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時は見えずに残酷に、心は燦々と耐えずに

友人に病魔が、というニュース。

LINEでどう言えばいいのか悩みながら、週1回の配信の傍らでスタンプも絵文字もない、


うそやん

とかいう気の抜けた感嘆詞しか言えない私。大切な旧友からのSOSともとれる発信なのに、普段はスタンプで会話するくらいのラフさがさらに、数文字になることで益々適当に成り下がっていないか不安になる。かと言って絵文字たっぷりにしたところで、余計に女子女(じょしじょ)しく胡散臭さが漂いそうだし。

彼女にはどういう風に振る舞えばいいのかということや、これを聞いてからの会話はどういう言葉を書ければいいのかを繰り返し考える。どれも100%、いや6割と納得のいくものはなくて、物書きや様々制作をする者として自らを恥ずかしく思う。同時に、こんな一大事にすらも書き物をしたり、目の前の制作タスクに向き合ったりしているなんて。何でも思った気持ちを綴るだけで、コンテンツになってしまう。上手く書ければ書けるだけ空しい。アーティストや作家という類の人間に憧れて、その端くれになれた(のか?)というものの、こうして投稿するとなってしまうと、恐ろしく自分が冷たい奴のような気がして虚無。

学校で友人と話していた頃なんて全てがその場所にあったし、全ての時間が彼女で私で勉強で彼氏で部活で、ズッ友!私たちだけの〇〇だったのに。そして何より、私は大丈夫!みたいな斜め上感覚から物言いしているようでますます己に嫌気がさす。かく言う私も健康診断の某判定Cなのに、無視して不安から目を逸らしている。医者が言うには「これはまぁ軽度で経過観察、今は何も出来ないですねー」と。まぁそれじゃ仕方ないね。
とはいえ、もう「こんな歳」になっている。
母が私を産んでくれた年齢を1年上回っているし。

そういえば、その友人の婚活事情を聞いたけど、女性は20代後半から33歳、という謎の括りで検索ソースをかけられるらしく、以降はヒット率が半減するらしい。あと私に残された賞味、いや消費期限?は3ヶ月。世間一般の女子の市場というのは思いの外シビアで、そんなモノ視点——定置網漁なのに、漁獲量を著しく制限されてるみたいな…ざらざらと目の荒いふるいにかけられて無情にフォールしていくしかないのか。変な例えだけど、ちりめんじゃこの中のタコとか得体の知れない変わり種エイリアンこそ、入っていたら嬉しくないか?

世の婚活野郎共、よく聞け。20代後半なんか、1番最後の足掻きで女子はみんな精神疾患ぞ、と。

というわけで何やら経験した事と年齢、文字数でしかマウント取れない仮性おばさんの頭の中だけ飛び出ちゃいそうで大忙し。口に出てないから、マシ?なんていやいやもう文章で垂れ流れているだろ(笑)己!ずる剥けおばさんよ。

休憩の最中に捲った小説の1ページが、指のささくれを広げて地味に傷つける。今日は日差しが暑いといいながら乾燥していて、風が吹けばもう枯れ草の匂いを含んでいる。夕暮れ時になれば街の色も虫の音も煽るように夏を追い立てていく。秋冬も年末年始もすぐにやってくるだろう。こんなにも時の流れを早く感じるのは…ナンタラの法則、なんだっけ、まぁいいか…とならないようにする細いマイルールと、香水、ポッケに入れた韓コスリップが、私の中でギリギリ若さを保つ最後の3枚の砦。あぁ、ジャネーの法則というらしい…すぐに「じゃねー」とか言ってどっかへ消えてしまいそうな言葉だな。今日までくらいは記憶が持つといいけど。

時というのは誰にも平等過ぎて、1番残酷なものかもしれない。それでも目の前の自分の可能性を追い求めて/られていたいという気持ちだけは、いまだにずっと若いままだった。

友人と2週間後に予定している食事のタイミングで、うまく話せるといいのだけれど。そして何事もなく、これからも健康に笑う彼女を見続けられるといいのだけれど。


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堀 桂の note
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