『旧市町村日誌』 58 足元の日々 文・写真 仁科勝介(かつお)
11月2日(土)
雨の日は体力のリカバリー、作業のリカバリーといろいろあるけれど、カブのリカバリー日にもなります。どのタイミングで行こうかと思っていたオイル交換を、バイク屋さんでしてもらいました。雨の日にオイル交換をできたことは大きいし、何よりオイル交換以外にも、軽微な不具合が見つかりました。長く走っていると、必ず不具合は見つかるものなので、11月中旬には、別のバイク屋さんで点検も予約しています。ここまでほんとうにがんばってくれているので、カブにはあともう少し、一緒に伴走してくれるとうれしいです。
もう、時期としては、いろいろなことを考えられるところまできています。目標があるとして、どこまでの達成度なのか、どこまでの余裕があるのか。そして、そうした見通しをある程度把握した上で、まったくひと筋縄ではいかないので、向き合うべきはいまの一日一日になります。たぶんこれまでもずっと似たことを言っているけれど、とにかく地に足をつけて、半歩ずつ進んでいくことに尽きます。「遠くをイメージしながらも、足元を着実に進んでいくこと」は、いろいろな人が、いろいろな言い回しで表現しているように感じます。そういう言葉を見聞きして、「そうだ」と思うわけだけれど、それをほんとうに実践するのは簡単ではない。と思い続けてきた旅でもあります。小さな言い訳が生まれるような状況はいくらでも生じます。それも、ほかの人が特に干渉もしない、自分自身との問答の中で。さらに、自分のせいにできることならともかく、自分のコントロールを超えた、仕方がないと思える状況だってたくさん生じます。
そういう毎日が巡る中で、自分がどうやって過ごすのか、ということを、ひたすら考えてきたように思うし、繰り返しだけれど、それを突破していくためには、とにかく足元の一日一日に、全力を注ぐことしかできないと思うばかりです。決して周りからの見え方ではなく、自分の心の中に遮二無二さを持って、その上で得られる結果は、どんなことであれ、さっぱりと執着心を捨ててしまえばいい。見栄を張らず、カラッと次に進めばいい。と、小さな一日を、こんこんと取り組みたい。それは、いつか振り返れば、たのしいと思うんだよなあ。
仁科勝介(かつお)
1996年生まれ、岡山県倉敷市出身。広島大学経済学部卒。
2018年3月に市町村一周の旅を始め、
2020年1月に全1741の市町村巡りを達成。
2023年4月から旧市町村一周の旅に出る。
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