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季節を感じつつ

花信風(かしんふう)という言葉が好きです。花信風とは、初春から初夏前にかけて吹く、花が咲くことを知らせる風のこと。

二十四番花信風とも言って、一月初旬(小寒)から四月中旬(穀雨)の間の二十四候(五日ごと)に花が割りふられています。
梅から始まり、沈丁花やこぶし、杏や桃の花など、二十四種類。
春が進むにつれて、次々と花が咲いていく様子が目に浮かぶ言葉です。

信とは、手紙や便りなどの意味(信書や短信などの単語もこの意味ですね)。
花信風は「花の便りをもたらす風」という意味ですが、「花が咲くのを信じている」という意味に見える漢字の組み合わせが好きです。
まだまだ寒さの厳しい冬の時期に、それでもこれからどんどんと花が咲いてゆくのだ、という期待が込められたような言葉。
または、変化は目に見えなくても、それぞれの植物の内部ではしっかりと次の季節の準備が進められていて、花を咲かせる養分を樹木全体に静かに行き渡らせ、時が満ちれば華やかに花開く様子。

今とは真逆の季節を表す言葉ですが、そんな風に、少し先を見据えて準備をしたり、できれば少し先を楽しみに感じるような過ごし方をしたいと思います。

最近は毎日外に出るたびに息苦しくなるほどの暑さに驚きますが、蝉の声が響く七月下旬のこの時期が一番、夏を感じます。
八月に入ると、夏真っ盛りのように見えて、虫の声とともに、秋の足音が聞こえ始めるもの。そうして終わりが見えてくるからこそ、光が眩しいほどに強く感じられるのかもしれません。

夏至を過ぎて既にひと月以上。一番日が長い時に比べると、ほんの少しだけ日が短くなってきたのを感じます。
そんな風に季節を感じつつ、日常の中で思うことを綴っていきたいと思います。

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