〈ククリちゃんとふしぎな町③〉
ククリちゃんはトマスキーくんとアルカナイくんに聞いた。
「ねぇ、西ひつじさん見なかった?」
「見てないよ。」
「僕も見てません。」
ククリちゃんはちょっとガッカリした。
すると店内アナウンスが聴こえた。
「ククリさん、西ひつじさんと日向ひなたさんは異様に美味いカフェにいるデシ。」
「あっ、店内アナウンスだ。異様に美味いカフェにいるって。」
ククリちゃんは喜んだ。
「でも何でそんなことわざわざ教えてくれるんだ?」
ニケくんはふしぎがった。
みんなでカフェに行ってみた。西ひつじさんと日向ひなたさんはテーブルに着いて待っていた。
「ごめんね。迷ったから案内嬢さんにアナウンスしてもらったの。」
みんなでケーキを食べた。
「確かに異様に美味い。」
アルカナイくんが美味しそうに食べた。
「大好物だぜ!」
ニケくんはモグモグ食べた。
テーブルには小さな多肉植物が飾ってあった。僕はそれに注目した。
「あっ、これ僕が育ててるのと同じ植物だ。」
僕がその植物を見てると、
「こんにちは。元気?」
植物が僕に喋りかけた。
「植物が喋った!」
でも僕以外の人は全然驚く様子はなかった。
「へぇ、カワイイね。」
ひなたさんは興味深げだった。
「そうさ。もちろん君は植物に優しいからね。」
植物は僕に対して語りかける。僕は植物に質問があった。
「あのー、植物さん、僕の植物がちょっと元気ないみたいなんだけど、元気に育てるコツない?」
すると植物さんは答えた。
「まず肥料を時々あげること。それと植物に話しかけるといいよ。多少枯れても残った部分が元気に育つこともあるよ。」
僕たちはカフェを出て、グルグルグッズのお店に行くことにした。
「さてお店探そうか?」
ひなたちゃんはそう言ったけど、ニケくんは、
「ひなたちゃん、お店がどこにあるか知らないの?」
と聞いた。
「実はふしぎなお店でねぇ、毎回場所が変わってるの。だから毎回探さないといけないの。」
「また案内嬢さんに頼もうか?」
ひつじさんは提案した。
案内嬢さんの所に行った。
「案内嬢さん、さっきはアナウンスありがとうございます。探してた人は見つかりました。」
「どういたしましてデシ。」
「グルグルグッズが置いてあるお店を探してるんですが……。」
「平和な店デシね。そこの角を曲がって階段降りたトコデシ。」
「ありがとう、案内嬢さん。」
「変わった名前のお店だね。」
僕は笑った。
「にしても妙な喋り方の案内嬢だったな。」
ニケくんはそう言った。
「ここが平和な店か。」
僕はお店の前で様子を見た。見た目はごく普通のお店だった。
「あっ、ククリのお人形があるよ。」
「魔法陣のコースター、座布団、キタキタオヤジのフィギュアもある。」
トマスキーくんは店内を見回る。
「アニメのDVD、同人グッズがスゴイ充実してる。」
アルカナイくんも嬉しそうだった。
「アタシの作ったグッズも置いてあるよ。」
「ククリ、ニケくんのお人形欲しいなぁ。」
そこにまた店内アナウンスが聴こえた。
「ククリさん、探しものは奥の方にあるデシ。」
ククリちゃんが奥に行ってみると、
「レイドくんのお人形だ。」
「そう。それがオススメデシ。」
また店内アナウンスがした。
ククリちゃんはニケくんのお人形を見つけた。
「見つけた。ニケくんだ。」
「それはあんまりオススメじゃないデシ。」
「え〜っ、どうして?」
「その人形を手に取ると大変なことになるデシ。」
「何でそうなるの? 一体何なの? このお店の店内アナウンス?」
「アタイはこのお店について何でも知ってる案内嬢デシ。アタイの言うこと聞くデシ。」
「ククリだってこのお店についてよく知ってるモン。」
「じゃあ何かこのお店の情報言ってみるデシ。」
「日本のTVで放送されたアニメの中でこのお店にDVDが置いてないのは7%でしょ?」
「その通りデシ。よく知ってるデシ。」
ひなたちゃんが驚いた。
「ククリちゃん、何でこのお店についてそんなに詳しいの?」
「普通はみんな知ってるもんだと思ってたよ。ねぇ、ニケくん。」
ククリちゃんがニケくんに聞こうとしたけど、ニケくんはそこにいなかった。
「あれっ、ニケくんがいない。」
「ほら言った通りデシ。ニケくんは人形に変身したデシ。」
ククリちゃんの持ってるニケくんの人形から声がした。
「助けてくれ、人形にされちまった!」
「えっ、どういうこと?」
ふしぎがるククリちゃん。
それで僕は気付いた。
「何かおかしいと思ってたけど、案内嬢の正体はチクリ魔だな。」
「バレちゃ仕方ないデシ。」
チクリ魔は目の前に現れた。チクリ魔とは魔法陣グルグルに出てくる敵モンスターだった。
「ニケは魔法で人形の姿に変えたデシ。大人しくその人形を渡すデシ。」
つづく