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オペラ座の怪人(2004)、ほぼ嵐が丘

オペラ座の怪人 4Kデジタルリマスター版を見てきました。

あれは…素晴らしい。劇場で見て正解でしたね。円盤購入は確定しました。もし発売されたらだけど。
冒頭のシャンデリア、歌うま集団による劇中オペラ、ビジュ120%
ストーリー構成も素晴らしい・・・

特に、とにかく怪人が格好良すぎる。。怪人って仮面の下が醜いという設定なんだけど、え~~~この見た目で醜いって言うのは無理でしょ、、イケメン過ぎる と思っていたら、ちゃんと仮面外すと醜く見えるのね。特殊メイクって凄い。それにしても格好良すぎるけど~~

クリスティーヌさまも美しすぎる…あれで当時17歳って本当ですか???未熟さを欠片も感じさせない圧倒的な歌声、、素晴らしい。

オペラ座の怪人はそもそも音楽が良いけど、それに合わせて素晴らしい歌声がくっついて来るのがめちゃくちゃ贅沢だと思った。ライバル役やモブも全員めちゃめちゃ歌が上手い。それに、映画館の大スクリーンとデジタルリマスターのお陰で、役者の表情の一つ一つ、きらびやかなセットと衣装もくっきりと見えて…良かったね。

まあでも~~~ストーリーが好き。。見た時、話が進むにつれておいおい…嵐が丘か?とばかり思っていた(もちろん、違うところは沢山あるけども)。暴れまわる(?)怪人が最盛期ヒースクリフとしか思えなくて…残酷だけど愛する人に執着するイケメン、、良い!!!オペラ座の怪人がこういうキャラクター性・内容になったって事は、やっぱり世間一般でもこういうキャラクターが好かれているって事だよね?だからヴィランは一定層の支持を得ているんだな。

ミュージカルに興味が有る人、嵐が丘が好きな人にはぜひぜひおすすめです。また、逆も然りでオペラ座の怪人が刺さる人は嵐が丘を読んでみてね。
ここからはネタバレありの感想です。

おまえ…おまえ、ヒースクリフだな?!

どうも、嵐が丘に囚われている人です。
あらゆることを嵐が丘に繋げるのがマイブーム。
とはいえ、オペラ座の怪人から嵐が丘の香りがするのは、私の色眼鏡補正無でも間違いないと思いました。先に言った通り、特に怪人がヒースクリフに見えてきて…うひゃあああああ!!(発狂)

ファントム:父➡子への移り変わり

オペラ座の怪人は内容ミリしらで行ったので、もちろん怪人の正体が何なのかも知らずに映画を見ていた訳です。従って、とにかく「結局、怪人って何者なんだ?」という思いを胸に、映像を追っていました。
初めは、クリスティーヌの歌の師「音楽の天使」であり、クリスティーヌ自身、亡くなった自分の父親に重ね合わせているところもあったので、「超人的」「父性」といった印象を受けたけれど、それが騙りであるとしか思えない凶暴さ、恐ろしさも同時にあり…悪魔なのか、天使なのか?正体不明の謎の存在として描かれている。正直、ラウルからクリスティーヌを引き剥がそうとする様子は、娘はやらん!!と言い張る激怖お父さんか~?と思っていました笑

しかし、「そいつは音楽の天使じゃない!」というラウルの言葉や、剣で打ち負けそうになる怪人の様子、激情を表す態度から、どんどん人間味が増してくる。ここで、奇妙な感情、あるいは怖れが湧いて来る。ファントムは何者なのか?生きているのか?死んでいるのか?一体何を考えているのか?…

それらの謎は、マダム・ジリーによって語られる彼の過去によって解明する。彼は幼い時分、酷く醜い外見によって見世物小屋で嘲笑の対象となり、虐待されていた。それを哀れに思った少女の頃のマダム・ジリーによってオペラ座に匿われ、以来彼はオペラ座の地下を改造し、住みかとしている(ここはミュージカルオリジナルですね!)。
ここで、「あれ、怪人って意外と若いな?」と思いました。同時に、つまるところファントムとは、醜い外見のお陰で才能を表舞台に出す事も無く、誰からもまともに愛された事もなく、可哀そうな子供と大差ないのだとも。
原作では「恋心」となっていますが、クリスティーヌに向けていたのは、娘に対する愛情なのか、クリスティーヌに重ね合わせた母親という概念への慕情なのか…どちらもありえそう。

