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描こうとするから見える【往復書簡 vol.4 みなふーより】
にもふーさま
桃とアイスを1日おきに食べることでなんとか人の形をたもっているみなふーです。暑い!
前回にもふーに、どうやっていまの絵柄を確立したのかを質問したのでした。答えていただきありがとうございます。
「ほんとうに塗りたい色とは遠い色を一番下に敷く」という油絵ならではの技法に、おもしろさを感じたんです。たとえば、表面はブルーっぽい色味なのに、立体感を出すために、あえてその下には黄色や赤が塗られていたりします。そういう、一見ゴールとは矛盾しているのに、プロセスがぐねぐねしている絵の描き方がだいすきです。デジタルでイラストを描くときも、あえてまったく違う色を重ねることで曖昧な雰囲気を出しているのは、そういうところから来ています。
それはもう、大変グッときました。
にもふーの核心にせまるようなお話が聞けたと思いました。
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世の中ではわかりやすさが求められることも多いですが、あえて遠回りをすることって確実に豊かで、絶対に手放したくないものですね。
これまでプロジェクトで重ねてきた色も全て無駄じゃなかったと感じます。
これまでにもふーがQuu&Fuuで描いてくれた絵たちは、言葉では伝えられない、おさまりきらない、ラベルのつかない感情、空気、温度も表現していますよね。
だけどにもふーは絵が得意なだけでなく、言葉の人でもあります。実はそれって私としてはとても納得がいっていて。何かを描くために観察すること、それは桃でも心の中でもそうですが、描こうとする前は見えなかったものも見えてくる行為ではないでしょうか。私は普段あまり絵を描きませんが、珍しく夕焼けをクレヨンで描いてみようと目を凝らしたとき、その光の中にオレンジだけじゃなくて紫や銀やネイビーもあることに初めて気づきました。夕焼けを描くために観察したあとは、夕焼けに対して持つ語彙も変わったんですね。
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この半年以上、みんなで朝をまじまじと観察しました。発信しようとすることで初めて気づくことがたくさんありました。
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今回は「朝のクフウ博」まであと数日!というタイミングでお便りを書いています。
Quu&Fuuでも、豊かな回り道をしながら世界を重ねていきたい私たち……ですが、実際はしっかり集客しなきゃとか、もっと知ってもらわなきゃとか、現実的なプレッシャーも日々あるのですよね。
数字と価値の狭間で揺れ動く、これは永遠のテーマですね。常に完全に矛盾するものではないですが、一目散に数字に走った場合、魂は置いていかれがちです。
編集長・副編集長の私たちはきっとわかりやすさとか数字の人間ではないので、大事なものをこぼさず抱きしめながら、ひとりひとりの目をじっと見て伝えていくみたいなことをやっていくしかない、やっていきたいなと思っています。
時間がかかることかもしれない(でも、ちょっと急げって言われて泣いてる)。
どんな当日を迎えるのかどきどき。でもイベントをやろうと決めたことで出店者さんやフォロワーさんとのコミュニケーションや発信がどんどん生まれていて、まだ当日を迎えていないけれどすでに「やってよかった!」って気持ちです。
未来のにもふーへ。
お疲れ様です。初めてのQuu&Fuuイベントどうでしたか?
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2023年9月2日渋谷にて「朝のクフウ博」を開催します。
入場無料。詳しくはこちら
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