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インディゲーム開発者がデルアンバサダープログラムでALIENWAREのゲーミングノートを借りてみた
自称インディゲーム開発者のフツララです。
2022年8月に17年働いていたゲーム会社を退職して、「失踪した科学者の住宅兼研究施設で謎の生命体を培養する」というコンセプトのCultureHouseというタイトルの開発を始めました。
ゲーム会社では3DCG、企画、シナリオ、ゲームデザインなどの職種を経験してきましたが、CultureHouseではさらにプログラムやサウンドを含めて1人で開発を進めています。
デルアンバサダープログラム
デルアンバサダープログラムをご存知でしょうか?
DELLやALIENWAREの製品を無料で一定期間体験して、その感想をブログやSNSでレポートする仕組みです。
ゲーム開発者にとって機材の選択は開発効率やモチベーションに影響する重要な問題です。特にノートPCは後から交換できない部品が多いので購入時には頭を悩ませます。
CultureHouseの開発では自作のデスクトップPCと一昨年に購入したミドルクラスのゲーミングノートを併用していますが、より高性能なゲーミングノートなら両方の用途を1台で賄えるかもしれません。
デルアンバサダープログラムでノートPCの体験モニターを募集していたので応募したところ、ALIENWAREのゲーミングノートを借りることができたので1ヶ月使用した感想を記事にします。
ALIENWARE x16
今回借りたのはALIENWAREのx16という機種です。
x16の中でもCPUやGPU、メモリやストレージの違いで幾つかのバリエーションがあるようですが、試用したのは
CPU Intel Core i9-13900HK
GPU NVIDIA GeForce RTX 4070 8GB GDDR6
ディスプレイ 16inch 2560x1600 240Hz
メモリ 32GB LPDDR5 6000MHz
ストレージ 1TB M.2280 PCIe NVMe Gen4 x4 SSD
のモデルでした。
参考までに現在所有しているゲーミングノートのスペックは
CPU Intel Core i5-12500H
GPU NVIDIA GeForce RTX 3060 6GB GDDR6
ディスプレイ 15.6inch 2560x1440 165Hz
メモリ 16GB DDR5 4800MHz
ストレージ 512GB M.2 PCIe-NVMe SSD
です。これはこれで悪くない仕様ですが、ゲーム開発に使用しているとGPUとストレージの容量がネックになる場面があります。
インディゲーム開発でハイスペックゲーミングノートが活躍する場面
良いスペックのマシンがあっても使いどころがなければ宝の持ち腐れですが、インディゲーム開発では高性能なゲーミングノートが本領を発揮する場面がいくつかあります。
イベントでの展示
開発中のゲームをたくさんの人に体験してもらえる場所として、各地で開催されるインディゲームのイベントがあります。
デモを触ってくれた人のプレイから思わぬ改良点に気づいたり、メディアが取材して記事にしてくれる……といった収穫があるので、CultureHouseは可能な限りインディーゲームのイベントに出展するようにしています。
デスクトップPCだと会場まで車で運んだり宅急便で送る手間やコストがかかりますが、ノートなら鞄に入れて持って行くだけなので手軽です。
また、イベントでは1ブースあたりの電力が200Wから300Wくらいに制限されていることが多いので、解像度やフレームレートをできるだけ高くして綺麗な画面でプレイしてもらうには高性能なゲーミングノートが最適です。
モニター期間中も秋葉原のMOGURAで毎月開催されているTOKYO INDIESと、大阪の梅田スカイビルで昨年に続き2回目が開催されたゲームパビリオンJPでCultureHouseを展示する機会があったので、X16を使ってみました。
いつもはフルHD(1920x1080)でデモを実行しているのですが、今回はGPU性能に余裕があったのでWQHD(2560x1440)で展示しています。
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![](https://assets.st-note.com/img/1713364542894-PaEsmnRsHq.jpg?width=1200)
旅行先や展示会場での修正とビルド
