場の作り出す創造性
かつてパリのカフェに多くの芸術家が集い議論を重ねていたのは有名な話です。
1870年頃、パリのモンマルトルのカフェ”ヌーヴェルアテネ”ではロートレック、ドガ、セザンヌ、ルノワール、モネといったメンバーが集い、たびたび議論を交わしていました。
このように大勢で知識や議論を共有すると短時間で莫大な知識を学習でき共有知が作り出されます。
知や情報を個々人に内在しておくだけでは当然のことながら共有知は創造されません。人が集まり、議論を通して共有知を築き上げ、さらにそれを足場にして個々人がまた新たな発想が生み出していく。このような環境が存在したことこそが19世紀のパリで芸術が花開いた最大な要因でしょう。
19世紀末から20世紀にかけて、パリでは中心となる場所を変えながら、ピカソ、マティス、そしてレーニンやサルトルなど数多くの世界史に名を刻んだ人々がカフェで議論を重ねていました。
モンマルトル時代のピカソ
このように議論を重ね、共有知という足場ができると高速に、そして一人では決して到達し得ない境地へと踏み出していけます。これは一人で思索に耽っていてはほぼ不可能でしょう。
これは当時のパリのカフェに限った話ではなく、いつでもどこでも同じだと思います。
議論を重ねること。そして多角的な視点を受け入れて自分の視野にない目線を知ること。これが成長のきっかけを与えてくれると思います。
とは言え議論するに値する持論、そして議論できる相手がいること、そしてテーマそのものの基礎に精通していることが前提となりますが。
こうした環境に身を置くことができれば、ものすごい速さで成長でき、かつ一人だと想像もつかないような境地に足を踏み入れることができると思います。
自らの専門分野の研鑽に日々励みつつ、時には場の作り出す創造性に身を委ねてみるのも良いかもしれません。