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『旧市町村日誌』 49 お盆休みまでに 文・写真 仁科勝介(かつお)

8月12日(月)

 昨日は長崎で友人の結婚式に参列しました。とにもかくにも、7月中旬から、この結婚式に間に合うように旅を進めることが、旅と同じく優先順位として高いことでした。

 

旅を中断しての移動なので、カブを停めやすい場所であることと、お盆なので、公共交通機関での移動がしやすい場所から長崎に向かわねばなりません。今回の場合は京都から向かおうと予定を組み、京都に到着するまでのルートを計算すると、再出発日から23日間あり、そのうち21日間は旅を進めるスケジュールになりました。

 

まず、何よりありがたかったことは、この日程のあいだ、突発的な大雨には何度か遭遇したものの、その日の旅の計画を大きく変更しなければならない程度にはならなかったこと。心身ともに元気だったこと。カブも大きく故障することなく走ってくれたこと。そしてもちろん、事故なく進めたこと。
あたりまえのごとく進めた感覚はなくて、振り返ってみてありがたいなあ、よかったなあと感じるばかりです。

 

昨日の結婚式はほんとうに素晴らしい時間で、新郎新婦ともに友人だったのですが、他者への嘘偽りない愛や思いやりは、あたたかな心を人に与えるのだなあと、心から感動した空間でした。夜は参列した友人たちと一棟貸しの宿を借りて、朝まで笑いが尽きない時間を過ごしたことも、なんとも懐かしく楽しく、思い出深い時間になりました。

 

結婚式へ向かう前に、京都のバイク屋さんでメンテナンスをお願いしたのですが、結婚式で不在日があることを話すと、1日で点検をしてくれて、すぐにカブは戻ってきました。

今、カブは上り坂でエンストしてしまうことが少なからずあります。総走行距離も8万8千キロですし、仕方がないことでしょう。エンストしてしまったとき、落ち着いた手順を踏めば、いつも復活してくれるという状態でした。

 その点も踏まえて点検してくださって、バイク屋さんの仮説は自分の予想と重なる部分がありました。長く走れば発生する現象なので、このタイミングでカブの状態を見てもらえて良かったなあと、バイク屋さんにも感謝の気持ちでいっぱいです。

 

また、去年秋に点検をしてくれた東京のバイク屋さんが、とても丁寧に修理の写真や点検内容を紙面に残してくれていて、それを見てもらうと、「なるほどね」とカブの状態をわかってもらえたのもとても助かりました。自分たちの作業を包み隠さず残してくださっている心意気に、今になって、すごく助かっていることを実感しました。

 

血圧を測るみたいにカブのいくつかの動作項目を数値で計測したら、まだまだ正常値を保ってくれていたことも、すごく嬉しかったです。

「走行距離の割には、状態は絶対に良いと思います」

そうなんです。だって、このカブ号はほんとうに素晴らしい相棒ですから。

 

これまで、「お盆までに京都へ」という目標で進んでいきましたが、ここからは「冬までに日本海側や積雪地帯を」という目標に変わります。あくまで計画ですし、やってみなければわかりません。走り出すとなかなかすぐには止まれませんから、休めるときにしっかり休んで、気持ちを強く入れ直して進んでいきます。巡るまちはあと850です。2万キロほどでしょうか。




仁科勝介(かつお)
1996年生まれ、岡山県倉敷市出身。広島大学経済学部卒。
2018年3月に市町村一周の旅を始め、
2020年1月に全1741の市町村巡りを達成。
2023年4月から旧市町村一周の旅に出る。


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