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【秘密結社/フリーメーソン】新約聖書・キリスト教の研究-29/#170


前提として、ソロモン王はイルミナティやフリーメイソンとは無関係であり、彼は単なる悪魔崇拝者や魔術師に過ぎない。フリーメイソンやイルミナティとの関連はない。
フリーメイソンという組織の背景には、バビロン捕囚の時代に秘教が生まれたことがある。この秘教は、ゾロアスター教とカルデアの神学が結びついて形成されたものであり、その後、アレクサンドリアのエジプトに伝わった。この過程で、エジプトの宗教と結びつき、ミトラ教やエッセネ派が誕生した。エッセネ派はセケンエンラーの死の儀式を受け継いでいたとされ、これがフリーメイソンに影響を与えた可能性がある。
このような流れの中にソロモン王は登場しない。エッセネ派にはセケンエンラーの儀式が受け継がれており、このエッセネ派や原始エルサレム教団、さらにはヨハネ派やマンダ教、シモン・マゴス、ドシテウス派などが関連している。これらの宗派はグノーシス主義の流れを持ち、ラザロの復活の儀式など、死と復活の儀礼を行っていた。聖書の中にも、こうした秘密結社的な儀式が記されていると考えられている。
ヘロデ王が作った古代メイソンの結社は、イエスの死後10年が経過したAD43年に設立された。そのため、イエスの時代にはすでにエッセネ派の儀式として死と復活の儀礼が行われていた可能性があり、この儀式がフリーメイソンに流れ込んでいったと考えられる。
フリーメイソンの設立は古代メイソンに起因し、エッセネ派の残党やマンダ教、シモン・マグス、ドシテウスなどのユダヤ人たちとリンクしていた。これにより、古代メイソンの『秘密の力』の創設者たちは、エッセネ派やグノーシス主義の影響を受け、彼らの儀式や理念を取り入れた可能性が高い。
中世において、テンプル騎士団がヘロデ神殿の地下から何かを発見し、古代の秘教を復活させたとされている。この秘教は異教的であり、グノーシス主義的な要素を持っていた。シモン・マグスや古代メーソンの直系かどうかは不明だが、これがフリーメイソンに伝わり、現在のマスターメーソンの第3位階の儀式にセケンエンラーの死の儀式が含まれていると考えられている。
フリーメイソンは古代メーソンから直接生まれたものであり、エジプトの思想や儀礼、シンボルが混ざり込んでいる。アレクサンドリアのエッセネ派からエジプトの思想が紛れ込み、フリーメイソンの儀礼や理念に影響を与えたことは確かである。これらが合成され、現在のフリーメイソンが形成されたという流れになっている。

メーソンの偽装工作

「われわれの結社を、きわめて重要であるばかりか、興奮を呼ぶものにするいちばんの方法は、創設の年代と、創設者つまりわれわれの名前を、いかなる加盟者からも隠し通すことなのだ。この秘密は、われわれ9人によって守られる。一人一人は、もっとも真剣な気持ちを持ち、秘密を厳守する息子にだけ、彼が21歳になったときに、これを遺産として継がせるのだ。他の兄弟は、これについて、何一つ知ってはならない。
そこで、われわれが加入者に対して言わなければならぬことは、この組織が極めて古いものであり、その創設の年代、創設者について誰一人知る者がいないということ、組織は解散し、死んで久しかったということなのである。ヘロデ王が、父王の記録の中から、はるか古代の組織の存在を示す古文書を発掘し、その中に、結社のしるしや法規が定められていた、彼は喜びあまりにその再興を願った、そして文書に記されている通り、本当にそれを再興させたのだと説明しよう」

「さて、兄弟たちよ、新会員がユダヤ人であれば、われわれは、事実を彼に伝えよう。すなわち、組織の目的がユダヤ人の結束にあることを。彼がユダヤ人でない場合には、何も知らせずにおくが、相手が敵のスパイや一味ではないことを、確かめなければならない。彼は、組織の位階を一つ一つ上っていくにつれ、本来の目的についての知識を、徐々に身につけてゆき、適切な時点で、イエスの信者たちを殺しユダヤ教を保護することに、組織の基本目的があることを知らされよう。このときには、彼を強制する必要はなくなるであろう。彼は、全力を傾けてそうするであろうから。極秘に守られる基本的秘密の最たるものは、創設の年代と創設者の氏名であることを、あなた方は忘れてはならない」

ヘロデの呪い

この組織の起源が極めて古いものであることを、全員に信じ込ませなければならぬことは、あなた方も知っている通りである。『発見された古文書』の伝説が、ぜひとも必要であることに異論はない。そこで、われわれは、ソロモンが神殿の中で使用していたような、古い時代のシンボルを、われらの宮に配置することにしよう。
われらは、ソロモンが神殿で使用した二本柱を建立する。一つ目をボアズ、二つ目をヤキンと名付ける。一つは右に、一つは左に立てる。また、われらのヒラム・アビウデを、神殿の造営にあたりソロモンが召集した、偉大なシリアの建築士の名を取り、ヒラム・アビフと命名しよう。
さらに、この偽装を強化するため、建築士ヒラムが宮を造営するときに用いた、定規、コンパス、コテ、天秤、槌等の建設用具を使え。そのいずれも、ヒラムが使ったものと同じ木製でなければならない」

