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恩知ラズ!~上から目線のトリアタマ【セイスケくんのエッセイ】

お前は恩知らずだ!」と面と向かって言ってくれる人は、実際には少ないのではないだろうか。誰かに対して「この恩知らず!」なんて言うことは滅多にないし、陰で「恩知らず」とささやかれるのがオチ。
だから、自分が恩知らずだなんて、ほとんどの人は気づかないものだ。自分がしてあげたことはずっと覚えているのに、してもらったことはすぐに忘れてしまう……
これが現実だ。

興味深いことに、これには科学的根拠があるらしい。以下は浄土真宗系の仏教伝道使から聞いた話。

ある大学で、学生400人に「この大学であなたがしてあげたこと、してもらったことを書き出しなさい」というアンケートを行った。
理論上、「してあげた」と「してもらった」の比率は同じでなければならない。しかし、実際には大きな違いがあった。
普通の人は、「俺はあいつにこんなことをしてやった」と、してあげたことをよく覚えているので、「してあげた」件数の方が「してもらった」件数よりも多いのは想像に難くない。問題はその比率だ。
その実験によると、してもらったことを1とするなら、してあげたことは35だった。
1:35
つまり、人間はしてもらったことよりも、してあげたことを35倍もよく覚えているということになる。逆に言えば、してもらったことが35あっても、そのうち34は忘れてしまうということだ。

歳を取って記憶が曖昧になると、自分が恩知らずかどうかもわからなくなるけれど、スーパーでの「納豆3パック58円!」の特売情報はしっかり覚えているような人なら、してもらったことくらい、しっかり覚えていられるはず。この心理実験の話を聞いて、「ああ、これ自分のことだ!」と思った。もっとも、与えるほどの愛を持ち合わせていないので、してあげたことなんて何もなかったが。
いずれにせよ、この布教師先生の話を聞かなければ、一生恩知らずのままだったかもしれない。

納税額日本一で有名な斎藤一人(さいとうひとり)さんがこんな話をしている。

ひとりさんの本で命救われましたって人いるの。そういう人に、こうやっていうの。だったら、うちのクリームか健康食品飲みな、って。別にあんたが飲んだからって、飛躍的に改善するとか思ってないよ、って。
だけど、サントリーの社長に助けられたって話なら、キリンビールで乾杯してるやつはおかしいんだよ?よその化粧品会社の社長に世話んなった人は、そこの人の使いなって。それがスジなんだよ。
この世の中には歴然とした筋道っていうのがあるんだよ。いまさらスジとかはんぺんの話ですか?っていうと、スジとかはんぺんの話なんだよ(笑)
だけど、それって大切なんだよ。いいかい?
自分が若い頃お金がなくてさ、定食屋いったらそこのおばちゃんがコロッケくれたとか。ご飯、普通の人よりちょっと多くしてくれたとか、ってことがあったら、自分が大会社の社長になろうが総理大臣になろうが、そこの町いったらそこ行って、コロッケ喰うの。わかるかい?
スジ通すって、団子だってころころ転がっちゃうのはスジが通ってねぇから(笑)それでね、スジの通った生き方、しないとね。俺総理大臣なったけど、おばちゃんとこのコロッケ忘れられないで来るんだよ。それを、あっちのコロッケが5円安いだとかさ、こっちが旨いとかっていうけど、その旨いコロッケ屋はあんたに何かしてくれたか?って。

[出典:今まで語れなかった、俺の成功法則~義理・人情・イチバン!]

とても感銘を受けた。恩を忘れず感謝できる人と恩知らずとの違いは、こういった小さなことを実行しているかどうかの違いではないだろうか。

#セイスケくんのエッセイ #エッセイ #創作大賞2024 #エッセイ部門

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