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ようこそ修羅の国、からお帰りまで。


ようこそ修羅の国。

赤落ち(刑の確定)したらまず私服から舎房着(イマドキで言うと居室着)にチェンジさせられます。



居場所は大体が拘置所のまんまです。

そこで刑の確定された人らの部屋、もしくは独居で箸袋作ったりスーパーの紙袋折ったり、お祝い封筒用の水引き作ったりなんかの内職させられます。

もう自分のお金であろうがお菓子もコーヒーもジュースもカップ麺も終了だ!

特別な行事でもない限り飲めないし食えないぜ!

いよいよ刑務所に移っていく気持ちにさせられます。



一ヶ月くらいで移送予定が決まります。


初犯はまずは近場の分類センターという振り分けを決める工場がある刑務所に移送されます。

累犯は今いる拘置所なり刑務所で移送先を告げられます。

今は刑務所も少子化や犯罪の減少で施設自体が削減されており近所が収容過多になっている場合、遠方に行かされてしまうことも多々あります。



次に刑務所施設の分類です

A(初犯)刑務所、B(累犯)刑務所、W(女子)、F(外国人)、I(禁錮)、J(26歳未満)、L(ロング刑)などがあります。他にも八王子医療刑務所、市原交通刑務所などといった分け方もあります。



名前が出たので軽く解説しますが刑務官からきいた話しでは八王子医療刑務所は終末処理施設みたいな状況とのことです。

場所こそいいませんがわたしが詳しく知るのはJB級の施設です。

拘置区だけならLB級もわかります。

そこには4代目山口組組長竹中正久氏を暗殺した一和会の石川裕雄氏が務めており憧れて言葉やサインをこっそりもらう人もいます。わたしもいただきましたが長い年月で残念ながら失ってしまいました。



分類センターに移送されたらまずは行動訓練。

イッチニーイッチニーと大きな声で行進のやり方から学び、簡単な作業をさせられながら所作について学びます。

北海道の分類センターは札幌です。札幌は刑務所、刑務支所、拘置所と三つの建物が近隣にひしめき合って存在しています。

分類センターで面接などを受けて1〜3ヶ月ぐらいすると新たな移送先に移ります。



その移った先があなたにとっての本格的に刑期を務める施設となります。



ちなみに受刑者には優遇区分と制限区分という二つの分類でランクづけされます。

一昔前でいう1級〜4級、という制度で真面目に過ごせばランクがあがり優遇される、というものです。



今の区分で見ると施設によって差はあるが

優遇区分5類

手紙発信月4通、面会月2回、集会なし

優遇区分4類

手紙発信月5通、面会月3回、集会なし

優遇区分3類

手紙発信月6通、面会月4回、集会月1回500円分

優遇区分2類

手紙発信月8回、面会月6回、集会月2回500円分

優遇区分1類

手紙発信月10回、面会月8回、集会月3回のうちは一回1,000円残りは500円2回、私物でCDプレイヤーが買える。パジャマも私物買える。などなど。

制限区分は4種から始まり4種は昼夜間独居生活、3種は特に制限緩和なし、2種が電話面会可能、身体検査省略など、1種は2種の特典に加えて自由に舎房の出入り可能(鍵なし居室)、部屋時計貸与などがある。



ちなみに刑務所の舎房に時計はない。

時間を意識して精神的におかしくならないように、とかいろいろ説があるけども機械をみだりに置くとロクでもないことになるから、だと思ってた。



ちなみに月3回自分の好きな読みたい本を買わせてもらえる。(お金ある人限定)

紙に本のタイトルを書いてあとは何日かしたら舎房に届いてる。

ホリエモンはこうした本を捌く図書工場だったそうな。

鈴木宗男さんは同じ同衆のお世話をする衛生係とどちらもエリート工場。



工場は図書工場、計算工場(受刑者の作業報奨金を計算する)、炊場(受刑者の食事をつくる)、洗濯工場(受刑者の衣類を洗濯)、営繕工場(施設ないの修繕係)、内掃工場(施設全体を掃除したりゴミを集める)、衛生係これらの工場は経理工場と呼ばれる。

数字が振られる1工場〜は生産工場といい、木工品をつくったり、金属加工をしたり、ミシンを使う洋裁工場があったりと各刑務所で特色が違います。



わたしは自動車整備工場の工場長を長年やっており特殊工場だったので優遇は多く、優遇区分1類の制限区分2種でした。

最後旅立ちの何日か前にまだ受刑者という身分だというのに地元のデパートの地下へ職員に連れて行ってもらい1000円を渡され、「好きなものを食べてこい」と言われるイベントがあった。



長い年月の拘束から社会を見たとき涙が溢れた。


あの時食べた某デパートのケーキとコーヒーの味は今でも忘れない。

そしてそのデパートで刑務官から言われた。
「お前が今更逃走するなんて思ってないよ。帰ってからもしっかり頑張れよ」

そう言われて自分はまた涙が溢れた。



移送されたばかりの最初はなぜ自分がこんなことになるんだ、と責任転嫁ばかりしていたが旅立つ頃には自分がしてきた失敗を受け止めて後ろ指さされても生きていこうと決意できていた。

旅立ちの時がやってきて施設にタクシーを呼んでもらう。

最後の着替えの時、長年世話をしてくれた刑務官がわざわざ来てくれた。

バカヤロー、もう来んなよ。つーか随分ダセエ格好で帰るんだな。じゃあな。



自分はタクシーに乗って振り返らなかった。



タクシーで駅にやってきて慣れない社会に戸惑いながらコンビニで買った食べ物はミックスナッツ。俺の人生はこの先こうやって質素だけど強く生きてやる。あと豆だけにマメに。

ナッツを噛んで新幹線に乗った。

10年ぶりにたばこも吸ったが倒れた。

今はもう吸っていない。



それまでの生き様なんてなんにも得はない。



人に何か頼まれても間違ってると思うことは断る。絶対やらない。

自分が過ちを繰り返さないための合言葉。



これがリテラシーについて書こうと思った心情です。


自分の人生だから道は自分で選ぶんだよ!


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