『スーツの東海道五十三次自転車の旅』発売記念!『スーツの鉄道青春夜行』著者インタビュー
11/28(月)『スーツの東海道五十三次自転車の旅 東京・日本橋から京都・三条大橋』が発売になりました!
新刊発売を記念して、スーツ×二見書房第一弾の『スーツの鉄道青春夜行』の著者インタビューを公開いたします!
ではどうぞ!
スーツさんは昨年、寝台特急「サンライズ瀬戸」に乗車中に大きな地震に遭遇したそうですが、そのときの心境をお教えください。
地震に遭遇しても特にあせりませんでした。日々利用していると乗車中のアクシデントはよくあるので、今回も2.3時間の遅れだろうと感じました。それくらいの遅れであれば過去も経験しましたので、落ち着いて対応したように覚えています。実際その程度の遅れでしたし、この程度では致命的な運行支障にはならないとわかっていました。
地震のほかに、これまで夜行列車や寝台列車に乗車中あるいは乗車前後で遭ったアクシデントはありますか。
2014年(高校2年生)のときはよく北海道で夜行列車に乗っていて、アクシデントに遭うことが多かったです。
あるときは函館駅を出発して青森に行こうとしたら、土砂崩れが発生したことがありました。線路に土砂がたまり、撤去しないと青函トンネルにたどり着けないという事態になりました。
そのときは確か3時間ほど運転を見合わせたあと、どうやってもすぐに撤去できないということで運休となったことを覚えています。そのため結局函館観光になってしまいました。
ほかにも、青森から札幌行きの夜行列車に乗り込んだときにアクシデントがありました。その日は喉が痛かったのですが、途中午前2時ごろ函館で目が覚めたとき、体調が悪化して頭痛と発熱も出てしまいました。38度くらい出て、通路も歩けないくらいのひどさだったので、翌朝札幌についたら必ず病院に行こうと思っていたのですが、ところが列車が大雨にやられてしまいました。このときも列車の進路に土砂が崩れてきて、結局7時間遅れに。札幌まで待たずに早く病院に行ったほうがいと思い東室蘭駅で降りて病院に行きました。
診察の結果旅行は問題ないということでしたのでよかったです。
今までと違うのであれば、実はサンライズ号に乗り遅れたこともあります。
翌日の大学の講義のために、姫路駅でサンライズ瀬戸号を予約していたのですが、姫路城をギリギリまで見学していたため、乗り遅れてしまいました。
しかたないからカプセルホテルで一泊して翌朝新幹線に乗りました。講義はなんとか間に合ったのでよかったです。
スーツさんが今はなきブルートレインに初めて乗車したのは4歳の時だったそうですが、記憶している光景はありますか。
あります。けっこうあります。
北斗星1号には食堂車がついていて、他の北斗星2号、3号とは違うタイプのつくりになっています。北斗星1号の内装の方が豪華で、車内が真っ赤でピカピカの食堂車でした。当時4歳でしたが、その光景をよく覚えています。
また、車内で鉄道マニアの4人組が一皿つのソーセージを分け合っていたこともなぜか印象に残っていました。お金がなかったのでしょうか。
ちなみにそのとき私と母はケーキセットを食べました。仙台の手前だったかと思いますが、味よりも車内に見とれていたように思います。
また、そのときA寝台のロイヤルに母と2人で乗っていたのですが、ベッドが一つだけでした。これは添い寝すれば未就学児は運賃がかからないので問題ないのですが、翌朝、JR北海道の車掌さんがベッドを広げてくれたことも思い出です。本来は追加料金がかかるものだと思うので、車掌さんがサービスをしてくれたのでしょうか。
スーツさんが初めてブルートレインに“一人で”乗車したのはいつですか。そのときの印象や記憶はありますか。
1人で乗ったのは意外と最近なんです。
ブルートレインじゃないんですが、中学3年生の時に、鹿児島に行くにあたってサンライズ号のノビノビ座席に乗って岡山まで行ったのが一番最初だったと思います。
