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不適切報道大賞2024 偏向報道部門大賞候補 衆議院選挙2024選挙特別番組の「裏金議員マーク」

2024年10月15日公示・27日投開票の衆議院選挙では、自民党は56議席減の191席、公明党は8議席減の24議席となり、過半数を割る状況となりました。
野党では、共産党は2議席減の8席、日本維新の会は6議席減の38席となりましたが、最大野党の立憲民主党は50席増の191席、国民民主党は21席増の28席、れいわ新撰組は6席増の9議席を獲得しました。
これには、政治資金収支報告書への不記載問題、マスメディアや野党が追及するところの「裏金問題」が、大勢に影響を与えたと言われています。

テレビでは、投開票に伴い選挙特番が放送されました。
日本テレビ系列の『NNN衆院選zero選挙2024』、テレビ朝日系列の『選挙ステーション2024』、フジテレビ系列の『Live選挙サンデー』、TBS系列の『選挙の日』、において、不記載のあった自民党議員に裏金を示すマークが付けられていました。

政治資金収支報告書に不記載・記載漏れのあった自民党議員に裏金マークが付けられている一方、
同じく記載漏れなどの問題を抱えた野党議員に裏金マークが付けられていないことについて、疑問の声があがっています。

共産党の機関紙である新聞赤旗から始まった「裏金問題」について、最大野党である立憲民主党は、自民党に対して厳しい追及を行いました。
その最中、立憲民衆党の国会対策委員長として追及の先導に立っていた安住淳自身に、2023年11月に政治資金パーティー券の不記載が発覚しました。
また、山井和則議員が3年間の会場使用料764万円の不記載が発覚し、野間健議員と奥野総一郎議員にもそれぞれ50万円の不記載が発覚しています。
これらの議員は記載ミスを認め、訂正することで問題の幕引きを図りました。

また、「裏金問題」を追及する立憲民主党の重鎮に、民主党時代に陸山会事件にて4億円の政治資金収支報告書不記載があったとされる小沢一郎議員(秘書3人が執行猶予付き禁固刑、本人不起訴)、
社会民主党時代に秘書給与流用事件にて1870万円を国からだまし取ったとされる辻本清美議員(本人含む4人が執行猶予付き懲役刑)が据えられていることに疑問の声も上がっています。
小沢一郎議員と辻本清美議員、両者とも「裏金議員」マークは付けられることはありませんでした。

加えて梅谷守議員については、選挙区内の複数行事で日本酒を配り、選挙区内での寄付を禁止する公職選挙法に違反するおそれがあるとされています。
梅谷守議員は実際に刑事告発され、1か月の党員資格停止処分を受けていることから、収支報告書不記載の「裏金問題」を載せるならば同様に問題にすべきだという意見があります。
梅谷守議員は2023年5月23日に3か月ぶりの会見を行い、日本酒配りについて「軽率な行動をした」と認めました。そして、コメントをホームページに掲載した。として問題の幕引きを図りました。

また、自民党の裏金問題を追及していた、れいわ新撰組においても、共同代表の大石あきこ議員が2023年5月に、自身が代表者である政治団体に単年度で450万、れいわ新撰組において自身が代表を務める政党支部に830万の記載漏れが発覚しています。

この件に関して大石あきこ議員は、自主点検により不記載を発見し自己修正したもので、自民党の裏金とは異なるため問題ないと主張しています。
一方、れいわ新撰組の幹事長である高井祟志は、不記載は法律違反で真っ黒であると発言しており、党内でも捉え方が分かれています。
「裏金問題」は野党議員間でも捉え方や定義の仕方、弁解の仕方にも差がある複雑な問題であるため、メディアも他党の不記載について公平公正に扱うべきだったと言えます。

また「裏金問題」とは異なりますが、
原口一博議員がワクチンに関する非科学的主張によりMeiji Seikaファルマに訴訟されたことに対して、選挙特番で問題として扱わないことに疑問を唱える意見もあります。

「裏金問題」については、全額計上していたものの誤記載があった西村康稔議員も「裏金議員」として扱われており、選挙特番でも裏金マークが付けられていました。
西村議員がいわゆる政治資金収支報告書の記載漏れでの「裏金議員」でないことは立憲民主党の枝野議員も言及しており、
自民党議員に対する裏金マークの定義が定まっておらず、記載漏れ、不記載、誤記載を一緒に扱ったあいまいなものであることが分かります。

また「裏金問題」については、安倍派・二階派・岸田派の会計責任者が起訴される事態となりましたが、刑事処分を受けた議員は、大野泰正議員(在宅起訴)、谷川弥一議員(略式起訴)、池田佳隆議員(逮捕)の3人であり、他の「裏金議員」は立件されていないことにも留意が必要です。


民放4社の選挙特番による「裏金マーク」の問題点を整理すると、
①野党で不記載、記載漏れがあった議員に「裏金マーク」が付けられていない。
②野党で公職選挙法に関わる不祥事や、非科学的な誹謗中傷により提訴を受けた議員について言及されない。
③野党の中でも「裏金問題」についての捉え方や定義、弁解の仕方に差があるにも関わらず、マスメディアの判断で「裏金マーク」を付けている。
④不記載、未記載、誤記載の区別が付けられておらず、実際は全額計上していたにも関わらず「裏金議員」として扱われている議員がいる。の4点となります。
これは放送法4条の「放送事業者が番組を制作するに当たって、公安及び善良な風俗を害しないこと、政治的に公平であること、報道は事実をまげないですること、意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること、」に違反していると考えられます。


公正、公平さが求められる選挙特番において、「裏金問題」のマークを自民党議員のみに適用したことは、マスメディアの信用や中立性を大きく揺るがすものである点、特定の政党の主張に加担し、放送法4条に違反する可能性のある報道でありながら、マスコミ4社から公式な釈明はなく、内部からの自浄作用も期待できない点から、不適切報道大賞2024・偏向報道部門にノミネートするにふさわしいと考えます。

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