お祝い。
我が家のお祝いといえばお寿司が定番である。
小さなお祝いは回転寿司。
大きなお祝いはカウンター寿司。
先日、娘の卒業祝いと入学祝いでお久しぶりにカウンターでお寿司をいただいてきた。
20代前半。
はじめてカウンターでお寿司を食べたのは今の妻との旅行先でのことであった。
値段も勝手もわからずに、ずっとドキドキしながら食べてた。
いつもの半分ぐらいの量でいつもの倍以上の値段に驚いたが、回転寿司と比較すること自体が間違いだった。
きめ細かいサービスや気配り、ネタの質や丁寧な下処理、お客さんの質。
当時の自分にはまだまだそぐわない場所だったけど、いつか粋にカウンターでドキドキせずにお酒を嗜みながら、お寿司をつまめる人になりたいと思った。
あれから20年。
さまざまな経験を得て、少しはカウンターの座り心地も良くなった。
寿司をつまむ姿もだいぶ様になってきただろう。
大将との目配せ、注文のタイミングもだいぶわかってきた。
あの頃、自分の横でスマートに寿司をつまむ紳士に少し近づけているのかもしれない。
しかし、私の横に座る、12歳の娘。
もはやカウンター寿司経験も私と大差ないぐらいで、
「まじ神、うますぎ」とか言って、パクパクと寿司を口に放り込む。
アテのかに味噌をつまみながら、烏龍茶を飲み干している。
一通り、寿司のコースが終わったところで、追加でお好みのお寿司を注文している。
そして、ごちそうさま、美味しかったですとか言って颯爽と店を後にする。
もちろん財布なんか出さない(あたりまえだけど)
なんと末恐ろしいことか。
わが娘をデートに誘ってくれる方、くれぐれも背伸びをしてカウンターのお寿司なんていかないように。
回転寿司で十分幸せになれる子ですので。
12歳の娘の所作に粋を感じながら、ずいぶんと大人になったもんだとしみじみ感じたお祝いの夜。