スーツさんは2012年に特急「日本海」において大阪~青森という長大な乗車距離と乗車時間を経験しています。その経験はたいへんでしたか。楽しかったですか。
大変ではありませんでした。寝台車での移動は基本的にベッドなので疲れはあまりないです。もし疲れてもベッドでごろごろできますからね。この疲れようがないことは寝台車の魅力の一つだと思います。
ちなみに私が乗った時はダイヤが変更になっていて、本来よりも時間がかかる走り方だったと記憶しています。前の年までは青森駅到着が朝8:45だったのですが、その年はお昼の12時過ぎくらいに到着していました。そのため朝起きてからも長く楽しむことができて、とても印象に残っています。
ブルートレインと言えば食堂車が名物でした。特においしかったメニューはありますか(一つでも複数でもお答えいただけると幸いです)。
トワイライトエクスプレス(色が青ではないので、ブルートレインとは違うかもしれないが)のビーフシチューを食べたのが高一とき。食べたことのないような美味しさだった。列車のなかでこんなに美味しいものがあるとはとびっくりしました。
あとは北斗星とカシオペア号の食堂車のメニューにアスパラのソースをつかったカルパッチョのようなものがあって、それもおいしかったです。現在は廃止になっているようで、復刻してくれないかと思っています。
スーツさんは高校を卒業後、JR東日本東京支社への入社を希望されていたそうですが、もしも入社していたら、どのような企画を立てましたか。
企画のような目立つ仕事をできる立場にはならず、日々の運行に従事していたのではないかと思います。そのような仕事はミスのないことが重要なのですが、私はきっとよくミスをして、怒られたりしていたと思います。
もちろん現場の意見をすいあげる仕組みもあるので、もしかしたらそこに何か意見していたかもしれません。
スーツさんは夜行列車や寝台列車に乗車中、どういうことを考えていますか。
今は翌朝の行程を考えることが多いです。
あとはあかりで眠れないのは嫌なので、スマホを見ないようにしています。寝不足で翌日を楽しめないのはもったいないので。
寝台列車に乗車する際、「寝心地」はどこまで重要視されますか。
寝心地はあんまり気にしていません。基本的にはどの列車も切符を買えるかのほうが大きな問題で、とにかく空いている席の切符を確保することを優先しています。もちろん場所によって寝心地は違うが、それを選ぶ余裕がない、というのが現実です。
ベッドは上段、中断、下段のどこがいいなど、こだわりはありますか。
切符を優先とはいいつつ、昔の寝台車では強いて言えば下段の方が通路に出やすくて当たりかなと思っています。
とはいえ上段も景色がいいので、それはそれでいいものです。
これまでさまざまな夜行列車や寝台列車の「ラストラン」を体験されました。アナウンスや、停車駅の雰囲気など、強く印象に残っているラストランはありますか。
中学生の時に乗ったきたぐに号のラストランが印象的です。車掌さんが有名な方で、最後の放送がろうろうとしたアナウンスで、鉄道好きなのが伝わってきました。この時の体験は本にも収録されているので、読んでもらえたらうれしいです。
また、停車駅の雰囲気でいえばあけぼの号のラストランが記憶に残っています。東京駅にはマニアがたくさん集まっていましたが、東北の小さな駅で止まったとき、地元の人たちが和服を着ていたり音楽を奏でていたりして見送っていました。町中の人が集まっている光景が、それだけ愛されている列車だと伝わってきてとても印象的でした。
現在もっとも利用しやすい寝台特急は「サンライズ出雲」「瀬戸」だと思います。この車両並びに路線、沿線など魅力はどこにあると思われますか。
東海道本線が日本で一番活発な鉄道路線で、「サンライズ出雲」「瀬戸」そこを走るのが魅力のひとつです。他の区間の寝台列車はほとんどなくなってしまいましたが、最後まで残ったものの多くは北に行くものでした。これらの路線はあまり夜の景色を見られませんが、サンライズ号は沿線に大都市も多く、夜景を楽しむことができます。夜の灯りを眺めるのも魅力的ですので、ぜひ乗った際は楽しんでください。
