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《レビュー》赤い車と自転車のおじさん/神野守【セイスケくんのエッセイ】

学童の頃、先生から感想文の宿題をもらって一行も書けなかったこんな私が、自発的に感想文を書けたという奇跡を与えてくれたこのエッセイ。
こういった何気ない日常を切り取って文章にしてしかも読みながら頭にクリアな影像が浮かぶ……まるで映画を見たような読後感でした。

やっと感想文を書けるようになったセイスケくん

このエッセイを読んだとき、星新一の短編小説を読んだような感じがした。短くてもちゃんと一つの物語が完結していて、最後には考えさせられる展開があった。読み終えた後、ちょっとした達成感を感じるし、普段の生活の中で見逃しがちな出来事の意味に気づかされるのが、このエッセイの魅力だと思う。

このエッセイの良さは、誰もが経験したことがあるような日常の一場面をうまく描いているところだ。例えば、交通量の多い国道での一場面が描かれていて、僕たちが普段あまり気にしない人々の行動や心の動きが丁寧に描かれている。特に、車の運転手と自転車のおじさんの間にある見えない心理的なやり取りや、想像力を働かせることで生まれる可能性がたくさん示されていて、読んでいていろいろなことを考えさせられた。

それに、作者の感性が光っているエッセイだと思う。普通なら見逃してしまうような場面を切り取り、その中に隠れている人間の心理や感情をうまく描き出している。赤い車と自転車のおじさんの関係性を通じて、善意と悪意、優しさとストレス、日常の中にあるドラマが見事に描かれている。このエッセイを読んで、自分の日常にも新しい視点を持つことができた。

このエッセイは短くてもすごく充実していて、読み手に深い印象を残す。普段の些細な出来事を通じて、深い人間理解を促す力があり、星新一の短編小説のような満足感を味わうことができた。作者の感性が光る一作で、読み終わった後もその余韻が長く続くエッセイだった。

[5年2組:ササハラセイスケ]


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