バレンタインデー改革
「では、袴田大臣お願いします」
「え~、頼まれてもいないことをやってしまうことで、
有名なあの袴田です。
これより新たな政策の発表させて頂きます。
例年、2月14日はバレンタインデー、
そして3月14日はホワイトデーなのは、
ご承知かと思います。
これを来年度より、
この開催日を交換いたします。
2月14日はホワイトデー。
3月14日はバレンタインデーとすることが、
承認されましたのでご報告します。
これについては既に関係者各位には、
ご報告済みでありまして了承も得ております。
え~まず、これに至った経緯を、
簡単にご説明します。
私の愛娘の学校での話題がきっかけでして、
なぜ女性が先なのか?
なぜ先に意思表明しなければいけないのか?
ずるくない?
とクラスで、
ちょっとした論争になったのが発端です。
その出来事を夕飯時に、
熱弁する愛娘を見て、
男女平等を目指す世の中で、
これは不公平じゃないのかと、
私も考えさせられました。
そしてその話を聞いた翌日、
急遽、勉強会を開催。
有識者の方々との意見交換を何度か重ね、
やっとここまでこぎつけた次第です。
え~少し先程の情報に補足があります。
来年の開催日は逆になりますが、
再来年はまた元に戻ります。
よって年毎でバレンタインデーと、
ホワイトデーが逆になるということを
付け加えておきます。
皆様は、それを踏まえた上で、
戦略を練っていただきたい。
今年は攻めるのか?
それとも守るのか?
はたまた様子見か?
え~ここからは余談です。
意見交換の中の意見には、
同日案というのもございました。
同じ日にすれば不平等の声も、
上がらないのではと。
私は早速、モデル校を選ばせていただき、
昨年、秘密裏にこれを実施しております。
結論から申し上げますと散々たる結果です。
例年のように、
義理チョコなどのやり取りもありました。
しかし想定してない事態が発生してます。
実際に起きた例をいくつか挙げさせて頂きます。
まず生徒がその日は全員、挙動不審。
これはどちらが先に仕掛けるかの、
様子見が原因かと思われます。
仕掛けた方が良いのか、
それとも動いた方が負けなのか?
その探り合いが、
生徒の言動に表れたのだと考えられます。
次に問題になったのは偽装行為です。
その多くは貰ってもいない男子生徒が、
机や下足箱に自ら買ってきたと思われる、
大量のチョコを入れる自作自演行為です。
そしてあからさまに周囲に見えるように、
アピールしてくるという奇行が、
約8割の教室で発生。
その後、各教室の床には、
机からはみ出したチョコが散乱。
それを誰も拾わず…落ちる。
それに誰も触れず…また落ちる。
奇妙な均衡状態だったそうです。
そして最大の誤算は、
その日が真剣勝負の舞台に、
なってしまったことです。
思い切って渡した相手が手ぶら。
渡そうとした人が、
別の人と交換している状況を目撃。
悲劇があちらこちらで。
運が良かったのは、
手ぶらは失礼かもという心理が、
生徒間で蔓延したことです。
お菓子を予め準備していた生徒が多かったため、
被害は最小限で済んだようです。
この受け取り手が、
想定していないというケースは、
更に私共の予測不能の事態へと進みます。
思いの届かなかった生徒達は、
放課後の屋上に集合。
渡せなかった、
渡すことができなかった、
奪い取った品物を、
屋上から校庭へ投棄する暴挙に発展。
校庭はそれを拾う生徒でディスコ状態。
結果的に2月3日の節分まで、
一緒になったような状況でした。
モデル校の全校生徒の皆様と、
学校関係者の方々には施策の為とはいえ、
混乱とご迷惑をお掛けしたことを陳謝し、
私のポケットマネーから、
全員に謝罪の品を送らせて頂きました。
誠に申し訳ございませんでした。
そしてご協力ありがとうございました。
私はまた余計なことをしたやもしれません。
ですが、私は失敗を恐れず、
これからも頼まれてもいない政策を、
この熱意を持って立案していく所存です。
以上、私の異次元少子化対策でした。
皆様、楽しみましょう!」