入院日記①
今までのあらすじ
2021年12月末に脳腫瘍摘出手術の予定だったが、入院前のPCR検査にて陽性が判明。急遽、隔離病棟へ入院となった。しかし、次の日には検査結果が疑陽性であったことが判明し、退院となる。
当初の予定であった脳腫瘍の手術は2022年1月に延期された。
1月、今回は入院前PCR検査を無事通過。
明日はいよいよ本当の入院を迎える…。
1/11
入院準備。
入院期間が2週間くらいになるとのことで、荷物も結構多くなる。
パジャマなどもレンタルできるが、節約のためとリラックスのためにも自分のものをもっていくことにした。
また、コロナ対策で食事のときの飲料も自分でもっていかなければいけない。
荷物がてんこ盛り。
最初はトートバッグで行こうかと思ったが、いかんせん入りきらない。
また、一人で荷物をもって電車で行く予定なのでスーツケースにすることにした。
もし入院患者の中で、一人だけスーツケースだったらどうしようという不安もあるが、仕方がない。
夜は奥さんとボードゲームをして入院前のひとときを楽しんだ。
寝るときになって、奥さんが泣き出し、自分もつられて泣いてしまった。
しばらく帰ってこれないということと、手術への不安。それが急に襲ってきた。
手術の失敗は考えていないが、100%ないとも言えないのだ。
二人でしばらく泣いて、いつの間にか眠っていた。
1/12
入院日。
結局スーツケースにした。
また、手術や検査で結婚指輪を外すことが多くなりそうなので、家に置いていくことにした。
家を出るときは仕事へ向かう奥さんと一緒にでて、途中で別れる。
深く考えるとまた泣けてきそうなので、いつもの雰囲気で別れた。無事に帰ってこれることを願う。
病院に着く。入院受付に行くと、結構スーツケースの人が多く安心する。
ただ、自分のスーツケースが一番おおきかった。まあ、そこはあまり気にしないことにする。
病室は差額のかからない一般用のベッドで一安心。
ct造影剤、身体が熱くなってびびる。
特に睾丸。
最初は上半身。辛いものを食べたような、身体の中から感じる熱さ。それが少しずつ下半身へ移動し、最後は睾丸が熱くなった。
自分の睾丸はもう使い物にならないのではないか、というくらい衝撃的な熱さだった。
そういうものだと事前に説明させていたが、めっちゃ焦った。初めてやって焦らない人はいないと思う。
数十秒くらいで熱さは消えた。
術前のMRI、思えば8月ぶり。微妙に閉所恐怖症なので、やはりストレスを感じた。
造影剤の検査のため昼御飯は食べられなかった。
MRI後は時間がいつになるかわからないため、残しておいてもらうこともできなかった。
朝ごはんをしっかり食べれば良かった。おなかがすく。
変わりに、夜ご飯がとても美味しく感じた。
1/13
入院2日目。
夜は特に不都合なく眠れた。
唯一周りの患者のイビキが気になったくらい。
イヤホン必須だな。
昼頃、昨日手術したと思われる患者さんが病室に戻ってきた。隣のベッドだ。
看護師さんから術後のレクチャーをされているが、いろいろ大変そう。
声しか聞こえないものの、自分の未来を見ている気がして気が滅入る。
夕方。
急に入院患者全員PCR検査をすることになる。
病棟内でコロナ陽性が見つかったらしい。
病棟がざわついている。雲行きが怪しくなる。
夜21時くらい。いつも担当してくれている先生ではない、初めて会う先生から手術延期の話をされる。
なんでも、先ほどのPCRでもう一人陽性が見つかったとのこと。
まだ確定ではないが、手術は延期が濃厚らしい。
またしてもコロナ…。
手術が延期の場合、一旦退院になる可能性が高いとのこと。
ひとまず、手術ができる準備を整えておく。
どうなることやら。
1/14
5時半頃目覚める。
手術の関係で6時以降は水分も禁止のため、多めに水を飲む。
6時。予定では血圧の薬を持ってきてもらうはずだが、誰も来ない。
6:20くらいにナースコールで聞いてみる。
手術中止の可能性が高いため、薬はまたあとで持ってきてくれるそうだ。
9時。まだどうなるか確定しない。
この後の会議で決まるらしい。
ここまでずれ込んだらもういっそのこと中止の方が安心する。
10時過ぎ。
看護師さんから手術の中止を伝えられる。
退院かどうかはまだ決まってないらしい。
12時。
担当のS先生が来る。
別室に移動して、退院を伝えられる。
翌週またPCR検査の予約(やらないといけないらしい)と外来予約をして、お昼ご飯を食べて退院となった。
これだけいろんな問題が発生して先生自身も「手術するなってことなのかなー」と言っていた。
確かに、これだけ延期になるとやる気なくなる…。
その後、お昼ご飯を食べて退院。
久々の、といっても3日ぶりの我が家。
夜はケンタッキーを食べた。ジャンクフード美味しい。
1/15
本来は昨日手術して、今日は病室に戻ってきているはずだったのに、変な感じ。
家でこたつに入ってテレビをみている。
入院前に控えていたお酒を飲む。
ビール1缶で酔っぱらう。
そして、アルコール臭がとても強く感じた。
1週間飲まなかっただけなのに。
1/18
再度のPCR検査と手術日程を話し合うため、J医大へ。
PCR前に体温を計ったところ、38.1℃。マジか。
特に症状はなし。熱っぽさも特に感じなかったのに。
一駅歩いたのがいけなかった?
