お散歩中の「もう動きません」の決意表明。
先日、こんな光景を見ました。
家までの帰り道。
時間は夕方あたりで、まだ外は暗くなっていない頃。
車が沢山通る大通りと平行に道が延びている住宅街の裏道を歩いていた時。
坂を下って、また登ったところで、犬のお散歩をしている家族らしき人たちが見えました。
お母さんと子供(大学生くらいの男子)と思われる2人に、犬種はパグと思われるわんちゃん一匹。
そこは住宅街の裏道で車は殆ど通らないため、わんちゃんたちは道路の真ん中をゆったり歩きお散歩していました。
ちょこちょこと可愛く歩くわんちゃんと、その姿を肩の力を抜いて愛おしそうに見守る家族のお散歩風景。
わぁ、いい光景だなぁと思い、わんちゃんはまだ小柄で若く見えたので、さぞかし元気いっぱいなんだろうなぁと思った瞬間。
わんちゃんが、ぽてっとお尻を地面に落として座り込み「もう動きません」の姿勢をとったのです。
可愛すぎる!!!
そう思った私の顔が緩んだのと同時に、お母さんと息子さんの顔もほこっと緩んでいるのを発見。
その時のお母さんと息子さんの表情は、困りつつも愛おしいさが溢れるなんとも静かに優しい表情で、その光景を見てふぁーっと幸せな気持ちになっていると。
すぐ次の瞬間に、その2人と一匹の隣をたまたま通り過ぎようとしていたおじいさんがわんちゃんに向かって、「ストライキだ」と笑顔で話しかけて、ワハハと笑って、お母さんと息子さんにも笑いかけて。
お母さんと息子さんも、にっこりとおじいさんに挨拶をして、さっとおじいさんは去って行きました。
わんちゃんだってお散歩を放棄したくなる時はあるよなとは思うけど、多分私だったら「ほらがんばって歩いてー」って言ってしまう。
「ストライキだ」って笑って言ってあげられるおじいさんの寛容さというかユーモアにその場にいたみんながほっこりして、わんちゃんを無理矢理どうにかしようとしない空気が流れたすごくいい時間でした。
私はその一連の流れを見たところでちょうど道を曲がらなくちゃいけなかったので、わんちゃんがその後お尻を上げて歩き出したのか、それとも抱っこをしてもらっておうちまで帰ったのかは分かりません。
人間だって、みんなそれぞれがんばってるし、いろんな方面で疲れちゃってたりしたら、今はこんなに暑いし、「もう動きません」の姿勢をとってしまうこともあると思います。
そんな時にそれを見た人が、その人から生まれるユーモアをそっと届けて、ワハハと笑ってあげられたら、「もう動きません」と決め込んだ人の心だけでも、そっと動き出すのかも知れないな。
そんなことを思いました。
今は、フルタ丸講談「枡目街交差点」のお稽古にどっぷり浸っている毎日です。
私はまだ、わんちゃんのようにお尻を地面に落とさずに済んでいるようです。
最後まで、なんとか元気に歩き続けたいし、微力ながらも走り続けたいです。
篠原 友紀
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