失敗の本質 読書感想メモ
作戦の遂行について
ノモンハン事件に始まり、インパール作戦、レイテ沖海戦、ミッドウェー海戦、そして沖縄戦について取り上げているが、一貫していることはやみくもにその場、中央の作戦司令部から離れた部隊単位で決められていたこと、という内容が目を引く。グランドデザインを設けず、その場の行動や、「相手は日本軍より弱いから」という思い込みによる対応、兵站を考えない、など根本から問題点があった状態で遂行していたのだ、という検証結果が書かれていた。
組織より個人の心情を優先する対応
ノモンハン事件の発端となってしまった原因は自分にあると思い込んだがため、今の作戦を戦争を終わらせるために対応しなければならないと思い込み泥沼に嵌っていく様子が描かれているのが印象的である。あいつがいうなら仕方なし、と判断という検証結果が、読んでいて考えさせられる。
新技術の応用に失敗
ゼロ戦は素晴らしい戦闘機であったが、その後の無線技術の発達により、レーダーや信管の対応(航空機が近くにあったら爆発する仕組みに砲弾が変わる)などに対応できなかった。これは、一点豪華主義による弊害という話になった。戦艦大和についてもそのとおり。空母が重要であったにもかかわらず、空母よりも作成コストのかかる戦艦建造・保護を優先してしまう。水陸どちらも対応できる海兵隊の運用をアメリカ軍は行っていたが日本軍は行えていなかった。
失敗を学ぶ形に負けた
失敗を学び、フィードバックから得られた内容から自分たちの置かれた内容はなにか、埋め合わせるには何が必要か、の点が足りなかった。具体的には航空戦法による日本軍有意な状況で攻撃が行えたハワイの真珠湾攻撃で、これからは航空戦が主流ということ、戦艦が大量に失われたため空母を建造するきっかけになったことによるアメリカ軍の戦法変更による。日本軍は、結果から得られた実践結果をもとに行動を作り直すことに失敗していた。
最後に、現状の日本企業への問いかけがあった。30年以上前にかかれた本であるが、今も変わらないその投げかけ文を見て、考えてしまった。