見出し画像

ズボラな生活であったとしても

娘を出産して2ヶ月が経過した。出産後の女性は、出産を境にそれまで高まっていた女性ホルモンが急激に減少することによって、心身共に様々な不調を経験するようだ。私もまた、体力がないのはもちろんのこと、突然涙が出たり、理由もないのに不安になったりと精神的にも不安定な時期を経験した。
しかし今はそのような不調も落ち着いてきた。

産後手伝いに来てくれていた母も帰り、いよいよ家族三人でも生活が始まった。私は不思議にやる気にあふれていた。
思えば丸9ヶ月ほど、お腹の中に抱えていた命が離れたのである。身も軽ければ心も軽い。やりたいことは溢れていた。家事も今までは十分にできなかったことが、今では出来る。今までずっと寝ていて家族に支えられた分、今度は自分が家庭のために貢献したいという思いもあった。
そして、乳飲児を抱えた生活にも関わらず、料理に洗濯、掃除に部屋の整理など、やれるだけのことを全力でやっていた。

でも、やりたいことを自分が満足できるまでやる生活は、早々と限界が来てしまった。
ある日の夕食の時間、時間をかけて作った料理を前にして、不意に疲れが押し寄せてきた。夫の話も頭に入らず、何も言葉が出てこない。ふいに心の中に、「何故私だけがこんなにも忙しくしているのか。夫ももっと協力すべきだ」という思いが浮かんだ。

そしてそんな思いを抱いた自分にも驚いた。自分がやろうと決めてやっていることで、夫は何も強制をしていない。彼を恨むのはお門違いである。産後まだ本調子ではないのに動きすぎてしまった。そして疲れが溜まっていたのだ。疲れていると、あらぬ不満を抱いてしまう。

私はそれから無理をするのはやめた。料理も掃除も完璧でなくてもいい。
それよりは、家族が笑顔でいられることのほうが大切だ。

新しい家族が加わってまだ2ヶ月あまり。まだ私自身がこの新しい生活に慣れてはいない。でも多少はズボラな生活であったとしても、家族と共に笑顔でいたいと思う。

いいなと思ったら応援しよう!