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籠の中

むかしむかしに見た夢か空想の話。

南米かヨーロッパか、時代はわからないが日本ではないどこかの村にいる私。

女性である。

いくつぐらいだったかは覚えていない。

なにやら気球の籠のようなものの中に横たわっており、えんじ色の毛布のようなものが掛けられているようだ。

籠の側面の高さは50cmも満たない感じ。そこは窮屈ではない大きさである。

籠を囲むように、親きょうだい、そして眉が太い私の夫か恋人のような関係の男性がいる。

夢か空想の世界なので、自分の視点があちらこちらに行く。籠の中に私から見る彼らの顔、また、遠くから籠を囲んでいる彼らの姿が見える。

親類たちは何かを言っている。男性と私は見つめあっている。

母親らしき人が泣いていた。皆気持ちが沈んでいるようだった。

男性は、私を安心させるため、「大丈夫だよ」と優しい声でいい、私の手を握ってくれた。

しばらくして、少し離れた距離から誰かが大声で何か言っているのが聞こえた。

親類たちは声がするほうに顔を向けると、籠から一歩下がった。

籠は揺れながら、少しづつ上昇していく。

私は男性と離れたくないと思ったが、物理的に手を握る続けるのは無理なので手を離した。

籠は、ゆっくりだが上がっていく。今は自分の息遣いしか聞こえない。

籠の中に私は、一人。

というところで目が覚めたというか我に返ったというのか。

そのとき、男性のことを懐かしく、愛おしい気持ちであったこと、夢又は空想の世界の中の人であったので切ない気持ちになったことを思い出す。

ただ、だれだかわからない見知らぬ人だった。覚えているのは、眉が太いことと目の周りしか覚えていない。

こうして文字にしていると

〇女性は、病気か何かで死が近いため籠に入れられ、住み慣れた場所を離れ、人々と別れなければならない境遇であること。
〇男性は恋人でもなく夫でものなく、死出の旅にでるものを見送る役目の人なのかもしれない。
ということに気づいてしまった。

甘い話ではなかったか……残念。

10代後半ぐらいに見た夢か空想の世界であるかはわからないがよく覚えていたなと関心している私がいる。

そして、なぜか安全地帯の「悲しみにさよなら」を聴きたくなった。

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