旅の記憶 ~ GRⅢxで撮る現代アートの聖地青森 十和田編~
テスト勉強の最中、患者さんにもらった深夜特急を読んで無性に旅がしたくなり、夜行バスとフェリーがセットになった切符を取ったことを以前書いた。
行き先は現代アートの聖地ともいわれる青森である。
ちょうどその時青森県大美術館では「奈良美智展」がやっており、そこを旅の最終目的地として、あまり予定を立てずに青森に向かった。
旅と旅行の定義の違いがあるとしたら「予定調和」か否かなのかもしれない。当然仕事をしている身としては完全な「旅」は難しいのであるが、今回はレンタカーなどせずに地元のバスや電車を乗り継いで移動することにした。
ゆっくりとその風景や経験を体に刻みたかったのかもしれない。
仕事を終え、夜の9時に札幌を発ち、0時にフェリー苫小牧から八戸に向けて出発した。
フェリーでの移動なんていつぶりだろう。
あえての一番安い雑魚寝のシートであったが、仕切りもあって快適に寝ることができた。
朝起きて、少しカップラーメンで腹ごしらえをして、八戸に降り立った。
八戸港から八戸の中心街までシャトルバスで移動し、そこから十和田まで約2時間の路線バスの旅である。
停まる駅は約30駅、おそらく自分乗車史上最高に長い路線バスである。
行き先は十和田市現代美術館、十和田市の中心街、官公庁が立ち並ぶ通り全体に現代アートが散りばめられており、一度はいってみたい美術館の1つである。
バスを降り、美術館に向かって歩くと早速アートが出迎えてくれる。
ド派手なかぼちゃ。直島でも見たけど、やっぱり良い。
圧倒的存在感だったのがロン・ミュエクの彫刻作品、広い展示室に4mの彼女が立っている。
肌の質感や血管なども細かく描写されており、リアリティの中にサイズ感とのズレが不思議な感覚をもたらせてくれる。
この作品だけで30分ぐらい鑑賞していた。
午前中に十和田現代美術館を隅々まで鑑賞し、お昼ご飯は十和田名物「バラ焼き」をいただきに徒歩圏内にある司バラ焼き大衆食堂へ向かった。
十和田地ビールとともに、美味しくいただいた。レンタカーじゃないと昼から飲めるのが良い。
昼食後は外に点在するアートを眺めながら、散歩し、再び美術館へ向かった。
青森といったらりんご。きれいな赤にお気に入りのGRⅢの青が映える。
美術館のショップでお土産を物色した後、同じ路線のバスに乗り込む。
八戸まではいかずに途中の下田駅前で下車、古い駅舎で電車を待つ。
青い森鉄道に乗り込み明日の目的地である青森駅へ向かう。市民の足となる電車、学生さんやら会社帰りの方など混んでいたが1時間30分の電車の旅を楽しんだ。
18:00 予定通り青森へ到着、雪がちらつくなか、夕食は青森の地酒を飲むべくちょっと雰囲気の良さげな居酒屋まで足を運んだ。
路線バス、各駅停車の電車。
時間はかかったが、市民のリアルな足となる公共交通機関のでの移動は住んでいる人たちのリアルに触れながら、どこか優しやぬくもりも味わえるものであった。
私にとっては非日常と日常が交差するただの1点の出会いであるが、たしかにその瞬間は風景に溶け込んでいた。
大好きな青森の地酒、田酒を片手に、青森の肴をつまみながら、全身で青森の旅を受け取っていた。
青森編へ続く。
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