【ミヒャエル・エンデ 『モモ』】 第二部9章10章「開かれなかったよい集会と、開かれたわるい集会」と不思議なカメ
こんにちは、10月の課題図書になりますが、エンデの『モモ』を読み進めています。今回は9章と10章を一緒に書いたほうが良いなと思う。
動き出した灰色の男たち
ある1人の灰色の男がモモに漏らした一言で、彼らが実は隠れていなくてはならない存在だという事が判明した。それで、灰色の男たち、つまり時間貯蓄銀行の行員たちは、モモに脅威を感じ始める。
前の章で、街のみんなが『時間が足りないと思う本当の理由を』モモと子供たちが明らかにするための集会が円形劇場で開かれる予定だった。でもその集会が開かれなかった。時間どろぼうに時間を盗られた大人たちは、ますます忙しくなり、すっかりその集会を忘れてしまったのである。
その忙しさは、時間貯蓄銀行の男たちによって裏工作されたものだった。
ミヒャエル・エンデもナチスの時代、戦後、そして60年代からは日本に親しみを感じて、翻訳家の日本人の女性と結婚するまでになった。だから日本の戦後のことを知っていただろう。
特に、日本は高度経済成長時代で、朝も夜もなく働き詰めしてたから、エンデは日本人も大切な何かを忘れていると感じたのかもしれない。モモがいる街のビルが立ち並ぶ近代化というのは、子供の純真さの美しさを描いているだけではなく、だんだん人間性を失っていった大人たちへの警鐘だったのだ。
大変な事態を目撃したベッポ
時間貯蓄銀行の男たちによって、週末まで仕事入れられてしまったベッポだったが、1日ごみの山で作業をして疲れきって、仕事が終わってもヘトヘトで帰れずにその場で眠り込んでしまった。
そこで、モモに秘密を漏らしてしまった灰色の男の裁判が行われていた。
ベッポは、彼らに気づかれないようにして盗み聞きをした。
本来、彼らは気付かれてはいけない存在だった。だからその男1人だけならまだしも、時間貯蓄銀行の男たち全ての将来が左右する緊急事態に陥ったというわけだ。
結局その男は今まで働いて、大人たちから預かった時間全てを剥奪されてしまう。その後起きた恐ろしいことにベッポは驚く。『これではモモが危ない!』そう感じたのだ。ベッポは急ぐ。老体にムチ打って円形劇場まで自転車をこぐ。その必死さが格好良い。
10章 はげしい追跡と、のんびりした逃走
この章で、モモ以外の子どもたちは帰ってしまう。そこへモモの所に不思議なカメが現れて「付いて来い」と言う。
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