新たな長距離列車「ウエストエクスプレス銀河」に乗車された印象ならびに魅力をお教えください。
デザインをされた川西先生の考えが印象的です。
例えば夜行列車に乗ると、車内の灯りが壁にあたり、それが窓に反射して夜景が美しく見えない、というような問題がありがちです。ウエストエクスプレス銀河は暗い色の壁になっており、外の景色がとても見やすかったです。
このような意図で壁や照明など、細かな部分まで室内のデザインを考えてくださっているのではないかと以前YouTubeで話したのですが、本人からコメントをいただきました。実際にそのように配慮して作られたのだと知って再度びっくり。
https://youtu.be/VX_stomktp8
【豪華グリーン席】JRの夜行列車 WEST EXPRESS銀河の旅 出雲市→京都
団体専用臨時列車「カシオペア紀行」に乗車された印象ならびに魅力をお教えください。
昔よりも運行区間が短く、費用が高くなったが、それでも乗る方がいるのは、やはりカシオペアが魅力的だからだと思います。
列車を一本運行させるのにはものすごいお金が必要ですが、カシオペアファンからはその情熱が伝わってきて、とてもすごいことだと思います。
スーツさんはこれまで幾度もJR九州の協力で夜行列車や寝台列車の特別運行を成し遂げています。これはどういういきさつで実現したのでしょうか。また実現して乗車した時、どのようにお感じになりましたか。
これは本当にJR九州さんのご協力のおかげです。私の思いつきに対しさまざま調整してくださり、いつも大変助かっています。
すこしでも視聴者の方がJR九州さんのファンになってくださればうれしいです。
【運賃200万】自分で夜行列車を走らせる!第2弾 リバイバル急行「日南」 門司港〜鹿児島中央
「寝台特急」「夜行列車」の魅力はどこにあると思われますか。
実は自分自身よくわかっていない部分もあります。
個人的には在来線を長距離乗ることが楽しく、寝台特急でならではと聞かれると難しいですね。
もしかしたら消去法的に、在来線に長時間乗れるのは寝台列車しか残されていないのかもしれませんが、それこそが魅力だと思います。
ただ、新幹線は深夜帯の運行ができないので、夜中に走るのは在来線しかできないことです。夜行列車は昼も夜も関係なく、沿線の景色を見られるのが魅力のひとつだと思います。昼と夜とでは景色が違うので、その違いを楽しめるのはとてもすばらしいです。
また、夜行列車は夜だから成立するサービスだと感じています。大阪から東京までサンライズ号だと6時間半かかります。おそらく昼間であれば、より早く目的地に到着することを優先するのではないでしょうか。
スーツ
1997年生まれ。
JRを使い日本全国、北海道から九州を一筆書きのルートで往復した日本初の「最長往復切符の旅」の動画で本格的に活動を開始。鉄道に限らず地理・歴史・文化などの幅広い知識と流暢な語り口が人気を呼び、スーツ交通チャンネルの登録者数は約100万人と、鉄道系での登録者数No.1。JR、私鉄、老舗旅館など企業とのタイアップや旅行記の連載など活動範囲も幅広い。2020年10月、東京~京都を結ぶ旧東海道を電動アシスト自転車にて旅する「東海道五十三次自転車の旅」がスタートし、またたく間に大人気企画に。
メインの鉄道チャンネルの他、旅行に特化した「スーツ旅行」チャンネルも持ち、総チャンネル登録者数は170万人以上。
『スーツの鉄道青春夜行』に登場する数々のブルートレイン、また最近乗車の夜行列車についてのロングインタビュー、いかがでしたでしょうか。
紙の書籍、電子版どちらもございますので『スーツの鉄道青春夜行』
気になった方はぜひどうぞ~!
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