ヘロデの呪い

ボアズ=力/ヤキン=確立

マスターヒラムの位階

「私は、第3位階を特別に設け、それを『ヒラムの位階』と名付けようと思うのだ。彼は、この結社を創設する案を最初に提起した者として、名誉と敬意と不朽の名に値する。彼がこの輝かしい考えの発案者である。この第3位階を『マスター・ヒラムの位階』と呼ぶことにしよう。
そして、われらが兄弟ヒラムは、まだ幼い頃に父を亡くし、寡婦となった母しか知らぬため、私はこの組織を『寡婦』と呼ぶことにしたいのだが、あなた方の意見を求める。
今より、創設者たちの名は、『寡婦の子ら』となる。社員はみな、世の終わりまで自らを『寡婦の子』と呼ばれるのだ。この名称は、ヒラムの仕事を尊重するだけではなく、われらの相互協力と相互援助のシンボルである。みなの者はこれに賛成か」
この言葉はすべて採択され、記録に留められた。

ヘロデの呪い

宰相ヒラムの死とヒラム・アビフの儀式の関連性

アグリッパ王の死後、8人の創設者によって実施された合法的選挙により、満場の一致をもって、ヒラムがエルサレム中央神殿大監長、結社「秘密の力」総裁に指名された。
ヒラムが継承の際に提案したことの一つに、エルサレム神殿に「大いなる東の星」という、もう一つの名を与えるというものがあった。
次いで、ヒラムは、総裁の背に面する神殿の奥の壁、頭上の高い位置にこの星を描き、「大いなる東の星」という紫色の文字で囲むよう命じた。
総裁は、パレスティナ北部に支部神殿を設置する運動をおこし、モアブ・レビを総代に任命、自らも各地に出向いて神殿を設け、イエスの説教師たちの教えが虚偽であることを説いて、人々の心にペテン師への憎悪を植えつけるべく尽力した
イエスの信者を迫害し、彼に従う民衆の心に恐怖心を植え付ける長い旅の中で、ヒラムはシドンに着いた。
しばらくしてから、ヒラムは仲間の知らないうちに姿を消した。この知らせがエルサレムに届くと、病に伏していたヨハナンを除き、創設者はみなシドンへ旅立った。 アドニラムとトバルカインは、東南方面を捜索し、木の下でハゲワシが3羽、何かの上に群がっているのを、遠くから目撃した。着衣と、特に、槌の図案を刻んだ銀の指輪から、ヒラムの遺体であることをすぐに知った。 蝋のトバルカインが、ヒラムを継いだ。そして、モアブ・レビが総裁に就任した。新総裁が最初に命じたのは、エルサレム神殿と他の支部神殿を、ヒラムの死を追悼する黒い幕で覆うことだった。それから、彼は、同じ晩にすべての神殿で、「神秘の者たち」のみによる、荘厳な終夜祭を実施するよう命じた。 モアブ・レビは、マスターへの忠誠のしるしに、社員が第3位階を授与される毎に、終夜祭を挙行するよう命じた。
次の会議で、私が提案を行った。
「私たちは、この忠誠の夜祭が、ソロモン神殿の建造者で3人の男に殺されたシリア人、ヒラム・アビフを記念するためのものである、と秘密の者たちに知らせめなくてはなりません。この隠蔽工作により、結社の古代性を誰にでも確信させ、秘密をいつまでも守ることができましょう」
次いで、アドニラムが言った。
「総裁は、同じ夜に忠誠の夜祭を行うよう言われましたが、これは特に、今の時期には相応しくありません。
われわれの兄弟ヒラムの死は、すでに知れ渡っていることですから、この夜祭がソロモン神殿の建設者ヒラム・アビフの追悼式であると他の兄弟に信じさせるのは、非常に難しいと考えます。
われわれ9人だけが、誰にも知られることなく、兄弟のヒラム・アビウデの霊のために、終夜祭を挙行せねばなりません。時が経ち、人々の記憶からヒラムのことが薄れてしまうまで、それを隠しておく必要がありましょう。 このようにして、われわれは、第3位階の終夜祭が、結社の創設者にしてわれらが大兄、ヒラムに関係していることを、『秘密の者たち』の誰にも知られることなく、この隠蔽工作を完成させることができましょう。 このようにすれば、誰もが、第3位階の終夜祭はソロモン神殿の建設者、ヒラム・アビブのための行事であると信じ込み、結社の起源がソロモン神殿以前にまで遡ることを、深く心に印象付けることでしょう。

ヘロデの呪い

九人の創設者はヒラム・アビフとヒラム・アビウデのことをよく知っている。しかし、実際にはヒラム・アビフという人物は存在していない。彼らが行っている終夜祭の儀式は、ヒラム・アビウデの霊を慰めるためのものであり、完全に独自の儀式を行っている。この儀式は、現在のフリーメイソンには受け継がれていない。現在のフリーメイソンに受け継がれているのは、「3人の暴漢に襲われ、死んで、復活の儀式で再び生き返る」という儀式だ。この儀式は、古代メイソンが新参者を受け入れ、マスターメーソン、つまりマスターヒラムの儀式を行う際に作り上げた儀式と非常に似ている。非常に奇妙な一致だ。ここで「二重構造」が発生している。フリーメイソンが現在受け継いでいる儀式の形式は、実際にはエジプトの王セケンエンラーの儀式であり、それが長い間続いてきたものである。しかし、興味深いのは、実際にこの儀式を偽装して作り上げた者たちが、ヒラム・アビフと称しているが、実はヒラム・アビウデの霊を慰める儀式を間接的に行わせているということだ。

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