目次紹介
序章
・二つの「戦後」
・「戦後民主主義」の「言葉」
・「言説」と「心情」について
第一部
第1章:モラルの焦土-戦争と社会状況(29)
・セクショナリズムと無責任
・軍需工場の実態
・組織生活と統制経済
・知識人たち
・学徒兵の経験の始まり
・「戦後」の始まる
第2章:総力戦と民主主義-丸山眞男・大塚久雄(67)
・「愛国」としての「民主主義」
・「近代」への再評価
・「国民主義」の思想
・「超国家主義」と「国民主義」
・「近代的人間類型」の創出
・「大衆」への嫌悪
・屈辱の記憶
第3章:忠誠と反逆-敗戦直後の天皇論(107)
・「戦争責任」の追及
・ある少年兵の天皇観
・天皇退位論の台頭
・共産党の「愛国」
・「主体性」と天皇制
・「武士道」と「天皇の解放」
・天皇退位と憲法
・退位論の終息
第4章:憲法愛国主義-第九条とナショナリズム(153)
・ナショナリズムとしての「平和」
・歓迎された第九条
・順応としての平和主義
・共産党の反対論
・「国際貢献」の問題
第5章:左翼の「民族」、保守の「個人」-共産党・保守系知識人(175)
・「悔恨」と共産党
・共産党の愛国論
・戦争と「リベラリスト」
・オールド・リベラリストたち
・「個人」を掲げる保守
・「世代」の相違
第6章:「民族」と「市民」-「政治と文字」論争(209)
・「個人主義」の主張
・戦争体験と「エゴイズム」
・「近代」の再評価
・共産党の「近代主義」批判
・小林秀雄と福田恆存
・「市民」と「難民」
第二部
第7章:貧しさと「単一民族」-一九五〇年代のナショナリズム(255)
・格差とナショナリズム
・「アジア」の再評価
・「反米ナショナリズム
・共産党の民族主義
・一九五五年の転換
・「私」の変容
・「愛する祖国」の意味
第8章:国民的歴史学運動-石母田正・井上清・網野善彦ほか(307)
・孤立からの脱出
・戦後歴史学の出発
・啓蒙から「民族」へ
・民族主義の高潮
・「歴史学の革命」
・運動の終焉
第9章:戦後教育と「民族」-教育学者・日教組(354)
・戦後教育の出発
・戦後左派の「新教育」批判
・アジアへの視点
・共通語音及と民族主義
・「愛国心」の連続
・停滞の訪れ
第10章:「血ぬられた民族主義」の記憶-竹内好(394)
・「政治と文学」の関係
・抵抗としての「十二月八日」
・戦場の悪夢
・二つの「近代」
・「国民文学」の運命
第11章:「自主独立」と「非武装中立」-講和問題から五五年体制まで(447)
・一九五〇年の転換
・アメリカの圧力
・ナショナリズムとしての非武装中立
・アジアへの注目
・国連加盟と賠償問題
・「五五年体制」の確立
第12章:60年安保闘争-「戦後」の分岐点(499)
・桎梏としての「サンフランシスコ体制」
・五月一九日の強行採決
・戦争の記憶と「愛国」
・新しい社会運動
・「市民」の登場
・闘争の終焉
第三部
第13章:大衆社会とナショナリズムー一九六〇年代と全共闘(551)
・高度経済成長と「大衆ナショナリズム」
・戦争体験の風化
・「平和と民主主義」への批判
・新左翼の「民族主義」批判
・全共闘運動の台頭
・ベトナム反戦と「加害」
第14章:「公」の解体-吉本隆明(598)
・「戦中派」の心情
・超越者と「家族」
・「神」への憎悪
・戦争責任の追及
・「捩れの構造」と「大衆」
・安保闘争と戦死者
・国家に抗する「家族」
・「戦死」からの離脱
第15章:「屍臭」への憧憬-江藤淳(656)
・「死」の世代
・没落中産階層の少年
・「死」と「生活者」
・「屍臭」を放つ六○年安保
・アメリカでの「明治」発見
・幻想の死者たち
第16章:死者の越境-鶴見俊輔・小田実(717)
・慰安所員としての戦争体験
・「根底」への志向
・「あたらしい組織論」の発見
・「難死」の思想」
・不定形の運動
・「国家」と「脱走」
結論(793)
・戦争体験と戦後思想
・戦後思想の限界点
・戦争体験の多樣性
・「第三の戦後」
・「護憲」について
・言説の変遷と「名前のないもの」