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016.【Mリーグ】結局最後まで『圧倒的』だった青き海賊船。前年5位だった彼らを完全優勝へ導いた『2年目の適応』

※この話は麻雀、Mリーグについてある程度知識のある方にしかわからない話がふんだんに含まれています。ご了承ください。
※この記事には筆者の価値観や感想、想像が含まれます。的外れなことがある場合もあるので、あくまでいちファンの意見としてご覧いただければ幸いです。

どうも、風茶でございます。

先日、U-NEXT Piratesの全シリーズ首位での『完全優勝』という形で、Mリーグ2023-24シーズンは幕を閉じました。

改めまして、選手、監督、関係者の皆様、まことにおめでとうございます。

◎現行メンバー初年度は実力を買われるも…

現メンバー構成になってから2年での頂点。
しかし2年前、このチームはMリーグ史上初めて『同一メンバーでの2年連続ファイナル進出がない場合、必ず最低1人はメンバーを入れ替える』というMリーグのレギュレーションに抵触したチームでもありました。

結果、過去4年にわたり初期からチームを支えたメンバーである朝倉康心、石橋伸洋両選手を失うこととなったのです。

そして新たな仲間として迎え入れられたのが、当時の最高位も獲得しノリにノっていた戦闘民族・鈴木優プロ。そして發王位を獲り後には雀王にもなる龍を継ぐお調子者…もといムードメーカー・仲林圭プロ。
木下監督が「勝つために」と選んだこの2選手は、実績、実力、どれをとっても、素人目から見ても当時選びうる中ではベストといえる人選でした。

当時、KADOKAWAサクラナイツに同じタイミングで選ばれた渋川難波プロを含めた3人がMリーガーとなることに、異論を唱える人間の方が少なかったでしょう。
それほど、彼らの選出は順当であり、彼らは相応の実力を買われたのです。

実際に昨年度、開幕戦を任されたのは入ったばかりの優選手でした。しかしこの時優選手は愛弟子・魚谷侑未選手のトップを許し、自身はラスを引きます。この後、攻めに重きをおくスタイルながらラス回避率を争うまで安定した成績を重ねますが、優選手はレギュラーシーズンをマイナススコアで終えます。

仲林選手もレギュラーはマイナススコア。セミファイナルでは大きくプラスしたものの、一番目立ったのが皮肉にも国士無双を頭ハネされた『国士無効』のシーンだったのは、本人も悔しさしかなかったことでしょう。

結果、Piratesは昨年度5位に沈み、至上命題ともいえた優勝はおろか、ファイナルにも進めないという結果になりました。

この結果、責任を一番背負いこんだのが、チーム最終戦でラスを引いた優選手。

普段穏やかに接する優選手が悔しさを隠せずにうなだれる姿は、見守ったファンのみならず、視聴者の心を強く打ちました。

「最後にチームを敗退させてしまった」

このあまりに辛く悔しい結果、その思いは、1年後のセミファイナル突破、そして優勝への原動力となりました。

◎『圧倒的に勝った』レギュラーシーズン

今年のPiratesは、『圧倒的に勝つ』をテーマに今期に臨みました。

昨年度は瑞原明奈選手が担ったポイントゲッター。そこに新たに加わったのが、ついにMリーグにアジャストし、実力を発揮し出した『新たなる2名』……優選手と仲林選手でした。


メンバーこそ前期と同じ。
しかし、仲林選手が序盤からスタートダッシュを決め、勢いがなくなってきたかと思えば、優選手がMリーグ記録となる5連勝を決め、優選手の勢いが止まりかけたかと思えば仲林選手が盛り返す。そしてその傍らでは瑞原選手も持ち前の安定感でプラスを重ねる……

終わってみれば、887.6ポイントのまさに『圧勝』。

ポストシーズンはどのチームか抜け出すか、よりも、「どうやってPiratesを止めるか」という雰囲気が漂いました。


その要因はひとえに、ポイントゲッターが3人もいたことに尽きるでしょう。

船長・小林剛プロは今期のレギュラーシーズンはマイナスに沈みましたが、終盤で盛り返し、しっかり実力を見せてくれました。

それでもなお他の3人がそろって3桁プラスし、このスコアを叩き出したのですから、小林選手も安心して自分の麻雀を打てたことでしょう。

結果はマイナスでも、特にレギュラー最終盤からポストシーズンにかけては、自分のスタイルで勝つ船長の麻雀が光っていたように感じます。

◎セミで風林火山の追撃を受けるも……

セミファイナルに入っても400超えのポイントを持ってスタートしたPiratesでしたが、5位通過で一時はボーダー争いをしていたEX風林火山が猛追を見せます。

一時は首位逆転すら許す展開に、Mリーグの『魔境』っぷりを見ましたが……

セミファイナル終盤のスコアを見ても、実はPiratesのスコアはほぼ横ばいなのがわかります。
※Piratesはレギュラーシーズンの半分の443.8ポイントを持ち越し

