中島たい子「結婚小説」
【あらすじ】
主人公は39歳の女性、本田貴世(ほんだきよ)。
小説家。
独身で彼氏もなし。
担当編集者に言われるがまま結婚をテーマにした小説を書くことになる。
小説執筆のため、結婚とは何か、幸せとは何かについて模索していくうちに彼女の人生も大きく動き出し、ラストの決意へと向かっていく。
【感想】
中島たい子さんの小説を読んだのは初めて。
とても面白かった。
文章のリズムや言葉のチョイスに、そこはかとないおかしみがある。
たとえば、湿度でふくらみやすく、まとまりにくい髪質の表現。
不燃ゴミの日に捨てられた五月人形の金太郎みたいな頭になっている私を見て言った。
「幸せ」=「個人的な世界を持つこと」という図式はなんとなく分かる。
普通に働いて普通に生活しているだけでは、いつか何かが物足りなくなる。
結婚して家庭を持ち、子供を産み育てること。
それが物足りなさを埋めるための、今の社会的にはベタでベターな「個人的な世界」の創造なのかもしれない。
でも、貴世には小説を書くという「個人的な世界を持つこと」の最たるもののような仕事がある。
そんな彼女が最後に取った選択肢は、なにも拒否しない、何も諦めない、希望に満ち溢れたものだった。
私自身は結婚しているが、結婚という形の欲しい部分だけを享受しているという実感がある。
子どもを産み育てることには興味がないので、今のところ子作りする予定はない。
フルタイムで働くのはキツイと常々感じていたので、週3の扶養内パートをさせてもらっている。
夫が休みの日は色々と家事をやってくれるので、ダラダラ過ごすことができる。
普段の家事、たとえば皿洗いや料理に関しても、私がやったことに対して夫は毎回ありがとうと言ってくれる。私も、やってもらったことに対してはありがとうと言うようにしている。
結婚なんて面倒で窮屈な枠組みだと思っていたけれど、いざ結婚してみたらとても生きやすくなった。
そのことに対して私は夫にとても感謝しているし、この人と出会えたことは確実に人生の中の奇跡の一つだと思っている。
私は結婚という形を選択した。
この枠組みの中で、どんなふうに生きていきたいか、これからも模索していこうと思う。
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