『フューチャー・リテラシー』では多くの参考書籍をもとに執筆しましたが、初学者のためにこれは読んでおいて欲しいという総合的な視点で書かれた書籍を紹介します。
近年は、多くの文字を読むことが苦痛な傾向にあるというのに、未来を読み解くためになぜ本を読む必要があるのだろう。
レオナルドダヴィンチになれとは言わないが、未来を読み解くためには総合学としての視点・視野が必要になる。
なにより良書に出会うことができればヒトの考え方や言葉を借りることができ、思考や表現にかかる時間を大幅に短縮できる。
ゼロから探すのは大変だ。おすすめの書籍をきっかけとして、幅広い視点と統合的な視点を得て、未来を読み解いただければと思う。
1.総合
⓵「知の編集工学」、松岡正剛
松岡正剛(2001)『知の編集工学』朝日新聞出版
「フューチャーリテラシー」必読書、本書全般にわたる参考書
副読本:
1)ケリー,ケヴィン (1999)『「複雑系」を超えて―システムを永久進化させる9つの法則』アスキー
「未来リテラシー」の基礎的となる「複雑系」について例示する入門書!
2)Webページ:松岡正剛の千夜千冊
3)今井賢一/金子郁容(1988)『ネットワーク組織論』岩波書店
2.歴史総合
②『ビッグヒストリー』、デヴィッド・クリスチャン
クリスチャン,デヴィッド/他(2016)『ビッグヒストリー:われわれはどこから来て、どこへいくのか』明石書店
「フューチャー・リテラシー」必携参考書!
「テクノロジー」「コミュニケーション」「コミュニティ」のネットワークと相互作用の歴史が「未来」を紡ぎ続ける
あわせて『オリジン・ストーリー』『「未来」とは何か』も読んでみるといいだろう。
③『情報の歴史』、松岡正剛
松岡正剛監修/他(2021)『増補 情報の歴史:象形文字から人工知能まで』NTT出版
「フューチャー・リテラシー」必携書、一家に一冊!
「テクノロジー」「コミュニケーション」「コミュニティ」のネットワークと相互作用の歴史が「未来」を紡ぎ続ける
3.生命
④『地球と生命の誕生と進化』、丸山茂徳
丸山茂徳(2020)『最新 地球と生命の誕生と進化:[全地球史アトラス]ガイドブック』GEOペディア,清水書院
ヒトの未来を読み解く基礎は生命の誕生、進化のプロセスにある
生命進化の紡ぐ螺旋の延長にヒトの「未来」が描かれる
地球誕生~地球消滅までのCG映像
副読本:
4)レーン,ニック(2016)『生命、エネルギー、進化』みすず書房
5)マクファーランド,ベンジャミン(2017)『星屑から生まれた世界 進化と元素をめぐる生命38億年史』化学同人
4.脳
⑤『進化の以外な順序』、アントニオ・ダマシオ
ダマシオ,アントニオ(2019)『進化の意外な順序:感情、意識、創造性と文化の起源』白揚社
ヒトの「感情」「思考」の仕組みを読み解く
副読本:
6)大隈典子(2017)『脳の誕生:発生・発達・進化の謎を解く』筑摩書房
7)坂井建夫/他監(2011)『ぜんぶわかる脳の事典:部位別・機能的にわかりやすくビジュアル解説』,成美堂出版.
5.人文・社会科学
⑥『銃・病原菌・鉄』、ジャレド・ダイアモンド
ダイアモンド,ジャレド(2000)『銃・病原菌・鉄』草思社
世界中の人類史観を変えた、物事を統合視点でとらえるための入門図書!
「未来」を読み解くためには異分野の統合的視点が必要となる。
副読本:
8)アレン,ロバート・C.(2017)『世界史のなかの産業革命:資源・人的資本・グローバル経済』名古屋大学出版
蒸気機関が発明されたから産業革命が起きたのか?なぜイギリスだったのか?
今起こりつつある産業革命、社会構造の変化を読み解くために!複合的な要因で産業革命を起こすプロセスを理解するための参考図書。
⑦『文化がヒトを進化させた』、ジョセフ・ヘンリック
ジョセフ,ヘンリック(2019)『文化がヒトを進化させた:人類の繁栄と<文化-遺伝子革命>』白揚社
ヒトと文化、集団とコミュニケーションの絡み合う共進化が、過去・現代・未来の歴史をつくる
ヒトの未来を読み解く基礎となる必読書
副読本:
9)マクルーハン,マーシャル(1986)『グーテンベルクの銀河系:哲学人間の形成』みすず書房.
8)オング,ウォルタ・J.(1991)『声の文化と文字の文化』藤原書店
可能ならば「身振りと言葉」、アンドレ・ルロワ=グーラン(1973)まで読み進めて欲しい
6.経済
⑧『やさしい経済学:しくみがわかる1、2』、池上彰
池上彰(2013)『やさしい経済学1:しくみがわかる』日本経済新聞出版社.
池上彰(2013)『やさしい経済学2:ニュースがわかる』日本経済新聞出版社.
丁寧に優しく正しく経済の歴史を読み解ける
副読本:
9)池上彰(2017)『池上彰の講義の時間 高校生からわかる「資本論」』集英社
10)ケインズ,ジョン・メイナード原著/山形浩生要約・翻訳(2011)『ケインズ雇用と利子とお金の一般理論:要約』ポット出版
11)ボールドウィン,リチャード(2018)『世界経済 大いなる収斂:ITがもたらす新次元のグローバリゼーション』日経BPM
7.アイデア・プロセッシング
⑨『発想法』、川喜多二郎
川喜田二郎(1976)『発想法:創造性開発のために(改版)』中央公論新社
野外科学のためのアイデアの整理法、KJ法はここから生まれた
ブレーンストーミング、デザイン思考の原点
副読本:
12)梅棹忠夫(1969)『知的生産の技術』岩波書店
13)外山滋比古(1986)『思考の整理学』筑摩書房
8.計画されている未来
⑩『未来創造の白地図』、川口信明
(川口信明(2020), "2060 未来創造の白地図 :人類史上最高にエキサイティングな冒険が始まる", 技術評論社)
計画されている未来本はこれ一冊でいい
副読本:
14)「インターネットの次にくるもの」、ケヴィン・ケリー(2016)
続けて、テクノロジーを複雑系ネットワークとしてとらえる『テクニウム』も読んでおきたい。
8.近未来
⑪『デジタルネイチャー』、落合陽一
落合陽一(2018)『デジタルネイチャー:生態系を為す汎神化した計算機による侘と寂』PLANETS/第二次惑星開発委員会
〈自然〉と〈デジタル〉が融合した新たな自然が環境となり、ヒトはその中で狩猟採集時代のように生活をするようになるだろう。
新刊〈マタギ・ドライヴ〉の発売が待ち遠しい。
副読本:
15)佐藤航陽(2022)『世界2.0:メタバースの歩き方と創り方』幻冬舎
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