こういった一連の流れを通して、父親から子供へ、超人から人間へと、怪人のイメージの移り変わりが起こるところが、この映画の良いなぁと思ったところです。ミュージカル版では、早々に自分から正体を明かしてしまう(らしい)ので。

ファントムの見せた涙(ラスト)

映画を見終えて感じたのが、「最後にファントムがクリスティーヌのキスを受けて流した涙とは何だったのか?」という疑問でした。どういう感情なんだ?と。
wiki調べだと、クリスティーヌの深い愛に感激しての涙なんだそう。確かに、「母親にすらキスをされたことは無かった…」という言葉も、有ったしね。
とはいえ、この解説を読む前はもっと違う感情だと思っていたんです。もっと卑屈な涙かなーと。というのも、「こんなに恐れている私にキスしてラウルを救う程、奴を愛しているのか……」と怪人が考えて、そして「出ていけ!ここで見た物は忘れろ!!」という所に繋がるんじゃないかと思ってました。
しかし、最後にクリスティーヌが怪人に指輪を渡しに来て…指輪はそもそも、ラウルがクリスティーヌに婚約指輪としてあげる→怪人がそれを奪う→クリスティーヌに、愛して欲しいと言って指輪を渡す(指輪も(表に出られないため)他人から奪ったものじゃないと用意できなかったの…(・∀・)イイネ!!と思ったけど、手先の器用な怪人なら指輪くらい作れそうだよな)→別れ際にクリスティーヌが怪人に渡す という順路を辿っているため、「愛している」というメッセージとなっていて、物寂しげにオルゴールを眺めていた怪人はその指輪と想いを受け取り、崩れる地下を去る・・・という流れだと思っていました。(私はラウルと去るけど、あなたの事もちゃんと愛していたわ、というクリスティーヌの想いがここで伝えられるのかと)
正直、初め指輪が怪人に返却されたw追い打ちのブロークンハートすぎる…と思っていたんですが、そもそもラウルから渡された婚約指輪だったことを考えると、それは流石に違うよね。もしそうだったら突然クリスティーヌが鬼畜過ぎるし。

映画はこのくらいがちょうどいいよね

さて、嵐が丘と比較して。
割とクリスティーヌ→キャサリン、怪人→ヒースクリフ、ラウル→エドガーじゃないか…w(ついでにマダム・ジリーはほぼネリー)と思うくらいには似ていたんですが、それでもオペラ座の怪人の方が皆人格がまともでちゃんとしていたので、終わり方もオペラ座の怪人の方がハピエンぽかったですね。
てか、これを見て思ってしまうのが、嵐が丘…なぜこうならなかった…ということ。やっぱり、嵐が丘の方が救えなさが段違いですね。そこが好きなんですけど。人間が悪いんだ、全て人間が……。
とはいえ、やっぱりオペラ座の怪人の華やかさやドラマチックさは映画(ミュージカル)で良かったと思うし、嵐が丘の暗さは小説で味わってこそ良いと感じます。ファーストコンタクトが一番良いと思っているだけかも知れませんけど、個人的に映画やなんかは、折角映像になっているのだから視覚的なダイナミックさも同時に味わえて、話にばっかり引きずられるほど暗すぎない方が良い、と、なんとなくハピエンを求めてしまう所が有るので。逆に小説こそ暗い話は輝く気がする。
と言いつつも、しっくりくる映像版・嵐が丘が見たい。原作厨なので、ちゃんと再現された奴が。。いくつか見て見たんですが、なんとなく「何か違うなー?」と思ってしまう。心の嵐が丘が強固過ぎるのかもしれない。
(後、映画はハピエン!と言ったもののダンサー・イン・ザ・ダークは大好き。)


おわりに

繰り返しになると思いますが、嵐が丘が好きな人は、オペラ座の怪人(2004)も好きになると思います。逆も然り。
特に劇場で見るに値する映像と音なので、劇場に足を運ぶことをお勧めします。まだ上映しているのかな?ちょっと安めの、1回1100円。見に行ってみては。


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