アイデアを紡ぐアイデア・プロセッシン:グループ編集、分類と階層化
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アイデア・プロセッシング:
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Step1: 課題抽出・課題設定
Step2: 情報散策
・情報散策
・本の散策
・本に意見を求める読書
Step3: グループ編集、分類と階層化
Step4: シナリオ・物語編集
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アイデア・プロセッシング用語解説:
・ノート: ノートツール
・ページ: ノートツール上のページ、分類の単位
・階層構造: アウトライン構造、分類を階層的に表示
・情報素材: 段落などのを単位とする文章で文節、区分けしたテキスト。1枚の画像。1枚の絵。
・1行見出し: グループ、情報素材、分類を1文で表現したタイトル。
※「内容」の意味のエッセンスをとらえて圧縮し、できるだけ柔らかい言葉で表現する、過度に抽象化しないこと。
・内容: 「1行見出し」に配置した「情報素材」群
情報があふれる近代において、無から突然新しい発想を創造するということはほとんどなく、すでに存在する「情報素材」を結びつけることによって新しい発想が生まれる。つまり、「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」ということだ[1]。
ここでは、アイデアを発想するための下準備として、収集した「情報素材」を編集するための方法について示す。直感思考と論理思考を行き来しながら進めることが肝要だ。
Step3: グループ編集:離合集散、分類と階層化
・インプット: 情報素材
・アウトプット: 分類・階層化した情報素材
ページ・情報素材を編集して分類・階層化するフェーズ。関係の近いページ・情報素材を集め、グループ化し、「1行見出し」と「概要」をつけて分類、階層化、俯瞰して再編集する。
〇ノートにおける階層表現
「ノートツール」のページやページ内テキストでの階層構造とは、次のように大中小分類などの階層(アウトライン)で配置することだ。
ページ、ページ内テキストの階層構造の例:
大分類AAA
中分類BBB
小分類CCC
中分類DDD
小分類EEE
大分類FFF
中分類GGG
○二次情報から意味を生み出す、情報をつなぐ、関係づける、離合集散を繰り返す
0)基本方針
・情報をして語らせ、グルーピングを繰り返す
- 自由にサイクルを行き来しながら繰り返し、情報をして語らせ、情報やグループ間の関係を相互作用させることによりしだいに形づくっていく。必要以上に収束させず、発散的に、ヒトの無意識のフィルタリング能力である「暗黙知」と「美意識」、「類推」と「連想」、アブダクション(仮説推論)を活躍させる。
- 情報が語ることを聞き、情報自身に編集させ、動的な関係と相互作用を発見的に見出だし、意味を生み出すリズムを繰り返す。
・グルーピングのタイミング
- スクラップする都度や1週間毎などの定期的な編集タイミングを決めて自分のリズムをつくる。適宜実施していいが、ためすぎると編集が負担になる、情報収集の負担にならない自分のリズムをつくるといい。
・情報素材を移動せずに、リンクやコピーを活用してもいい
- 必要ならばコンテンツ間でリンクをはってもいいし、いっそのこと同じ文章をコピペてするのもいいだろう。
1)グルーピングと分類・階層化
「情報素材」の関係を見極め、グループをつくり、分類と階層化を行う。
1-1)小グループをつくり、1行見出しと概説をつける
・関係の近い情報素材(ページ、情報素材)を集め、その集団に関係の意味を要約して仮の「1行見出し」をつける。この「関係の近い」とは「属性の分類」だけでなく「類似」や「類推」なども含まれる多面的な関係としてとらえる。
・むりやりどこかのグループに入れようとせず、はみだしたものは中大グループに入れればよい。
2-2)中グループをつくり、1行見出しと概説をつける
・関係の近い小グループを集めて中グループをつくり、1行見出しと概説をつけ、階層構造(アウトライン)とする。
・むりやりどこかのグループに入れようとせず、はみだしたものは大グループに入れればよい。
1-3)大グループをつくり、1行見出しと概説をつける
・関係の近い中グループを集めて大グループをつくり、1行見出しと概説をつけ、階層構造(アウトライン)とする。
・ツールが許すなら、必要に応じてさらに階層を深くしてもいい。
1-4)整理
・大中小、上下、親子、部分集合などでグループ化し、階層構造で関係づけ再整理する。
・複数のグループに所属する情報素材や小グループがある場合には、リンクやコピーにより多重所属させる。
・このグループがどのようなメッセージを発しているかを見極め、特徴やアイデアなどの気づきなどを追記する。自分の意見には末尾に(自)などのタグを付ける。
・アイデア、参考書籍、用語、未分類、宿題、雑記、その他、バックアップ、ゴミ箱などの分類をつくっておく。最初の書き出しを「参考書籍」や「雑記」とし、編集を加える際には「バックアップ」にコピーを残し、いらなくなったページは「ゴミ箱」に保管しおくなど運用を工夫する。
2)新たに発生した関係に気づき、再編集
1)で分類・階層化したグループを横断的に、俯瞰的に眺めることにより再編集する。
・新たな関係に気づく
・新たな発想を思いつく
⇒1行見出しだけでもいいので書き出して、1)のグループに編成する。
⇒自分の発想、意見には「1行見出し」や「内容」記述の末尾に(自)などの記号をつけて区別する。
⇒見いだした「新たな関係」や「新たな発想」が新たな構造を生み出す原動力となる。1)で無理やり収束させようとせず、相互作用を働かせ関係を動的に編集する。
3)定期的なみなおし
書き込んだ内容を1週間、1か月程度でもう一度見返してみると、すでに他人の意見になっていたり、つまらない内容だったということもある。何を意味しているのか、なぜかを問い直し、内容を修正し、「ゴミ箱」などを含め分類の見直しをする。
4)俯瞰する
ある程度グルーピング・分類・階層化を繰り返していると、全体や部分の傾向が見えてくる。その発する特徴・特性をとらえ、ページ間の関係、ページ内の情報素材やグループの関係を俯瞰し、類似、類推、連想、新たな課題・仮説設定を試みる。
脳と外部のノートを連携し、情報を意味的な単位に文節し、親近感のあるものを発見してグルーピングして、構造性を殺さない「1行見出し」を選び、時空間的関係と相互作用から意味ネットワークを動的に構築して読み解き、その意味するところに気づき、仮説を生み出す能力を総合的に活用して編集する。
ここまでの編集プロセスを物語に喩えてみよう。読み解く対象は物語の「世界」を、ページは「各シーン」を、情報素材は「キャラクター」を、情報素材の関係は「キャラクター間のコミュニケーション」を、ページ内、ページの並びは「ストーリー」を、そして貴方が「語り手」となり物語を紡ぎだす。
参考書籍:
[1] ジェームズ・W・ヤング(1988), "アイデアのつくり方", 今井茂雄訳, 阪急コミュニケーションズ
[2] 川喜多二郎, "発想法 -- 創造性開発のために --", 中央公論新社, 1976(改)
[3] 梅棹忠夫(1969), "知的生産の技術", 岩波書店
[4] 外山滋比古(1986), "思考の整理学", 筑摩書房
[5] 松岡正剛(2001), "知の編集工学", 朝日文庫