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不適切報道大賞2024 偏向報道部門ノミネート大賞候補 兵庫県・斎藤元彦知事に対する報道の問題点。

はじめに
2024年11月17日に行われた、斎藤元彦知事の出直し選挙である、兵庫県知事選挙については、NHKから国民を守る党の立花孝志氏の参戦も相まって、まさにオールドメディア対ネットメディアの戦いといえるものとなりました。
 これには、11月5日に投開票されたアメリカ大統領選挙で、当選したトランプ前大統領に対するメディアの評価(カマラハリス氏には優勢でポジティブな報道をして、トランプ氏にはネガティブな報道をする姿勢が見られた)も大きく影響していると思われます。結果、斎藤元彦氏は1.113,911票、最有力候補とされていた元尼崎市長である稲村和美氏は976,637票となりました。メディアが大々的に問題点を指摘し作り上げた、斎藤元彦氏おろしの世論が通用しなかった点で、不適切報道2024偏向報道部門にふさわしい題材であると考えます。

 しかし、この問題については時系列も複雑であることに加え、斎藤知事のパワハラ・元県民局長の公用PCデータ、PR会社の疑惑など、情報が非常に広範かつ錯綜しており、慎重に真偽を取り扱う必要があります。
今回はマスコミの報道に焦点を絞り、報道の問題点を見つけ次第、順次追加という方式でまとめていきたいと考えます。

事件の概要

 wikipediaではありますが、事件が起きた経緯と流れについて時系列にまとめて分かりやすくまとめられているため、抜粋して紹介します。

 2021年8月に、兵庫県知事に就任した斎藤元彦氏は、5期20年にも及んだイド前知事の政策を転換し、地域整備事業と分収林事業における約1500億の返済に着手しました。そして、県庁舎の整備計画を白紙撤回し、1000億円の予算削減を図りました。また、70歳以上になし崩しに延長されていた外郭団体役員の定年を県の内規通りである65歳に厳格化しました。この外郭団体の役員は当時の県庁幹部の天下りポストであり、多くの役員が、井戸前知事の後援会の幹部を兼任していました。
 また、「県立大学授業料無償化」「パートナーシップ条例」などを急速に進める中で、斎藤氏を推薦した自民会派にも根回し不足、議会軽視として不満を持つ者が存在していました。

 2024年3月12日頃、西播磨県民局の県民局長が、兵庫県警本部刑事部捜査第二課、自民党兵庫県連会長・国会議員、同県議会幹事長・県会議員、同県連幹事長・県会議員、同県連政策調査会長・県会議員、ひょうご県民連合県会議員、兵庫県政記者クラブ内のNHK記者・神戸新聞記者・産経新聞記者・朝日新聞記者の計10箇所へ匿名で送付したとされています。
(1つ目の告発文書『斎藤知事の違法行為について』というような題で、マスコミ各社に匿名で送られた、いわゆる怪文書。)

斎藤知事は、3月20日に告発文書の存在を一般の民間人からの情報提供により把握し、片山副知事や県幹部に「徹底的に調べろ」と指示をし内部調査が開始。片山らは元西播磨県民局長の職場にアポなしで訪れ、公用パソコンを押収し、元西播磨県民局長に聴取を行いました。
 のちに設置されることとなった百条委員会で片山副知事は、告発文書とともに、メール記録に『クーデター』『革命』『逃げ切る』という言葉が確認され、斎藤政権にダメージを与える、転覆させるような内容であったと述べています。またこの公用パソコンからは、業務と関係のない私的文書や、人事課の管理職時代に私的に持ち出した特定の職員の顔写真データや、2022年5月に匿名で送付された部下職員の人格を否定する文書や、個人のプライベートな情報等が記録されていたことが、県の内部調査で判明しています。

