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【秘密結社/古代メーソン】新約聖書・キリスト教の研究-28/#169


フリーメーソンといえば、秘密結社の中でも最も有名な組織である。その起源は、ヘロデ王の孫であるアグリッパ1世にまで遡ることが分かっている。フリーメーソンの創設者一族の中には、創設の秘密が記された古文書が代々受け継がれているとされる。そして、その古文書の所有者がある言語学者と接触したことで、世に出たのが「ヘロデの呪い」という本である。この書籍は真実を記したものであり、メーソンに関する秘密が明かされている。

古代メーソンの秘密

歴史をつむぐ見えざる糸 ―― 林 陽 (翻訳)
今から2000年前、正確には1960年前のAD43年に、ユダヤの地を支配していたヘロデ・アグリッパという王がいた。ヘロデ大王の孫である。
このヘロデの宮廷に、宰相ヒラムが現れるところから古文書は始まる。ヒラムは当時多くのユダヤ人が改宗しつつあったキリスト教を撲滅することを目標に据えた、極秘組織の結成を王に進言する。ここに秘密会議が開かれ、石工結社『秘密の力』が誕生したという。
創設メンバーに名を連ねたのは、ヘロデ、ヒラムほか9人のユダヤ人エリート官僚。各々は厳密な秘密主義の下、AD43年に始まる結社の議事録、起こった歴史的事件の記録、指令等を含む極秘歴史書を、子々孫々に伝えることになった。

ヘロデの呪い

キリスト教撲滅が古代メーソンの創設目的

結社は、ユダヤ教を守るという名目の下に、保守的ユダヤ人を続々取り込み、キリスト教徒を殺戮する極秘の軍団を編成した。組織結成の時期と動機を隠し、威信を増大させるために、年代を1000年昔に遡らせ、ソロモン神殿の建造者、ヒラム・アビフを創始者に仕立てた。古来の神秘主義と象徴で外側を粉飾し、多くの階級と秘伝式を設けて、階級を上がる度にさらに拘束の力を強化。死の誓約に束縛されたメンバーは、命がけで秘密を守り、キリスト教徒との戦いを遂行した。その間の生々しい記録が記載されている。結社はエルサレム(ヘロデの地下神殿)を中心に、各地に地下神殿を造り、勢力を拡大するも、同族を殺し合う事件を契機に勢力を弱め、ついに崩壊寸前に至る。そんななか、17世紀末に、ある子孫が結社の復興を願って動き出す。

ヘロデの呪い

元々、古代メイソンの創設理由は、キリスト教の撲滅にある。キリスト教徒を殺戮する極秘の軍団を結成することが目的だった。しかし、そんな目的を明かして会員を募っても、人は集まらない。だから本当の目的を隠す必要があった。そして、その結社が古代から続いていると見せかけることにした。創設年代は、ソロモン神殿の建設者である頭領ヒラム・アビフに遡るという伝説を勝手に作り出した
実際、ヒラム・アビフという名前は聖書に出てくるわけではなく、存在もしない人物。ヘロデ・アグリッパ王は、ソロモン神殿を建てた頭領がいたことは知っていたが、その人物の名前は聖書に記されていない。そこで、アグリッパ王の宰相ヒラムの名前を借りて、「ヒラム・アビフ」という架空の人物をでっちあげた。さらに、メイソンの創設年代をソロモン神殿の建設時にまで遡るという嘘の伝承を作り上げることで、結社の威信を高めた。これにより、メイソンが古来からの伝統ある重要な組織であると信じさせ、人々を引きつけた。
会員が少しずつ階級を上がるごとに、実はこの結社がキリスト教徒を撲滅するための集団であることが少しずつ明かされていく。そして、最終的に本当の目的を知ったときには、すでに結社に対する忠誠を誓っているので、キリスト教徒を躊躇なく撲滅するという目的に疑念を持つことがなくなっているというわけだ。

