見出し画像

高城砦(たかつきとりで) 〜風は山河よりの現場〜

東名高速道路新城PA付近にある城、五葉城。(新東名高速ではありません。)
今回の高城砦は五葉城と繋がった城。今川義元が桶狭間で横死した後、東三河の国衆が今川氏から徳川氏についた際、今川氏から攻撃された菅沼定盈は嵩山の西郷氏を頼り、五葉城と尾根伝いの高城砦にいたことがあります。また、武田信玄の奥三河侵攻の際にも、急拵えだった大野田城を放棄してここを通過したとかしないとか。
宮城谷昌光さんの小説『風は山河より』(新潮文庫)5巻には章の名前が「高城の砦」(171ページ〜)と、そのまんま利用されていたりします。
今回は、近いけど行ったことがなく、気になっていた五葉城へ向かったところ、高城砦が意外に面白かったので、独立した回としてまとめてみました。

大原調整池付近は整備されていて、こんな立派な駐車場が。ただ、トイレは使用できなくなっていたので、ご注意ください。

画像1

そこから、歩き始めます。近年、整備が進んでいるので案内看板が迷いそうなところにわかりやすく出てくるので安心です。
進むこと15分くらい。林道関係者以外立入禁止、と記載された大きな門が。相当頑丈で中に入れないのでは…、と、心配したのですが、

画像3

歩行者は脇から入れます。正面からだとわかりにくい。

画像4

最近の登山ブームのせいか、非常に多くの方が登っていました。登山者と城好き。似たルートを歩くのですが、格好が違う。軽装で、登山ルートから外れた地表面観察をしたがるのが城好きです。ここは、地元の財産区的な部分もあるせいか、非常に整備された林道となっています。歩きやすいのですが、地味に坂がきつい

画像5

途中、案内看板があり、宇利峠へ行く道もある。

画像5

ここから歩いて宇利城いけるのか、と、思うと、思わず行きたくなりますが、今日の目的は五葉城。なので右へ進路を取り歩き続ける。3km程度で350m程度登ったでしょうか。いくつもの尾根を抜けていくと、頂上付近に到着。先に五葉城が登場しますが、一旦、そこを抜けて高城砦へ向かう。

画像6

五葉城は、北、東、西斜面は斜度がきついのですが、南側は尾根と繋がっている。そのため、尾根と繋がる方面の防御と物見として高城砦が築かれたのでしょう。実際、高城砦は五葉城よりも高い位置にあります。五葉城本丸付近から高城砦を望むとこんな感じになります。(写真中央の山が高城砦)

画像7

高城砦の入口。この看板の右手側の高い方へ行くのですが、道が左右に分かれて迷いました。向かって左の道が高城砦への道です。ご注意ください。

画像8

この後、突然、とんでもない斜度の斜面が登場。度肝を抜かれます。

画像9

例によって写真では伝わりづらい問題が発生。ちなみに、ここは滑りやすい斜面で、帰路に一度足を滑らせて尻餅を着きました。スキーやインラインスケートでコケなれた自分でも、斜度がキツくて一気にズサッと落ちそうになるので油断がならない。カバンを取り落とした映像がありますので、斜度が伝わると良いのですが。

画像10

写真中央ネズミ色のカバンが私のものです。その先にはペットボトルの水が。事故現場みたいな画像になってしまいました。どうも、その時の影響でしょう。今、タイピングする左人差し指が痛い。。。
高城砦の図面はこんな感じ。(現地案内看板)
私が登ってきて、帰りにコケたのは下の画像左側です。基本、登れない場所、と、考えていいでしょう。

画像11

一の曲輪には土塁というか、自然石を活かした高まりがあります。土塁とし、物見として利用していたのでしょうか。

画像12

この城、きつい傾斜を活かして曲輪ごとの高度に結構な差があります。

画像13

そして、その曲輪を丸く囲うように土塁が築かれています。この丸さ、横堀的な感じ、今川に逐われた菅沼氏時代のものというよりも、もう少し後の時代のように感じます。見ようによっては丸馬出?と、思いながらも、両端に道がなく斜面になってしまっており、ちょっと違うか?
『愛知の山城ベスト50』(サンライズ出版)では、武田氏の三河侵攻に伴い、家康の手により築き上げられ陣城として機能した(196ページ)、と、あります。

画像14

ただ、やっぱり土塁という人工物を見ると興奮してしまうのは城好きの性ですね。上の写真のような遮蔽しようという意思をもった土の高まりを見つけると、うひゃー、と、騒ぎ立ててしまいます。山中に一人ですが。わかりにくいので、横から見た写真もお付けします。

画像15

設楽城(東栄町)の丸馬出を彷彿とさせる!
単なる自然地形を活かしただけの曲輪配置なのかな、と、期待せずに行ったため、うねる地形に関心しきり。予想外に良い造りで興奮してしまいました。木々が多いため、冬じゃないとここまで見られないと思います。いい時期に来たものです。

画像16

高城砦は高低差と丸い土塁を組み合わせた造りで土も滑りやすいため、攻めにくかったと思います。山自体の標高も高く、尾根でつながりながらも、ぴょこんと飛び出た山頂となっており見晴らしも良い。ただし、水の手がどこにあったのか。運んだのでしょうか。それは、相当辛いと思う。

五葉城がメインでしたが、高城砦があまりにも良かったので、これだけでお伝えする回となりました。五葉城は、次回詳しく。

高城砦 新城市富岡字南川

いいなと思ったら応援しよう!