、左右のバランスを取るためには、やはり「中心」が必要になる。重心の位置に支えがなければヤジロベーを立たせることが難しく、また串が刺さっていなければ焼き鳥をひっくり返すことが難しいように、中心がなければバランスを取ることは難しいからね。
 実は人間には、左右のバランスを取るための「中心」となる装置があるんだ。人類は、その「中心」となる装置を「正中線」「軸」「センター」などと呼んできた。
 運動科学者の高岡英夫先生という人が、「正中線」「軸」「センター」の正体を解明されているんだけど、これらは人のからだの中心に、背骨に沿ってまっすぐに形成される「意識」なんだという。胃や心臓のように物理的にあるものではないけど、歴史的にもそう呼ばれてきたし、周囲の人にもある人はある、自分自身にもある。ではこれは何なのかといったときに、「そうだこれは"意識"だ!」と気づかれたんだ。
 高岡先生は、これをからだの感覚を土台にして存在する意識だということで「身体意識」と名づけた。身体意識には、他にも「丹田」などがあって、それをまとめて学問として体系化されたんだ。
 「正中線」「軸」「センター」も、学問としては呼び方が統一されている方がいいだろうということで、運動科学ではこれらは「センター」と呼ばれている。だから私たちもこのからだの中心の装置を「センター」と呼ばせていただくことにしよう。

ま:すごい・・・。

ひ:そうだね、このすごさはぜひじっくりと感じていただきたいんだけども、さて、ここで「古代ギリシャから伝えられてきた美の条件」に話をつなげていくと、その美の条件は「左右のバランスが取れていること」だったね。
 では、左右のバランスを取るためには、からだに「中心」がなければいけない。その中心とは・・・!?

あ:センター!

ひ:正解!ちょっと話が盛りだくさんになったけど、つまり人が本質的に美しく在るには、「センター」が必要ということだ。
 そして、ここからが君たち女性にとって「いい話」なんだけど、実は女性は、男性よりも「センター」の意識を簡単に育てることできるんだ。
 センターがからだのどの位置を通っているかを正確に見ていくと、股の位置ではお尻の穴のちょっと前の「会陰」という部分を通っている。
 会陰には、女性の大切なところがあるね。実はそこが、センターのとおり道だ。
 ここでようやく話は月経とつながる。なんと、「月経血コントロール」によって女性の大切なところの意識を高めると、それがセンター形成のトレーニングになるんだ。

あ:おおお!すごい!

ひ:つまり、月経血コントロールをすることで、女性はどんどん美しくなって行ける、ということだ。 
 さらに、月経血コントロールに取り組んだ人がインタビューで言っているんだけど、センターが形成されてくると、さっきの美の基準の話じゃないけど、そういった周囲の価値観に振り回されることなく、自分の感覚を大切にして、自分らしく人生を歩むことが出来るようになってくる。
 センターはからだのバランスも取ってくれるけど、さっきみたように心とからだはつながっている。だから、センターができると心のバランスも取れるようになってくるんだ。

ま:そんなにたくさんのいいことがあるんですね!私の、私たちのからだって、そんなにすごかったんだ。

ひ:そう、女性は本当にすごい。女性のからだはすばらしい。
 でも、現代社会では多くの人が、その可能性を引き出す方法、つまり「からだの知恵」を教えてもらえずに苦しんでいる。
 そんなのはあまりにももったいないと思っているからこそ、私はこれを「絶対」知ってほしいと言ったんだ。

あ:師匠、ありがとうございます!

ひ:どういたしまして。
 では、ここからは実践編ということで、月経のメカニズムと、その対策、そして月経血コントロールについて簡単に伝えていくことにしよう。

女子一同:はい!!

(次回に続く)

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ひふみ国師(身、心、神)
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