テンプル騎士団は中世に現れ、ヘロデの地下神殿で何かを発見したことで、突如として強大な力を得て、キリスト教の中で独特な地位を築いた。彼らの儀式は、異端とみなされるものが多く、フリーメイソンに引き継がれていった歴史がある。騎士団がヘロデの地下神殿で手にした財宝が何であったのかは、現在も謎に包まれているが、さまざまな噂が飛び交っている。例えば、古文書であったのではないか、またはキリスト教と深い関係のある宝物だったのではないか、という説がある。しかし、未だにその正体は解明されていない。ただ、ヘロデの地下神殿で何かを見つけたことは確かなようで、フリーメイソンの儀式の中にもその発掘に関するエピソードが取り込まれていることから、テンプル騎士団が何かを発見したという事実が伺える。最終的にその発見はフリーメイソンに流れ込み、現在でも儀式として伝えられている。つまり、フリーメイソンはテンプル騎士団が発見した何かを今でも保持している可能性が高い。

フリーメイソンの起源がテンプル騎士団にあることは、フリーメイソン自身が認めている。テンプル騎士団からフリーメイソンへと組織が発展してきた流れは公に明かされている。そして、その起源がヘロデの地下神殿に関連していることから、テンプル騎士団と古代メーソンが直結している可能性が高いとされている。

この流れの中で、テンプル騎士団の勢力は弱まり、崩壊寸前にまで至ったが、17世紀に入るとある子孫がその復興を願い、『秘密の力』が動き出した。この『秘密の力』とは何かというと、基本的な精神は共通しているが、その名前を表に出すと人々が怖がって入会しなくなるため、全く異なる名前の秘密結社がいくつも設立された。各地に散らばるこれらの結社は異なる名称を持ちながらも、基本的な精神は同じであり、『秘密の力』の会員や幹部が代表として送り込まれて、統率が取られ、情報交換が行われている。
テンプル騎士団やカタリ派はこの『秘密の力』と密接な関係にあったとされ、シオン修道会も同様である。これらの組織はむしろ『秘密の力』の支部と見なしてもよいほど、重要な結びつきがあると考えられている。そして、ついに本家の『秘密の力』が大統合に向けて動き出したのだ。

古代メーソン創設の秘密が暴かれた経緯

『秘密の力』九名の創設者

秘密の力 9名の創設者
ヘロデ・アグリッパ/ヒラム・アビウデー/モアブ・レビ/ヨハナン/アンティパス/ヤコブ・アプトン/ソロモン・アペロン/アドニラム・アビア/アチャド・アビア

妻への愛でプロテスタントへ改宗したヨナ

彼らは、のちに近代メーソンの創始者とうたわれるようになった、アンダーソンとデザギュリエに接触、復興計画を打ち明ける。ここに、組織復興のための秘密会議が開かれるが、双方の利害が折り合わず決裂、写本は奪われ、古代メーソンの子孫の一人、レビは暗殺されてしまう。
この奪われた写本に記されていた、古い規約と象徴を下敷きにして近代メーソンが結成された。本書は、この暗殺されたレビの子孫、ローレンスが明らかにしたものである。
メーソンの起源がヘロデ王に遡るなどという話は、一度たりとも聞いたことがない。だが、この新たな観点から聖書を見直してみると、裏付けとなる事実が各書に記載されていることが判明した。
聖書には、確かに、ヘロデ・アグリッパがキリストの使徒らを殺しまくっていた事実が記載されている。聖ヤコブはアグリッパによって剣で首をはねられた。使徒、聖ペテロもアグリッパによって牢獄につながれたが、天使の助けを得て脱出した。
歴史書の注釈を行ったヨナは、古代メーソンは1717年に新メーソンという子を生み、さらに社会主義という孫を生んだが、時代を経るに従って、子孫の数は膨れ上がり、ついには世界から宗教と名のつくものを、すべて滅ぼすだろうと預言している。
ヨナは、先祖代々伝えられてきた古写本の真偽を確かめるべく、自ら新メーソンに入社し、すべてを調べるために、33階級まで上り詰め、その間に経験した入会儀礼、合図、合言葉、象徴の一つ一つを記録し、古代の歴史書の内容と照合している。
このような大変な散財と時間と労力、先祖の人命さえ費やして、ようやく実現したのが本書なのだ。