イベントで展示するデモは事前にビルドしておいた方が安全ではあるのですが、開発者としては少しでも新しいバージョンを見せたい気持ちがありますし、直前に問題に気づいて修正が必要になる可能性もゼロではありません。(CulutureHouseは会場でデモを修正してビルドしなおしたことが何度かあります)
別の地方や会期が長いイベントでは、新幹線や飛行機で移動したりホテルに宿泊することもあるので、開発環境を持ち歩いていれば直前までデモのチェックや修正ができます。
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ライトのベイク
ゲームのビルドや実行以上にマシンパワーが試される処理にライトのベイクがあります。
現実世界では大気中で散乱したり壁に反射した光があることで柔らかい陰影が生まれますが、ゲームでもこれらをシミュレートすることで現実に近い光や空気感を表現することができます。リアルタイムで行うには重いこの処理を事前に計算してライトマップやライトプローブと呼ばれるデータに保存しておくことをライトのベイクといいます。
![](https://assets.st-note.com/img/1713339359514-lquKOvKSBT.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1713339383495-mz8w3Qjin8.png?width=1200)
建物の形やライトの位置、角度を変えた後はライトをベイクし直す必要がありますが、CPUがこの計算を行うと数時間から数十時間かかります。
ベクトルの並列処理が得意なGPUは数分で完了させることができるのですが、GPUメモリが足りないとCPUに処理がフォールバックされていつまで待っても終わらない……ということがあります。
所有しているゲーミングノートのGeForce RTX3060(GDDR6 6GB)だとGPUメモリの不足でCultureHouseのライトをベイクすることができないので、ライトのベイクはデスクトップPCのRTX4070(GDDR6 12GB)で行っています。
今回借りたx16のRTX4070(GDDR6 8GB)で試したところ、デスクトップPCと遜色ない時間でGPUによるライトのベイクを完了することができました。
数値上のスペックからはわからないこと
ALIENWAREのx16を使ってみて他に感じたことをいくつか挙げます。
キーボードとトラックパッド
デザイン、使用感とも個人的には気に入りました。
日本語キーボードのレイアウトや刻印が取ってつけたようなノートPCもありますが、x16の日本語キーボードはレイアウトも仮名の刻印も綺麗にまとまっています。
トラックパッドが光る機能は実用的には必要ないかもしれませんが、初めて起動した時は「おおっ」と思いました。
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排熱とファンの音
ノートPCのCPUやGPUがスペック通りの性能を発揮するには排熱性能が重要ですが、爆音でファンが回り続けるようだと、周囲に人がいる静かな場所で使うことができません。
X16はインディゲームもくもく会(インディゲーム開発者が集まって黙々と開発する会)や新幹線の車内でUnityを使っても気にならないくらいのノイズレベルでした。
電源アダプターとバッテリー
x16のアダプターは本体のスペックから想像するよりコンパクトでした。
アダプターを繋がずにUnityを起動しても、みるみるバッテリーが減っていく……という感じではないので、短時間であればバッテリーだけでも作業を行えそうです。
本体はそれなりに大きい(薄いけれども奥行きがある)のですが、電源アダプターが巨大ではないので外出先での作業にも使いやすいと思います。
まとめ
ALIENWARE x16を1ヶ月使った感想としては、1台あればインディゲーム開発者が必要とする用途をほぼ賄えそうです。
デスクトップPC+ミドルクラスノートという構成にするよりも、使用する機材をハイスペックノート1台にまとめれば、スペースや消費電力の節約になるかもしれません。
x16は現在、Core Ultraを搭載したx16 R2にバトンタッチしているようです。
CultureHouseの開発全体を通しての予算配分を考えると今すぐ購入……というわけにはいきませんが、次にゲーミングノートを購入するときはハイスペックな機種を視野に入れようと思います。
とはいえゲームが売れる目途が立たないと機材に投資する予讃も限られてしまうので、まずはCultureHouseの開発を粛々と進めて行きたいと思います。
それではまた。
CultureHouseは2025年後半にSteamでのリリースを目指して開発中です。よかったらウィッシュリストへの登録をお願いします。