〈鈴々ちゃんと人形の旅①〉

 ある日、私が佐賀にある骨董屋さんに遊びに来た時の話。


 カワイイお人形を見つけた。私がそれを手に取ろうとすると、ある男性が同じのを取ろうとした。

「もしかして君もこれ欲しかった?」

 その男性は優しげに声かけてきた。

「ごめんなさい。それ昔失くした大切なお人形に似てて。」

「じゃあ譲ってあげる。」

「ありがとう。」

 と言われたけど、私には高くて買えなかった。結局男性が買うことになった。

 私はその男性に訊いた。

「お人形好きなの?」

「僕人形が好きで、たくさん持ってるよ。」

 写真を見せてもらって驚いた。

「わぁ、私の欲しかった物ばかり。いいなぁ。」

「あげていいのもあるよ。置く場所に困ってたから。」

「欲しいなぁ。」

「じゃあ今度僕の行きつけのカフェで会おうよ。そこに人形持ってくるよ。」

 こうして私はその男性と仲良くなった。

「私、鈴々。」

「僕は隆弘だよ。」


 次の日、隆弘くんの行きつけのカフェ「ティルナノーグ」で待ち合わせして会った。隆弘くんは自分の持ってる人形の中で特にいいのを持ってきてくれた。

「これはスーパードルフィー、これは末永みらい、これはオルゴール人形。」

「へぇ、どれもすご〜い。」

 私はどの人形も素敵だと思った。

「それからこれは100均で買った人形だけど。」

 豪華な人形に混じって1つだけ安い人形があった。

 沢山ある中で私が特に素敵だと思ったのは安い人形だった。

「あっ、これこれ。私がずっと探してたの。」

「それって安いのだよ。もっと高級なのをあげてもいいよ。」

「いいの。私はこれが1番気に入っちゃった。」

 その人形をもらうことにした。 

つづく

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