ヘロデの呪い

親愛なるメーソンの兄弟へ

この歴史を提供する前に、私は心の底からあなた方に挨拶を送る。
あなた方以上に、この歴史を捧げるに相応しい人々がいるであろうか。
内容物を知りもせずに飲料を飲むような愚者がいようか。
服を着るときに、それがきれいかどうか、あるいは虫に食われていないかどうかを確かめない人間がいようか。
この例えが、その発祥、過去、創設者、創設の歴史、組織の原則について、何一つ知らずにいる、組織員にいえるのである。
無知であってはならないことに無知でいる、その組織員とは誰であろう。
19世紀ものあいだ、組織の発祥または歴史を知らずにいたのは、他ならぬ、あなた方メーソンなのである。
創設者たちは、その秘密を秘密の衣の中に巧妙に隠した。彼らは、歴史家たちの執拗な調査にもかかわらず、その創設から今日に至るまで、それを隠し続けたのだ。
私は、神の奇しき導きにより、この歴史を発見することができた。
これは歴史の真実を探る者たちが久しく求めていた発見であるがため、私は、それを隠しておくことは背信行為であり、臆病な行為であり、犯罪でさえあると考える。
私がこの原本をアラビヤ語に翻訳し、刊行する理由は、ここにある。
私は、熱烈な挨拶とともに、思慮深さと細心の注意をもって、良心と開かれた心をもって、この歴史資料を読むよう推奨する。
――発見者とアラビヤ語への翻訳者、アワド・カウリー
カウリー・アワド(khoury awad)

ヘロデの呪い

古文書に書かれたメーソン創設の秘密会合

ヘロデ・アグリッパ王の開いた第一回会合

石工メーソン結社の結成へとつながる、ヘロデ・アグリッパ王の宮廷で開かれた一連の会議の記録。AC(キリスト後)43年6月24日の会合。ヘロデ・アグリッパの幸相ヒラム・アビウデが、いかにメーソン結社創設の構想を練り、それをエルサレム宮廷で提案するに至ったかについて。
その日、ヒラム・アビウデはヘロデ・アグリッパ王の前に姿を現し、次の言葉をもって考えを表明した。
「陛下、ペテン師(訳注―イエス・キリストを意味)の配下の者たちと彼らの信者が数を増し、その説教をもってユダヤ国民を混乱に陥れようと企んでいるのを見て、われわれに可能なあらゆる手段を尽くしてこれら先導者たちを攻撃し、彼らを腐敗させ、堕落させ、できれば彼らを葬り去るという根本方針に立つ、秘密連合体の組織化を提案したいと心に決め、私はここへ参りました」
その結成についても、その根本方針と活動についても、誰一人知らないことが望ましいのです。陛下が創設メンバーにお選びになる者だけが、創設の秘密を知ることになりますよう。それゆえ、陛下、この待ちに待った勢力をつくりだすことについて、お考えをお聞かせいただきたいのです」
王は語った。
「おお、ヒラムよ、知れ。そなたの考えは輝かしく、そなたに特別に授けられた英知に相応しい。それは、宗教的情熱に燃える、そなたの心から来たものに相違ない。おお、何と優れたる判断であろう!
われらは、この計画を、できる限り早く実現しなければならない。明日、モアブを召還せよ。彼には何も知らせるな。余が直々に彼に伝えよう」

