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実戦で役立つチェスのタクティクス思考法

今回は、実戦で役立つチェスのタクティクス思考について一緒に考えていきましょう。


はじめに

今日は最初に局面をご覧ください。私が白番で、黒がNbd3と中央に活用してきたところです。

これは好手でしょうか?ここで読者の皆様なら、どの手を選択されますか?少し考えてみてください。

図はNbd3まで

「あ、なるほど」と正解にたどり着いた方もいれば、どのように考えて良いか分からないという方もいるかもしれません。

今回のテーマは「実戦のタクティクスの思考の言語化」です。それでは実際に見ていきましょう。

対局の背景と状況

今回の対局は私のChess.comのラピッド戦(10分切れ負け)からの取材です。相手の方はレート2000点半ばのプレイヤーです。

私のe4に対してç5のシシリアンディフェンスの形へ。

オープニングで私にミスがあり、ワンポーンダウンでミドルゲームに入りました。

やや不利な展開をじっと耐えながら迎えたのが冒頭の局面です。

再掲。図はNbd3まで

…Nbd3以下の本譜手順は、1. Rxc8 Rxc8 2. f4 Nc4 3. Bxc4? Rxc4 4. Qb5? Qc6

クイーンとルークが連結して黒盤石。黒良し。

黒のクイーンとルークがしっかり連結して隙がありません。黒がはっきり良くなりました。

では、白はどのように指せば良かったのでしょうか?

実は冒頭のNbd3は大悪手です。白がはっきり良くなる順があり、私はその手順が見えませんでした。

次節で正解手順について一緒に見ていきましょう。

正解手順

最初に手順を紹介します。

再掲。図はNbd3まで

…Nbd3以下、1. Rxc8 Rxc8 2. Bxd3 Nxd3 3.Qxh3

クイーンの駒の働きを最大限に活用。ピースアップ確定で白優勢に。

クイーン活用してルークとナイトのフォークに成功しました。もう一度最初から手順を見ていきましょう。

まずはシンプルにルークを交換。

まずは、c1のルークがナイトで当たっているので、シンプルにルークを交換します。

黒は普通に取り返す一手。

黒は普通にルークを取り返します。この時点で駒の損得はありませんが、c8のルークが浮き駒(どの駒とも連絡していない状態)になりました。

先ほどまでは黒のバックランクは2枚のルークが連結していたので、浮き駒を作って一歩前進です。

次にビショップとナイトを交換。

次にBxd3と指してビショップとナイトを交換します。ツービショプは強力なので、通常は温存しておく方が良い場合が多いです。

しかし、今回の場合は白に明確な狙いがあるのでビショップを手放しても大丈夫です。

ここもナイトで取り返す1手。

黒はナイトでビショップを取り返す一手です。ここでもう一度、局面をよく見てみましょう。

冒頭の局面でルークとナイトは共に連結していました。

再掲。図はNbd3まで。黒のルーク、ナイトは共に連結している状態。

しかし、一連の駒の交換でルークとナイトのどちらも離れ駒になったことに気づかれたでしょうか?

先ほどまで連結が取れていたナイトとルークがどちらも浮いている

将棋では「離れ駒(浮き駒)に手あり」という格言がありますが、チェスの場合も離れ駒があると技がかかりやすいです。

クイーンの駒の働きを最大限に活用。ピースアップ確定で白優勢に。

最後に2つの離れ駒に着目して、クイーンをh3に引けばフォークの完成です。ただ、駒を引く手は盲点になりがちです。(私も見えませんでした……)

今回のタクティクスは、駒を捨てるのではなく駒を交換してクイーンを引くという手順でした。

花金ブリッツ自戦記や、Chess is 99% Tactics……??の手順と比べると地味な印象があるかもしれません。

しかし、今回のような着実な手順を見つけることが勝率アップにつながると思います。記事を書いて私自身も勉強になりました。

難しく感じた方もいるかと思いますが、手の流れやクイーンの性能を最大限発揮した感触などを感じ取っていただけると嬉しいです。

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


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