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おやときどきこども

読んだ本

鳥羽和久さんの著書『「学び」がわからなくなったときに読む本』を手に取りました。子供との向き合い方について深く考えさせられる内容で、あとがきにもありましたが、自分の子供時代を思い返しながら読み進めました。ハッとさせられる部分が多く、何度でも読み返したくなる本だと感じました。特に印象に残った内容を、自分なりに咀嚼して以下にまとめました。

  • 大人が子供に言うことは、大人の価値観に基づくものが多い。それが時には押し付けになっていることもある。子供ができないことには、大人自身がかつてできなかったことが反映されている場合がある。

  • 絶対的な「正解」のストーリーは存在しない。一つのストーリーに縛られすぎると、自分や他人を責める原因になってしまう。

  • スマホとの付き合い方について、親も経験がないため明確な答えはない。葛藤しながら共に考えることが大切。

  • 子供に意志を持たせることは、同時に責任を負わせることでもある。その結果、親自身が子供を追い詰めてしまう可能性がある。

  • 存在を肯定することが主体性を育む土台となる。これが欠けると、子供は外の価値観に流され、自分を見失ってしまう。

  • 親と子供の関係は一方通行ではなく、双方向の対話が重要。子供にも言い分があり、親にも本音がある。それらが共有されないまま物事が進むのは、不幸を招く。

読んでみて

鳥羽さんの文章からは、子供を深く観察していることが強く感じられました。一つひとつの言葉が実際の現場から発せられているようで、非常に説得力があります。特に、無意識にカンニングをしてしまう子供のエピソードはとてもリアリティがありました。この話を読んで、自分が塾でカンニングされていたことを思い出しました。当時はただ困惑していましたが、今になって振り返ると、その相手にもそうせざるを得ない事情があったのではないかと初めて考えることができました。

また、受験は「子供のため」と言われがちですが、実際には親が安心するために企てられる面もあるのだと改めて認識しました。そんな中で、子供の様子をありのままに捉え、正解のない状況に親自身も葛藤を抱えながら向き合っていくことが大切なのだと感じました。この本は、そうした葛藤をあきらめではなく、前向きに受け止めさせてくれる一冊です。

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