ヘロデの呪い

秘密結社の創設目的は、イエス・キリストの信者の数が増加していることに対抗するため、あらゆる手段を尽くしてキリスト教徒を攻撃し、腐敗させ、堕落させ、できれば撲滅することにあった。この組織は、キリスト教徒の撲滅を目指し、彼らを腐敗させる手段として賄賂や誘惑、特に異性を利用することが有効だと考えていた。例えば、女性信者に対して男性を送り込み、道徳的に堕落させるなどの方法が挙げられている。
こうした堕落の手段として「グノーシス思想」が利用された。このグノーシス思想は当時非常に流行しており、その祖とされるシモン・マゴスや彼の周辺の人々は、エルサレム教団を強く憎んでいた。シモン・マゴスはヨハネ派やドシテウス派と呼ばれるグループに属しており、これらのグループもまたキリスト教の初期エルサレム教団と敵対していた。
このような背景から、秘密結社とグノーシス派は反キリスト教的な立場で一致し、共に行動することができた。グノーシスの思想を取り入れることで、秘密結社は儀式や方法論を学び、双方に利益があったと考えられる。
このような協力関係の中で、グノーシス派の信徒たちがキリスト教徒の婦人を堕落させる、あるいは夫婦を引き離して婦人を自分のものにするなどの行動が行われていた。これにより、キリスト教徒を堕落させることが目的であった。
このような状況から、キリスト教徒から見れば、グノーシス派はとんでもない異端者であり、グノーシス派から見ればキリスト教は邪教と見なされていた。しかし、背後ではこうした異端的な集団が暗躍しており、複雑な対立構造が存在していた。

ヘロデ王の第二回会合

「さて、わが二人の付き人よ、ペテン師が現れてから何が起こったのか。
われらは、少数といえども、謀説で人民を惑わすあの宗派の者たちを攻撃する手立てを見つけねばならない。
そればかりか、謀説に改宗した者たちは、自分自身に従うだけではなく、その教えを熱心に実行に移し、不正を貫くために、行く先々で、恐れも知らずに堂々と教えを説いているのだ。
この危機を避けるには、ユダヤ民族の精神を密かに結集し、その宣伝活動を消し去る目的を持つ連合体を組織する以外、もはや残された道はない。
そこで、その組織作りに協力する者たちを、今、選び取ろうではないか」
ヘロデは9人の男たちを指名し、それらの名前を記録するよう、モアブとヒラムに命じた。以下の通りである。
王のヘロデ・アグリッパ、ヒラム・アビウデ、モアブ・レビ、ヨハナン、
アンティパス、ヤコブ・アブドン、ソロモン・アベロン、アドニラム・アビア、アチャド・アビア。

ヘロデの呪い

グノーシス主義は、キリスト教に対抗する形で発展していったと考えられる。彼らの方法は、キリスト教徒を堕落させ、その信仰から引き剥がすというものだった。特に、古代メイソンの創設の理念を考慮すると、彼らは手段を選ばず、殺人や暗殺も平然と行っていた。妨害工作や殺戮さえも厭わなかったことから、古代メイソンは悪に属する組織と考える方が正しいのではないかと思われる。
彼らがこうした行動を取った背景には、宗教的情熱があった。彼らは自分たちの信じるユダヤ教こそが真の宗教であり、その信念に基づいて暗殺や殺戮を行ったのである。しかし、宗教を持たない人々から見ると、このような行為は卑劣であり、正義とは言い難いものだと感じるだろう。
一方、キリスト教もまた、グノーシス主義者に対して激しい弾圧を行い、多くを殺害してきた。カタリ派やテンプル騎士団も同様に、キリスト教によって虐殺や拷問を受けた。これらの行為も、キリスト教徒が宗教的情熱に燃えて行ったことであり、どちらの側も残虐な行為を正当化してきたという点で、「どっちもどっち」と言わざるを得ない状況だ。
どちらの側も、原始キリスト教や原始エルサレム教団の理念から逸脱している。カトリックも古代メイソンも、グノーシス派も、すべてが原始エルサレム教団とは異なる思想を持っている。本来の原始エルサレム教団の思想は、もはや現代に伝わっていない。もし我々がそれを知ることができるとしたら、東方に伝わったマニ教やネストリウス派の思想の一部として、その残骸を見ることができるかもしれない。そして、その思想は神智学に最も色濃く取り込まれていると考えられる。
本来の原始エルサレム教団の思想、つまり十二人の弟子たちの思想は、今では神智学として知られているものの中に最もよく反映されているだろうと推測される。

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