すぐに仕事で活かせるAI講座 前座
はじめに 人は思ったほど合理的ではない
難しい先端テクノロジーを訳も分からず追いかけるのではなく、
ハッキリ目的のある「必要」があると、それらを自然に使いこなせます。
そのことを理解していただくことが、この「すぐ仕事で活かせるAI講座」全体の目的です。
まずは対象としている方について
•AI(えー・あいと読みます)をアイとか読んでしまう超初心者の方が対象です。
•難しい知識はいりません。本当は、高度な数学(ベイズ統計/SVM(サポートベクターマシン)/
カーネル関数)やコンピュータ-の専門用語などの詳細に知っていないと非常に難しいのですが、
それらを一切使用せずにAI(えーあい)の基礎を紹介します。
•この超初心者の方が、AI,Azure Machine Learning/深層学習(Deep Learning)などを活用して未来予測などを業務ですぐ使えるようになることを目的としています。
•必要なスキル
1.インターネットに接続してブラウザを上げて検索ができる。
2.パソコンを立ち上げて、EXCELにデータ入力し、表を作ることができる。
EXCELからCSV出力した経験があるとうれしい。
これだけでOKです。
なぜこれを書こうと思った?
AIサービス展開をするためにいくつかユーザーさんとお話をする機会があり、そこで
ユーザーとAIを開発する側との意識乖離にたいへんびっくりした経験から。
ケース1
(ユーザー)「アイとかイオトとかいうけど、まったくわからないのですよ」
(私)「最近出たものですからね」
アイ=AI(えーあい)と読みます/イオト=IOT(あいおーてぃ) と読みます。
ケース2
(MS)「機械学習のアルゴリズム選定は簡単にわかります」 ハイ、ドン!
Microsoft Azure Machine Learning Studio の機械学習アルゴリズム チート シート
https://docs.microsoft.com/ja-jp/azure/machine-learning/studio/algorithm-cheat-sheet
(私)「・・・・・」(上の図ですね)
この回は、前段として、AI(えー・あいと読みます)とかIOT(あいおーてぃ)といった先端テクノロジー使うその前に、そこで扱われているデータについて、さらに言えば情報について、だれもが「バイアス」を持っている事を理解していただきたい、ということです。
とくに、AIやIOTといった先端テクノロジーは、いままでよりもさらに膨大なデータを発生させるため、この膨大なデータを正しく扱うことは必須です。そのため、今まで以上により気を付けて、データ/情報のもつバイアスに注意して扱うことが必須となります。
一般的に、人は、無意識のうちに合理的に考えると「得をしない」行動をあるいは「損をする」行動を選択しがちなものです。つまり、人は、事実や合理的ではないことを「思い込み」ます。その理由は、感情と合理的選択を切り離して考えることができないからです。これは誰にでもある「バイアス(思い込み)」があるからです。かつ、この「バイアス(思い込み)」には、同じ傾向があります。
(だからこのバイアス(思い込み)を通じて分析する手法を後程提示します)
この同じ傾向を「科学的な研究」によって導き出したのが、認知バイアス研究です。
認知バイアス
「いやいや、私は客観的に見ているよ」
以下のように「科学的な研究」によって導き出されたのが、以下の認知バイアスがあることが明らかになっています。
1.自己奉仕バイアス
他人が原因で問題が起きたときは「他人に原因がある」と感じ、
自分が原因で問題が起きたときは「環境のせい」と感じることです。
2.後知恵バイアス
もともと選択肢にしていないことを、あたかも「自分ならが判断できた」と感じることです。
「私が言った通りになった」「そうなるって思った」よく言いませんか?
3.信念バイアス
結論が妥当であれば、その議論や過程までも正しいと感じ、
逆に、結論が間違っているだけで、その人の人格さえも否定して感じることです。
4.外部誘因バイアス
自分の動機は不純ではなく、他人の動機は不純だと感じることです。
自分が行動する動機は、スキルアップや人のためと感じ
他人が行動する動機は、金銭や欲望のためと感じることです。
よくそう感じませんか?