 3月27日、県は不正行為が確認されたとして、懲戒処分を見越して元西播磨県民局長の定年退職を保留。また文書の作成や流布に関わった疑いがあるとして、自己都合で退職予定だった産業労働部次長の女性幹部の退職も調査のため取りやめました。
 斎藤知事は記者会見で、「事実無根の内容が多々含まれおり、職員の信用失墜や名誉毀損など法的課題がある」として、「業務時間中なのに嘘八百含めて文書を作って流す行為は、公務員としては失格。被害届や告訴などを含めて法的手段を進めている」と発言しました。

 3月30日、神戸新聞NEXTは「斎藤県政にくすぶる不満? 退職間際の県民局長が知事や側近を中傷する文書 異例の解任劇の裏で何が」との見出しで、記事を掲載。「県幹部の『造反』と異例の人事に、県庁の内外から『何が起きているのか』といぶかる声が上がる。 文書は3月中旬、一部の報道機関や議員、兵庫県警に送られた。斎藤知事や、知事に近い幹部職員数人の名前や言動を記し、違法行為などがあったと主張。これら幹部は『トントン拍子に昇任』などとつづられていた。」など文書から一部引用した報道を行いました。

 4月1日、元西播磨県民局長は、斎藤の記者会見に対する反論文を報道機関に送付。そして4月2日、元県民局長の反論文を受け、「兵庫県“ふさわしくない行為”で県民局長を解任 元局長は反論」(NHK兵庫 NEWS WEB)、「兵庫県知事らを中傷した疑いで県民局長を解任された元局長が反論『事実関係を調査すべきだ』」(読売新聞オンライン)、「斎藤知事や県幹部を誹謗中傷 文書の事実関係を調査へ 県民局長解任の職員や知事、事情聴取の対象に」(神戸新聞NEXT)など各社報じています。
 そして、ニュースサイトHUNTERが「兵庫県を揺るがす『告発文書』を入手|激怒した斎藤元彦知事の評判」とのタイトルの記事で、一部黒塗りにしているものの「齋藤元彦兵庫県知事の違法行為等について(令和6年3月12日現在)」と題する告発文書全文を掲載しました。
 同日、丸尾まき県会議員が、Xに上記HUNTERの記事を引用して、「第3者を入れるなどして、丁寧に告発文書の事実確認を。」「告発文書全文を入手していないので、もしお持ちの方がおられれば、私の方に送っていただけませんでしょうか?」とポスト。 
 翌4月3日、丸尾県会議員は、4月2日神戸新聞NEXTの「斎藤知事や県幹部を誹謗中傷 文書の事実関係調査へ」記事を引用し、「知事の疑惑も文書に書かれており、第3者委員会を作り公益通報として、調査する必要があります。」とXにポストしました。

4月4日、元西播磨県民局長は、実名で改めて、県庁内の公益通報窓口に内部告発文書を提出しました。
(2つ目の告発文書。公益通報窓口に内部告発文書として、実名で提出されたもの。)

4月16日、読売新聞は、斎藤が前年8月に加西市の企業を視察中に、企業が贈答品を渡そうとした際、斎藤は断ったが、その後企業から贈答品を産業労働部長が贈答品などを受領し、3月下旬に企業側へ返却していたと報じ、産業労働部長は事実を認めました。

(4月20日、告発文書の中で、業務を理由に療養中だと言及されていた元課長の男性が急死している。)

5月7日、県は内部調査の結果、記載された事案で核心的な部分が事実ではなく知事や職員に対する誹謗中傷であり不正行為であると判断、その他にも複数の不正行為が確認されたとして、元西播磨県民局長を停職3ヵ月の懲戒処分としました。

同月、県議会は、報道で告発文書の内容に一部事実関係が認められたことを受け、県の内部調査には疑念が残るとして、第三者委員会の設置による調査を全会派で県に要請。斎藤知事も、第三者機関設置による再調査に否定的な従来方針を転換し、第三者委員会の設置による再調査を行うことを表明し、ました。

 一連の流れの中で、丸尾まき県議(無所属、緑の党)は、4月下旬から6月3日上旬にかけ、独自でパワハラの有無を調べる県職員に対するアンケート調査を実施。斎藤は6月6日の定例記者会見で、アンケート回答の指摘内容ついて、一部部事実関係を認め謝罪しました。

