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『旧市町村日誌』 65 コツコツ進もう! 文・写真 仁科勝介(かつお)
2月13日(木)曇り、一時雨
振り返ると、一週間前は大きな寒波の最中だったので関西の都市圏を公共交通機関と徒歩で散策していた。
週末には和歌山県に戻り、新宮市から旅を再開して、紀の川市まで無事に進むことができた。和歌山県の海岸線をぐるっと巡るだけではなくて、山間部の地域を訪れた機会も何度かあり、天気の様子を見つつ、しぶとく周ることができてホッとしている。
来週に入ると再び寒波もやってくる予報なので、もし順調に進めるなら、この先のルートを一部変更しようと思う。結果がどう出るかは分からないけれど、結果がどう出るか分からないからこそ、より納得できる方を選んでおきたい。今回の場合、元々行くつもりだった地域を訪れないまま次の地域に向かおうと思うので、ルートは少し不恰好にもなるし、追加で費用もかかるだろう。でも、うらを返せば、それだけなのだから、と割り切っている。そう決めたのなら、スパッと進んでいくことである。そこでもし再び立ち止まったら、じっと考えて、決めて、またスパッと進んでいく。そういう繰り返し。
あと、朝食付きの宿舎に泊まることが増えてからのこと、朝食会場へ行くと、いつもどの宿舎でも、作業服やスーツ姿の人たちがたくさんいる。みんな、これから仕事に行く前の朝食だ。黙々と食べている。平日は観光客っぽい人はほとんどいない。この光景の中にいると、やっぱり、自分もがんばらなきゃとすごく思う。
通勤電車に乗っている人とか、歩いて職場に向かっている人を見るよりも、朝ごはんを食べているときの方が、日常の素の部分に少し触れている気がして、「みんながんばっている。自分もがんばらなきゃ」という気持ちになる。
ぼくは外から見れば、平日なのにツーリングしている観光客である。でも、気持ちは作業服やスーツ姿の人たちと一緒でいること。無理は禁物だけれど、いま旅を進められている感謝を絶対に忘れずに、コツコツと進み続ける気持ちを持ち続けよう! と、ネットカフェに泊まっていた頃よりも思うようになった。
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仁科勝介(かつお)
1996年生まれ、岡山県倉敷市出身。広島大学経済学部卒。
2018年3月に市町村一周の旅を始め、
2020年1月に全1741の市町村巡りを達成。
2023年4月から旧市町村一周の旅に出る。
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