セミファイナルに入ると、ポストシーズンを苦手とする瑞原選手が今期も不振に陥りました。
しかし、昨年はカバーしきれなかったマイナスも、今年はしっかり取り戻せる。

実績ある新たな仲間である優選手、仲林選手、さらには船長・小林選手も加わり、互いをカバーし合うことが出来るチーム。
それが実際に実践できたのが、昨年との結果の違いに直結した……それが、レギュラーだけでなくポストシーズンでもいかんなく発揮されたのです。

◎ファイナルに入り加速、そして優勝へ

やがて風林火山の勢いはファイナルに入って止まり、レギュラーを圧倒した勢いがPiratesに戻ります。

一度優位に立てば、最後まで止まりませんでした。
最後は誰が出ても勝つ、そんな雰囲気が出ていましたし、実際に結果にも現れました。

最終的には4人とも、ファイナルでもトップを獲得。


危なげない、この一言がとにかく似合う。

日を追うごとに差は広がり、最終戦は優勝の条件より、より高い順位を目指す闘いに……

そんな最終戦も、珍しかったのではないかと思います。


そんな中で、サクラナイツ・堀選手の7筒押しや、仲林選手のチーム優勝を優先させる見逃し、なんてシーンも生まれたりしたのですが、それはまた別のお話……


◎ディフェンディングチャンピオンとして

スローガン通りの『圧倒的』な優勝を手にしたU-NEXT Pirates。

来期はディフェンディングチャンピオンとして迎えることになります。

しかし、今期の姿こそが現Piratesの真の姿であり、ファンや監督を含めた全員が想像した通りの姿でしょう。


今年のPiratesは、結局首位に長く立ち続け、そのままゴールテープを切りました。

麻雀という競技である以上、来期も同じことが起こることはなかなかありません。

しかし、今のままでは、史上初の連覇も決して夢物語などではないと思えてなりません。
それほど、今年のPiratesはとにかく強かったのです。

誰かが負けても誰かは勝つ。
大きく崩れず、プラス域の中で悠々と後悔する海賊船。現行メンバー2年目を迎えてようやく、そのスタイルを確立できたのが、今年のPiratesであり、昨年との大きな違いだったのです。


では、このPiratesに勝つには、他チームは同じか、それ以上のことをしなければなりません。


◎『2年目』を迎える選手たち

ルーキーイヤーの昨年から一気に飛躍を遂げた2選手、優選手と仲林選手。
2年目を迎え、Mにアジャストし、見事に活躍したこのふたり。来期、彼らと同じ境遇となる選手たちがいます。

その中でも、今期マイナスに終わったフェニックス・醍醐大選手は、来期に期する思いも大きいことでしょう。かつて優選手と同じく最高位に輝いたこともある選手。かのふたりと同じく来期ブレイクできるかに期待したいところです。

そしてドリブンズの準優勝の原動力にもなった渡辺太、レギュラー前半健闘を見せた浅見真紀両選手も、2年目にさらなる飛躍を見せられるか。

全員が2年目となるBEAST Japanextの4名もまだMリーガーとしては未知数。後半盛り返したチームキャプテン・猿川真寿選手をはじめとして、7位に終わった猛獣の逆襲を期待したいところです。

優、仲林両選手の『2年目の躍進』を見ているだけに、彼らが台風の目になるのか、とても楽しみですね。


◎最後に

Mリーグ2024-25シーズンはもうすでに動き始めています。

彼らは常に進化し、その時々の牌の巡りで結果が180度変わる麻雀という競技を通じて、競技の楽しさ、チーム戦の厳しさ、その先にある悲しみや喜び。いろんなものを我々視聴者に届けてくれます。

そんな彼らの闘う姿を後押しし、熱狂し、彼らと共にMリーグというひとつのコンテンツを通じて麻雀を愛する仲間として楽しむこと。それが我々視聴者にできることです。


たとえ麻雀を始めたばかりでも、何十年も打ち続けた猛者であっても。

語って。高め合って。

そうやってひとつの競技・麻雀をつくりあげるのです。


『来年も楽しみだ』

ずっとそう言えるようなコンテンツへ。


僕はいち麻雀好きとして、Mリーグのさらなる進化を、素人なりに見届けていくつもりです。


改めて、U-NEXT Piratesの皆様、Mリーグ2023-24シーズン優勝、誠におめでとうございます!

来季の闘いを、心より楽しみにしております。


それでは。

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