第二十七回 西周『人智論』

原本はこちら↓
https://www.aozora.gr.jp/cards/001323/files/54827_63524.html

現代語要約版はこちら↓
https://note.com/furutasu/n/n3c2517a260e9

智とはなにか

ひとことで言うならば、
ほかの動物にはない人間特有の「智(=理性)」とは、

ものごとの原因を分析して未来を予測する

あらゆる「知識」はこのために蓄積されている、と。

人間らしさとは

このテキストの書かれたのは明治時代。
人間の比較対象は動物です。

現代において「人間らしさ」が取り沙汰されるとき、
比較されるのはコンピュータや人工知能にとってかわってきた印象。
それらの究極目的のひとつが「未来予測」であり、
人間心理のうち「智」は、たしかに機械化されてきた分野です。

ここ半年での変化

半年前にはじめてこの『人智論』を読んだときは
「人間讃歌だなコレ」と思ったものです。
人間は「理性」によって未来を予測することで、
進歩してきた、
そして多くの先人の「理性」の蓄積である「知識」
を現代人の我々は享受しているのだなあ(感動)
と凄くポジティブな読後感だったのでした。
(『テラフォーマーズ』は当初こんなテーマだったような)

しかし、この未曾有の危機における、
デマや偏見、そして未来への不安など、
本来は人間を助ける「機能」だった理性が、
逆に人間を追い詰めている、
という皮肉を目の当たりにしている思いです。

「歴史」という統計学をひもとくと、
今後、状況がより切迫してくると、


・厳しいモラル、もっといえば宗教的抑圧
・ポピュリズム政治(人気取りのうすっぺらな)の台頭
・偏見・差別の横行
・戦争など暴力行為の支持

といった「集団的思考停止」が起こる可能性が高いです...。

しかし真の意味で「歴史に学ぶ」とは
先人の失敗や成功を自分のものにして、
困難な未来を切り開くということなのでしょう。

わたし個人としては20世紀の反省として
「思考停止」は避け、常に考え続けていきたいものです。

あらためて「人智」が試される時代なのかな、と。


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