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本番まで1か月を切りました!

今夜はフルタ丸講談「口車ダブルス」のお稽古でした。

前回のお稽古で完成した台本の本読みをして、今日はその部分も含め、動きのお稽古。

ひとつひとつのシーンが少しずつ形になっていきます。
どうしたらより良くなるかをじっくり考えられる稽古場に流れる空気はとてもにこやかですが、個人的にはキリリとしたりシャキッとしたりで落ち着きません。
荒ぶってはいませんが、落ち着きません。
完成した台本を前に落ち着かないのは仕方がないので、落ち着くまでこの状態と付き合っていくことにします。

お稽古が始まると控えるようにしていることがあります。
それは何かと言うと、好きな音楽を聴くことです。
感情の扉が大きく開きっぱなしになる時期に音楽を聴いてしまうと、聴く曲ごとに感情が大きく波打って揺さぶられてしまって疲れ果ててしまうからです。

音楽を一曲聴けば、映画を一本観終えたくらいの体感がやって来ます。
誰かの人生の一部を追体験してしまったような気持ちにもなり、その人を想ってなんとも言えないやり場のない気持ちになってしまったりします。
はたまた、閉じていた記憶とか感情が呼び起こされて、それを今自分はどう思うの?と突きつけられたりすることもあります。

楽しいも嬉しいも、悲しいも怒りも、前向きも後ろ向きも、同時にどわーっとなだれ込んで来るので、頭の中が大忙しになります。

聴く曲の数だけ、タイムトラベルしてしまい、感情が大変なことになります。

昨日、いけないと思いながらも、一曲だけ…なんてうっかり音楽を聴いてしまったら、止まらなくなりどばーっと聴いてしまい、ぐおんぐおんと掻き乱される自分の感情に驚いてしまいました。

ミュージシャンの方が、激しすぎない、かといって落ち着き過ぎない軽やかな曲を作るのは、自らの感情を落ち着かせるため、高ぶる自分を突き放すためっていう面もあるのかななんて思いました。

そんなことを考えながら帰りの電車に乗っていると、楽しげなにやけ笑いが溢れてしまっているお仕事帰りと思われる男性にふと目が止まりました。
ドア付近に立っているその人は、メガネをかけ、黒っぽいスラックスに白いワイシャツ。
髪の毛は天然パーマかな。
年齢は20代後半くらいかな。
手にはリュックサックを持っていて。
周りの人がスマホに夢中になる中、彼はスマホを手にせず、何かを思い出したような表情をした後に、にこーっと笑いが小さく溢れてしまっていました。
その一瞬のにこーがとても幸せそうで。

夕ご飯はもう食べたのかな。
おうちに帰ったら食べるのかな。
何を観たり聴いたりすると幸せになるのかな。
明日も元気に目覚めるためには何が背中を押してくれるんだろう。
明日もがんばってください。
なんて思いながら、電車を降りた私は私に「お前ががんばれよ!笑」と声がけしていました。
お前がんばれ!
わたしがんばれ!
彼のにこーっを目撃したことで、自分にエールを送れました。
ありがとうございました。

よしがんばれ!

篠原 友紀

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■フルタ丸講談vol.3『口車ダブルス』

講談+現代劇で描くフルタ丸講談の第三弾は、
言葉のガソリンで回り続ける保険屋たちの群像悲喜劇!


日程:2024年7月10日(水)~14日(日)
会場:下北沢 小劇場B1

ご予約:https://ticket.corich.jp/apply/318102/

公演の詳細は特設サイトでご覧いただけます。


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