発熱外来へ回される。
そこで問診とPCR検査。
次から次へと、よくもまあ、こんなにトラブルが起こるもんだ…。
2時間後、陰性と分かる。やっぱりね、という感じ。
念のためもう一度熱を計ると、37.0℃になっていた。
やっぱり、歩いたせいなのだろうか…。
その後、先生と話し合い。
ある程度コロナが落ち着くまでは手術日程は決められないということに。
3/22にまたMRIを撮るのと、そこで手術日程を決めることにする。
MRI、結構金額するんだよなぁ。
でも数ヵ月に一回は撮らないと、やはり不安だ。
たぶん次撮っても、大きさは変わってないんだろうけど。
もどかしさがつのる。
診察後、入院費を払おうと受付へ行くも、入院費はないと言われる。
検査費用も請求されなかった。これは嬉しい想定外。
ありがたい。
1/21
久々に職場へ。
実に2週間ぶりとなる。
本当は抜糸するはずの日なのに、働いているという現実。
なんなんだろうな。変な感じ。
まあでも、働ける場があってありがたい。
これからもなんだかんだお金が必要になるし。
家にいてもすることもないし。
とりあえずは3月までは病気に関しては進まないかな。
血圧の薬をもらいに、Dクリニックへ行かなきゃな。
3/23
再度手術の日程が決まる。
5/25(水)だ。
4月
特に代わり映えのない生活を送る。
入院までにやりたいことリストを作り、いろいろ計画をたてた。
5/7
本当は5/1が結婚記念日だが、レストラン予約が取れなかったため、この日にレストランへ。
ネットで見つけた高級中華料理。
お酒も飲み放題のコースにする。
前回、肝臓の数値があまり良くないと言われたので、この日を最後に手術まで酒を断つことにする。
なんでも、肝臓が悪いと麻酔が使えなくなることもあるとか。
さて、次にお酒を飲めるのはいつになることやら…。
中華料理は非常に美味しかった。
5/18
無事PCRも突破した模様。
いよいよ入院だ。
今回こそは手術できるのか?
5/23
入院の日。
荷物をスーツケースへ詰め込み病院へ。今回は堂々と行く。
しかし、入室時の体温計で引っ掛かる。嫌な予感はしたけどさ…。
37.8度、37.7度、37.7度と三回計っても熱が下がらない。もちろん、症状はない。
たぶん外が暑かったせいだと思うんだけど、熱が下がらないことには部屋に入れない。
不便な身体だ。
ここでもまだ、コロナが影響してくるとは。
別室(入院の個室?)にて30分ほどクールダウンして再度計測することに。
4回目。37.1度。OKということになり無事入院できた。毎回、ヒヤヒヤさせられる。
前回よりも広くて綺麗な4人部屋。というか、建物自体が新しい。前回のコロナ強制送還の件で忖度してくれたのだろうか?
同じ料金(というかそもそも部屋代は無料)ならこっちの方が断然良いなと思った。
向かい側に同い年くらいの男性、隣は70代くらいの男性、斜めは40代くらいの男性だった
みんな脳腫瘍かな?
生活音が聞こえるくらいでほとんどかかわりは無かったが、隣のおじいさんだけロビーに飲み物を買いに出たさい話しかけられた。
ちょっとボケてるのか話が噛み合わない。3ヶ月?入院してるらしい。
いつもなら話しの相手くらいはするのだが、今は人にかまっている余裕はない…。タイミングをみて話を切り上げ、逃げるようにベッドに戻る。
今後は鉢合わせることがないように、気を付けることにした。
検査にたいして意気込んでいたものの、前回1月に手術に必要な検査を終えていたからか、今回は血液検査だけして終わりらしい。
ちなみに血液検査は新人の看護師だったらしく、右腕失敗の後、左腕で成功した。まあこんなこともあるさ。
検査後はかなり暇な時間ができる。
ずっとゲームしていた。ドラクエ6。
いまどき。ドラクエ6。DSの。わざわざ中古屋で買ったやつだ。ちなみに入院中に全クリした。
病院の食事は相変わらずシンプル。
不味くはないが特段美味しくもない。
量もいつも食べているより少ないので味わってよく噛んで食べる。
コロナ禍ということで、飲み物も自分で用意しなくてはならない。
2Lのお茶を買ってもいいのだが、今回は水筒型の浄水器を持ってきた。
水道水を入れればフィルターを通すことでおいしい水になるらしい。結構活用した。
シャワーは予約制で、昼間のうちに希望時間を予約しておく。
20:30に風呂(シャワー)に入り、23時半には就寝。
22時消灯だが、なんだかんだ看護師が部屋の電気を消しに来るのは22時半とかだった。
5/24
6時起床。看護師が部屋の電気をつける。
7時頃体温と血圧を計り、8時に朝御飯。
これまた質素なもの。メインは食パン。ジャムの甘味がありがたい。
あとで聞いた話によると、J医大は特に注文がなければ朝がパンで昼夜は米ということだった。
今回の病棟は一階にコンビニがあり、必要なものはそこで調達できる。
飲み物や食べ物も買えそうだ。
これまたあとで知ったことだけど、手術前の患者は本来、一階に降りてはいけなかったらしい。コロナ対策のためだ。
どうしてもコンビニにいきたい場合は来院者の少ない朝か夕方以降とのことだった。まあ知らなかったのだから仕方ない。
昨日とは違い、いろんな先生方が挨拶しに来る。
手術をしてくれる先生方、リハビリ(言語、判断力、身体能力)、麻酔科、看護師など。
麻酔科とかは同意書的なものを書いた。
最悪死ぬかもしれないと言うのを見てたじろぐがサインする。
相変わらず暇。
ゲームしまくり。
この日は本当に検査もなにもなく一日終わった。
21時以降は水やお茶しか飲めなくなるので、夕食はゆっくり食べた。
夜、奥さんに電話する。不安を伝える。
面会はできないが、声を聞けるだけでも有り難い。
さあ、いよいよ明日は8時半から手術だ。
②に続く。