しっぽ
金曜日の朝目覚めたら、私の願いは叶っていた。以前から大望していた猫のしっぽがお尻に生えていたのだ。
私はこれを得た時のことをずっと夢想していたので、もうカーテンレールに跳び移りたいほど歓喜した。しみじみと撫でていたかったが今日は平日。急いで朝食と支度を済ませるといつもの電車に乗った。
スカートにもコートにも程よい大きさの穴を開けしっぽはそこから出した。やはり皆がこちらに注目をしている。「あのしっぽ本物ソックリだね……」
会社に到着したら着替えるのだが、制服のスカートに穴を開けるわけにはいかないので、思案の末しっぽはスカートの中に丸めて隠した。
しかしそんな日に限って私は大切な書類をうっかりゴミ箱に廃棄してしまい、夕方焦心でビルのゴミ集積所を探すことに。
這って探し回る私を同僚は「猫みたいね」と笑ったが、より一層猫に近づけたのかと嬉しくなった私は、無事に書類が見つかるとジャンプしてにゃうと鳴いた。
(了)
田丸雅智先生のショートショートガーデン(SSG)に投稿していた一作を少しだけリライトしました。
猫好きなんです♪
だって顔もフォルムもとっても可愛くてしっぽも素敵だから✨✨
来世はしっぽが欲しいって割と切に願っています。