 以降、百条委員会設置の動きが強まり、片山副知事は、自民党県議団に対し自身の辞職と引き換えに百条委員会設置を見送るよう働きかけたが拒否され、県議会は6月中旬に、百条委員会の設置議案を賛成多数で可決し、百条委員会が設置され、調査が開始しました。

 7月7日夜、19日の第3回百条委員会で証言予定であった元西播磨県民局長が死亡しているのが発見されました。西播磨県民局長の死因は自殺とみられており、このことが報じられて以降、県庁に1600件以上の抗議電話が殺到して業務に支障がでたとされています。

 7月10日、兵庫県職員労働組合は「問題の発生以来、現場の業務遂行には大きな支障が生じており、県政が停滞し、もはや県民の信頼回復が望めない状況になっている」として、斎藤に辞職を求める申し入れを行いました。
 これに対して同日、斎藤知事は記者会見で「生まれ変わって信頼関係再構築したい」と述べ、辞職を否定しました。しかし、斎藤知事と共に告発文書で名前を挙げられた片山副知事が7月31日付で辞職し、斎藤に近い幹部職員らが相次いで病休や自主降格を申し出るなど、県政運営に支障をきたす事態が生じました。

 9月9日に維新が斎藤に辞職と出直し選挙を求める申し入れを行い、9月19日には県議会の全会派と無所属の全議員が斎藤への不信任決議案を共同提出し、全会一致で可決となりました。これを受け斎藤は、不信任決議可決から10日経過後の同月30日付で兵庫県知事を失職し、出直し選挙に立候補することを正式表明し、2024年兵庫県知事選挙に出馬しました。

 NHKから国民を守る党党首の立花孝志は、一連の県議や県議会やメディアの動きに疑問を覚え、『メディアぐるみでの斎藤イジメ』を指摘し、2024年兵庫県知事選挙への立候補を表明しました。立花は「知事が辞めなければいけないほどの違法行為は見つかっていない。なのに県議会が全会一致で知事を辞めさせた」「自分の当選は考えていない」と述べ、斎藤を選挙運動により合法的に支援することが出馬理由であると説明。立花は、県議らから情報提供を受けたという、10月25日に秘密会として開催された百条委員会から流出した音声データを、街頭演説で紹介し、SNSへ投稿し拡散するなどの選挙活動を行いました。


斎藤知事問題に対する、メディア報道の問題点

①片山副知事の「不倫」発言に、朝日・NHK記者が圧力をかけた問題。

ネットメディアである『サキシル』が、斎藤陣営の取材にメディアが圧力をかけていたことに言及しています。 
 西播磨県民局長に対する懲戒処分には、公用パソコンの中身に関わる理由もありました。10月25日に県議会の百条委員会秘密会の音源が流出。
片山安孝副知事が、公用パソコンの中身についてぶら下がり取材に対応しました。クーデターに関わる資料や人事の不満に関する資料の説明が終わり、本人の不倫日記について説明しようとしたとき。「個人的情報」を理由にNHKの記者、そして朝日や読売と思われる記者が、副知事の言葉を遮り詰問を行っています。

②推定無罪の原則を無視して、斎藤知事のパワハラについて報道している問題。

 斎藤知事のパワハラ疑惑について、12月11日に発表された県の調査の結果では、「斎藤知事が職員に強い口調で指導することがあり、一部の職員は強く叱責されたと認識した」とした一方で、「パワハラがあったとの確証までは得られなかった」とされています。

 また、斎藤知事告発に対する百条委員会は執筆次点の12月13日現在も続いており、問題に対する結論は出ていません。日本の司法は「何人も有罪と宣告されるまでは無罪と推定される」という近代法の基本原則(推定無罪の原則)に基づいています。しかし、マスコミは推定無罪の原則を打ち破り、県の調査や百条委員会の進行を待たないまま、斎藤知事の名誉に関わるゴシップのような記事を書く様子が見られました。マスコミが推定無罪の原則を破る問題は、古くは松本サリン事件などで大きな報道加害を巻き起こし、最近では、松本人志氏の性加害疑惑や、伊東純也選手の性加害疑惑でも、事実関係の定まらぬまま報道を行っています。


