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Auld Lang Syneの思い出に

夏が去ろうとしている。連日の猛暑日、惜しむ気はまったく起きてこない。あまりの暑さに、夕涼みという習慣さえ過去のものになろうとしている。もはやエアコンだけが頼みである。夏の風情はかげろうの向こうに消えたのか。

懐かしい夏にせめて別れの歌を捧げたい。別れの歌というと「蛍の光」である。かつては卒業式の歌としか認識していなかったが、今はそれだけではなくなっている。
 
大学生の時に、新宿のミニシアターで観た、『哀愁』で効果的に用いられていたからである。内容の細部は忘れてしまったが、とても美しい映画だったという印象が強い。この映画で「蛍の光」のオリジナル名が「Auld Lang Syne」だと知った。主役のヴィヴィアン・リーと恋人の英軍大尉との逢瀬の終わりに流れた。それはやがてくる永遠の別離を暗示してもいた。
 
当時でも古い映画だったが、同じ回の上映を観ていた若い女性のすすり泣きを誘っていた。『風と共に去りぬ』とはまた違うひかえめな女性を演じたヴィヴィアン・リー。その美しさは黒白フィルムが際立たせていた。
 
なぜか夏の終わりに思ったのは『哀愁』だった。また観てみるか。


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