MRで加速する、IoT時代の「働き方改革」とは?
皆さんは、MR ( 複合現実 : Mixed Reality ) について、どのようなイメージをお持ちでしょうか?ポケモンGOで、多くの方に認知を広めたAR ( 拡張現実 : Augmented Reality ) 、PSVR ( プレイステーションVR )で市民権を得たVR ( 仮想現実 : Virtual Reality ) 、そして、ARとVRを掛け合わせたMR ( Mixed Reality ) !? これらの新技術は、何もゲーム業界や、エンターテイメント業界だけに特化した技術ではありません。今や、MR ( AR / VR ) は、B to B ( 産業用途 ) でも活用の機運が高まっています。身近な例で言うと、IKEAさんの「IKEA Place」、日本経済新聞さんの「日経AR」などが挙げられます。( ※ MRについては、こちらの記事をご覧ください。)
今回は、「MR」×「働き方改革」というテーマで、ウェアラブルEXPOにお越しの方向けに、本記事を執筆したいと思います。
【 事例.1 】 IKEA Place
【 事例.2 】 日経AR
これらの事例は、ARの強みである「データの可視化」に着目し、開発されたプロダクトです。「データの可視化」だけで、なにが「働き方改革」だ!そんな声が聞こえてくる気もしなくはないが、その結果は、もう少し読んでから判断して欲しい。
※ 最後まで読んで、「それは違う!」ということであれば、本記事の内容について、是非ディスカッションさせていただきたい。
MR ( Mixed Reality ) が持つ、真のメリットとは?
ここで、MR ( AR / VR ) が持つメリット ( 強み ) について、まとめてみようと思う。
1. データの可視化 ( 現物と同じ大きさで、デジタル表現が可能 )
2. IoTエッジデバイスとしてのデータ収集力
3. 時間や場所などの地理的制約を受けない体験
( 昨年、台湾で開催されたCOMPUTEXにHoloLensデモを出展した際の様子 )
「1. データの可視化」については、先ほどご紹介したので、割愛させていただくが、筆者自身、MR ( AR / VR ) の真の価値は、「2. IoTエッジデバイスとしてのデータ収集力」 や 「3. 時間や場所などの地理的制約を受けない体験」にあると考えており、これらの最新技術をうまく活用することで、「働き方改革」を実現できる。
例えば、あなたが自転車を販売する営業マンだったと仮定して、少し話を進めてみる。目の前に、お客様の気になっている自転車が置いてある状況をイメージして欲しい。普通ならこの場面で、製品に関するパンフレットを手渡し、どの部分に記載されている情報が、目の前の自転車に紐づいているのか、説明を始めるだろう。実は、ここで問題が、2つ存在する。1つ目は、顧客が自転車の何に(What)に興味を示しているか、情報を得られるかどうかは営業トークに依存していること。(人依存かつ、均質なデータとして残らない。) 2つ目は、パンフレットと自転車の情報がイマイチリンクせず、帰宅後すぐに忘却してしまうこと。(購買体験として記憶に残りづらい。)
これらの問題を解決する技術こそが、先ほどから説明しているMR ( AR / VR ) である。Microsoftが販売するHMD「HoloLens ( ホロレンズ、以下HoloLens ) 」を装着し、上記の自転車を見ると、そこに自転車の説明 ( デジタルコンテンツ ) が表示され、「現実」と「デジタル」が融合された第三の空間で、商品を購買する体験が提供可能となる。
無論、多言語にも対応することが可能だ。このHoloLensというデバイス、実はユーザーの視点も取得可能だ。 ( ※ アイトラッキングではなく、デバイストラッキングという意味で。) 動画中に見える紫色の丸印が、デバイス自体が向いている方向を示している。これがどの部品(What)に、どれくらいの時間(How)滞在したかを数値化するだけでも、顧客の興味・関心の可視化が可能になるという算段だ。これらのデータを元に、顧客の帰宅後に適切なアフターフォローを行うことも可能となり、成約率の向上が見込まれるだろう。実際、アメリカのDIY大手で、こうした取り組みが既に始まっている。これまでと取得できる顧客データの種類が変われば、営業のスタイルも変わるだろう。つまりは、営業日報等にかける時間は圧縮され、その分、余暇を楽しんだり、人間にしか出来ない「代替不可能な作業」に注力することが可能になるということだ。
そして、MR ( AR / VR ) の可能性は、これだけに留まらない。クリエイティブ業界の在り方そのものも変えていくだろう。
例えば、広告デザイナー。彼らは、PCでデザインしたポスターやチラシを印刷し、顧客に見せながら意見交換を行う。A4程度の大きさのチラシならともかく、駅に飾られているような大きな看板では、実際の大きさで確認するという作業(確認)は難しいだろう。そう、ここにクリエイティブ業界の大きな課題があり、MRの可能性があるのだ。実際の大きさで確認できないということは、実際の設置イメージをデザイナー、クライアント間で共有しづらいということだ。現に、うまく意思疎通が行えないケースや、認識齟齬が発生し、手戻りが発生するケースは少なくないと言う。そうした課題を、MRで解決できないかと考えたのが「Creative Design X (仮)」。
デジタルで作成したデータを、実寸大で「現実空間」にアウトプットできることが最大の強みだ。そして、それらを「ああでもない、こうでもない」と、クライアントとディスカッションをしながら、デザイナーが微調整を加え、成果物を完成イメージに近づけていく。「Creative Design X」は、そんな新時代のクリエイティブ環境を実現するアプリケーションである。「パーソナル・コンピューター」時代から、「コラボラティブ・コンピューティング」の新時代に。様々なデジタルデータが、現実空間を通じて共有され、消費されていく。そんな時代も、すぐそこまで来ている。新しいデジタル技術を業務に取り入れ、「人間にしか出来ない」作業にフォーカスしていく、「働き方改革」時代に欠かせない技術、MR ( Mixed Reality ) 業界の最新動向に、今後も目が離せない。
そんなKDLは、1/16(Thu)~1/18(Fri)の3日間、
東京ビックサイトで開催される「ウェアラブルEXPO 2019」に、HoloLensのデモ ( Creative Design X ) を出展します。
( 出展ブース イメージ )
「ブース場所」
[ 西ホール 小間番号: W14-52 ]
ウェアラブルEXPO@東京ビッグサイトにお越しの際は、是非「NPO法人 日本ウェアラブルデバイスユーザー会」ブースにもお立ち寄りください。
日本ウェアラブルデバイスユーザー会では、最新のウェアラブル端末等に関する勉強会等も開催中です。興味ある方は、下記の記事も併せて、チェックしてみてください。
最後に ( KDL会社紹介 )
KDLは、2018年7月に、Microsoft公式の開発パートナープログラム ( ※1 MRPP ) 認定を取得。同年10月には、今後のMR ( Mixed Reality ) 市場の拡大を見据え、MRソリューションの開発に特化した専門部署「新事業創造係 MR班」を新設しました。
写真(下) : Microsoft 公式ブログ
「Windows Blogs」より、転載。
現在、日本国内では、KDLを含めた24社が Microsoft の公式認定パートナーとして、MRソリューションの現場導入に向けた取り組みを行っています。( 2019.1.14 執筆時点 )
[ 書き手: (株) 神戸デジタル・ラボ 新事業創造係 MR班 堀尾 風仁 ]
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