③パワハラを問題にするテレビ局が、パワハラ音声で辞職した元明石市長をコメンテーターとして利用する矛盾の問題。

元明石市長である泉房穂氏は、2011年5月から2023年4月末まで明石市長を務め、18歳までの医療費無料や第2子以降の保育料無料など「5つの無料化」を政策として、メディアにも注目された市長でした。しかし、2017年6月に、道路の拡張作業で立ち退き交渉を担当する職員に、「(物件に)火つけて捕まってこい」と市長室で暴言を浴びせる録音データにより告発され、1期目を辞職した経緯を持っています。
 斎藤知事のパワハラについて、倫理的な問題として追及するにあたり、「めざまし8」や「Mr.サンデー」、「モーニングショー」など、多数の番組で出演を行い、斎藤知事について舌鋒鋭く批判を行いました。
 ただし、泉房穂氏は、パワハラ音声告発により1期目を辞職。出直し選挙により当選し信任を得て、再び市長の仕事を務めていることには留意が必要です。毀誉褒貶あるとはいえ、市長時代の政策については一定の評価の声もあります。
ここでの一番の問題は、斎藤知事のパワハラを問題にしながら、パワハラ問題で辞任に至った元市長を重用し、そのことについて何ら釈明を行わないマスメディアの倫理観とダブルスタンダードの行為であると考えます。


④刑事事件としての捜査および起訴・不起訴が定まる以前の段階での「告発状送付」「告発状受理」報道。

 斎藤知事の兵庫知事選SNS運用に対して、元検事・郷原信郎と、神戸学院大学教授・上脇博之の2名により、12月2日に「告発状送付」、12月16日に「告発状受理」されたと報道がありました。
兵庫県知事選挙で「広報全般を請け負った」と投稿したPR会社merchuへの71万5000円の支払いについてが争点です。

 一般論として、「告発状」の手続きは、
告発状を提出→受理→操作→必要に応じて任意同行・逮捕→不起訴・起訴という流れがあります。
そして、告発の起訴率は、平成24年の検察統計によると29.4%と、最終的に起訴に至るものは3割程度のみとなっています。
また、捜査機関には受理義務というものがあり、平成21年1月23日の福岡地裁判決において、「適式の告訴があった場合には、検察官又は司法警察員は原則としてこれを受理しなければならない」と司法判断が示されています。

このことから、告訴状を送付・受理の時点では、斎藤氏の行為が刑事事件として起訴相当であるかはまだ不明の状況です。
それでありながら「告発状送付」「告発状受理」というニュースを流すことは、斎藤氏に対してネガティブな先入観を植え付ける危険性があります。


⑤集英社オンラインが、斎藤陣営選挙ボランティア参加者の勤務先にプライバシーの暴露を行う

 集英社オンラインが、斎藤陣営の選挙ボランティアを行っていた人物の携帯に電話をかけて取材しようとするも拒否。そこで、「Xの投稿から御社に在籍されていることが確認できた」として、その人物の会社にXアカウント名など、プライバシーに関わる内容が載ったFAXを送り、会社に対して「斎藤元彦を支援していたが、それは承知しているか」と尋ねた。
という投稿がされています。

 この人物の証言によると、集英社オンラインは、ボランティア参加者個人が所有する携帯に執拗に取材の連絡をしてきた。そこで着信拒否すると、今度は別の番号で会社に電話をかけてきたといいます。
には、集英社オンラインは回答期限までも一方的に設定しており、一個人に対して圧力をかけているように捉えられます。

また、取得した個人情報を、その者の所属する会社に送るという行為は、集英社の示す、「個人情報の第三者提供について」を破る行為だともいえます。

*報道の問題点を見つけ次第、順次追加という方式で、この問題を取り扱っていきます。

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