目次紹介
■序章
・「日本人」の境界変動
・「日本」と「植民地」、そして「欧米」
・「包摂」と「排除」
・「政治の言葉」と「表現されえないもの」
■■■Ⅰ部■■■
第1章:琉球処分 - 「日本人」への編入(18)
・「国内の人類」への統合と排除
・外国人顧問の提言
・「日本人」としての英球人
・歴史をめぐる争いこ
第2章:沖縄教育と「日本人」化 - 同化教育の論理(35)
・旧慣維持と忠誠心育成
・「文明化」と「日本化」
・歴史観の改造
第3章:「帝国の北門」の人びと - アイヌ教育と北海道旧土人保護法(50)
・国境紛争から「日本人」へ
・日本人の住む土地
・宜教師の育成
・「漸化」という論理
・北海道旧土人保護法の成立
第4章:台湾領有 - 同化教育をめぐる葛藤(70)
・台湾統治の混迷
・外国人顧間の同化反対論
・「植民地」か「非殖民地」か
・国防重視論と対欧米意識
・「日本人」化教育の開始
・巻き返す非同化論
・「漸進」という折衷形態
第5章:総督府王国の誕生 - 台湾「六三法問題」と旧慣調査(110)
・〈事実上の立法権〉
・〈台湾自治王国〉構想
・折衷としての「法律でない法律」
・議会側の反発
・「日本人」の意味
・後藤新平の台湾王国化
・根拠不明の独裁支配」
第6章:韓国人たりし日本人 - 日韓併合と「新日本人」の戸籍(147)
・踏襲された折衷形態
・「漸進主義」の教育
・国籍における排除と包摂
・同化言説の完成
■■■Ⅱ部■■■
第7章:差別即平等 - 植民政策学と人種主義(168)
・フランス同化主義と啓蒙思想
・ル・ポンと同化主義批判の台頭
・「生物学の原則」
・「自治」と「離隔」
・「自主」のジレンマ
・二つの差別の間
第8章:「民権」と「一視同仁」 - 植民者と通婚問題(195)
・「一視同仁」の高唱
・「植民者民権」の出現
・通婚と「日本人」
第9章:柳は翠、花は紅 - 日系移民問題と朝鮮統治論(215)
・錯綜する論壇の統治批判
・デモクラットの文明的同化主義
・大アジア主義者の文化多元主義
・自由主義者の分離主義
・「民族問題」の溢路
第10章:内地延長主義 - 原敬と台湾(240)
・文明化としての「日本人」
・「日本」編入のモデル
・総督府の抵抗と「漸進」
・頓挫した統治改革
第11章:統治改革の挫折 - 朝鮮参政権問題(262)
・総督府による統治改革
・自治か参政権か
・〈総督府の自治〉の浮上
■■■Ⅲ部■■■
第12章:沖縄ナショナリズムの創造 - 伊波普猷と沖縄学(280)
・沖縄側にとっての同化
・二重のマイノリティー
・防壁としての同祖論
・沖縄ナショナリズムと「同祖」
・排除と同化の連鎖
・啓蒙知識人として
・挫折した沖縄ナシリナリズム
第13章:「異身同体」の夢 - 台湾自治議会設置請願運動(320)
・権利獲得としての「同化」
・多様性への願望
・植民政策学の読み換え
・キリスト教徒とアジア主義者
・多元的な日本、多元的な台湾
・「憲法違反」の限界
・引き裂かれた請願運動
第14章:「朝鮮生れの日本人」 - 唯一の朝鮮人衆議院議員・朴春琴(362)
・「日本人」としての権利
・内地在住朝鮮人の参政権
・「我等の国家」への屈折
・「一視同仁」の壁
・虚像の「日本人」
第15章:オリエンタリズムの屈折 - 柳宗悦と沖縄言語論争(392)
・オリエンタリズムとしての「民芸」
・沖縄側の猛反発
・「西洋人」としての方言擁護
・「日本人」の強調
・沖縄同化の最終段階
第16章:皇民化と「日本人」 - 総力戦体制と「民族」(417)
・「朝鮮」の否定
・民族概念の相対化
・平等と近代化の期待
第17章:最後の改革 - 敗戦直前の参政権付与(435)
・境界を揺るがす三要因
・移籍問題の浮上
・越えられなかった臨界
・「日本人」という牢獄
■■■IV部■■■
第18章:境界上の島々 - 「外国」になった沖縄(460)
・「少数民族」としての沖縄人
・「琉球総督府」の誕生
・「アメリカ人」からの排除
・「日本人」であって「日本人」でない存在
第19章:独立論から復帰論へ - 敗戦直後の沖縄帰属論争(483)
・沖縄独立論とアメリカ観
・保守系運動としての復帰
・帰属論議の急浮上
・揺らぎのなかの帰属論
第20章:「祖国日本」の意味 - 1950年代の復帰運動(502)
・人権の代名詞としての「日本人」
・親米反共を掲げた復帰運動
・日本ナショナリズムの言葉
第21章:革新ナショナリズムの思想 - 戦後知識人の「日本人」像と沖縄(522)
・「アジアの植民地」としての日本
・「健全なナショナリズムの臨界
・単一民族史観の台頭
・「植民地支配」から「民族統一」へ
・民族統一としての琉球処分
・非難用語となった「琉球独立論」
第22章:1960年の方言札 - 戦後沖縄教育と復帰運動(556)
・復興活動としての復帰
・方言札の復活
・「日の丸」「君が代」の奨励
・憧れと拒絶の同居
・「祖国は日本か」
・政治変動と転換と
第23章:反復帰 - 1972年復帰と反復帰論(597)
・琉球独立論の系譜
・復帰の現実化
・「仮面」への嫌悪
・独立論との距離
・「否」の思想
■結論(627)
・後発帝国主義としての特徴
・国民国家における包摂
・公定ナショナリズム
・「脱亜」と「興亜」
・分類外の曖昧さ
・被支配者の反応
・有色の帝国