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『旧市町村日誌』 62 カブの旅の再開  文・写真 仁科勝介(かつお)

1月23日(木)晴れ
 
怪我の間もカブは待ってくれていた。むしろ、バイク屋さんの腕のおかげで、とても元気だった。相変わらず君はすごい乗り物だ。旅を再開して、あらためてそう思う。
 
大きく変更したのは、まず、靴をバイク用に変えたこと。これまではハイキング用のシューズだったけれど、今回の怪我は、バイク用の靴なら避けられたかもしれなかった。反省をし、バイクシューズに。
 
また、荷物も思い切って減らした。軽く見積もっても、10キロ以上は軽い。たぶん、今回の旅で今が最も軽い。減らしたのは、本類とか仕事道具とか。カブで転倒してしまったことも、荷物がもう少し軽ければ避けられたかもしれなかった。これからのためにも、荷物は最大限の軽さで。これも反省だ。やっぱり軽い方がいい。
 
カブの旅を再開して3日、いずれも快晴だったので、そうならない日のことを考えている。ベストな天気を基準におくと、そうではない日がしんどくなるばかりである。
 
また、今後のことをいろいろ考えようとすると、不確定要素が多く、どうなるかは読めない。遠くを見過ぎないように。理想よりも足元に尽くすべきベストはあり、そこに目一杯向き合うことは、とてもたのしい。
 
昨日、イチローさんの殿堂入りの会見で、「自分をどれだけ知っているかということが大きく結果に影響していることを、知っておいてマイナスはないと思います」というコメントがあった。これはほんとうにイチローさんらしい言葉だが、カブに乗りながら同じようなことを考えていて、でも、言葉にうまくならなかったので、こういうことかと思った。選択の直感って、このことと関係しないわけではないだろうと。むしろ、直感の精度の源は、そういうところにあるかもしれない。




仁科勝介(かつお)
1996年生まれ、岡山県倉敷市出身。広島大学経済学部卒。
2018年3月に市町村一周の旅を始め、
2020年1月に全1741の市町村巡りを達成。
2023年4月から旧市町村一周の旅に出る。


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