またまだありますよ。
5.情報バイアス
あきらかに不要な情報も集める必要があると感じることです。もちろん、意志決定には、情報が必要です。
しかし不要な情報まで集めてしまうと情報過多となってしまい、(稟議/マーケットとは関係のない社内税時を通すため、不要な情報を付け加たりして)「効率の良い判断ができない」という問題があります。
https://no-mark.jp/liveescape/brainpower/bias.html#reference13
この誰もが「バイアス」を持っている事を説明するいい事例として、プロスペクト理論があります。
プロスペクト理論とは
プロスペクト(prospect)とは、英語で予期といった意味です。
この理論の重要なポイントに【損失回避性】があり、感情と合理的選択を切り離して考えることができないことを示す、たいへん良い事例となっているからです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%B9%E3%83%9A%E3%82%AF%E3%83%88%E7%90%86%E8%AB%96
【損失回避性】
人間は、感情的に損失を避けたがる強い傾向がある、ということです。
(合理的に利得よりを考えるよりも)
例えば、2つの選択肢を提示します。
A:確実に9000円もらえる
B:コインを投げて表がでたら2万円もらえるが、裏が出たら1円ももらえない
合理的(期待値を計算する)に判断するとBのほうがAよりも割合がいいのですが、
ほとんどの人がAを選択します。
※期待値とは、ある試行を実施したとき、その結果として得られる数値の平均値のこと
「期待値」よりも「リスク回避」
この事例の場合、Aは100%の確率で9000円がもらえるので、期待値は9000円です。
つまり、合理的に判断すると もらえるのは9000円です。
いっぽう、Bは50%の確率で2万円がもらえるので、期待値は1万円になります。
期待値: A 9000円 < B:1万円
合理的に判断すれば、期待値のいいB となるはずです。
ただ、ほとんどの人がAを選ぶはずです。
これは確実に「利益を得られない」というリスクを(感情的に)回避しようとしているのがその理由です。
「期待値」よりも「損失回避」
別の2つの選択肢を提示します。
C:確実に9000円を没収される
D:コインを投げて表が出たら2万円没収されるが、裏が出たら1円も没収されない
この場合、先ほどの事例とは反対に、ほとんどの人がDを選ぶ人のほうが多くなります。
当然、期待値を計算すると、Dのほうが損をする確率が高いことがわかります。
期待値: C ―9000円 < D: -1万円
ただ現実は、Dが選ばれることが多くなるのです。
これは
「確実に損益を出す」という損失を負うリスクを(感情的に)を回避しようとするものです。
上記した2つの事例は
「利益を得られる場面 → 確実に得られないリスク回避」
「損失をこうむる場面 → 確実に損失するリスク回避」
を求めるという例です。
感情的にリスク回避しようとしてする行為が、合理的(期待値を計算する期待値)な判断を上回る事例です。このように、人は感情と合理的選択を切り離して考えることができないからです。
最後に・・・・
今回の目的は、情報についてだれもが「バイアス」を持っている事について説明をしました。
これがAIとかIOTといった先端テクノロジーでいままでよりもさらに膨大なデータを扱うようになるため、今後より気を付けなくてはならない、誰もが「バイアス」を持っている事を理解しなくてはいけない、
ということを説明しました。
以上です。
その他プロスペクト理論の代表例
②参照点依存性
価値は参照点からの移動・変化によって表されるので、絶対的な尺度が存在するわけではない
③感応度逓減性
利得も損失もその値が小さい間は、感応度が高いが、それぞれの値が大きくなるにつれて感応度が減少するという性質のこと。
全体の目的
対象:AI(えー・あいとみます)を全く知らない初心者の方
目的:高度な数学やコンピュータ-の専門用語を一切使用せずにAIの基礎を把握し、その基礎技術の1つである未来予測を理解してもらうこと。
ゴール:AI(未来予測)の考え方を業務(新規ビジネス創出/業務改善など)に活かせるようになること。
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