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サテンdeサザン

#サテンdeサザン
#澁谷直角
#小学館 #ビックコミックオリジナル

■内容
コーヒー店を経営するのが夢だった夏海リョータ31歳。アパレルを退社して、叔父が手放した喫茶店を引き継ぐことになった。
改装してお洒落な店をオープンさせようと夢輝かせていた。
ところが。お店の再開に喜んで押し寄せた元常連客のおっさんたちは、店内でばんばん煙草を吸うし、BGMにサザンのレコードをかけるよう強制してくる。
全然お洒落じゃないし、時代に合わせられない喫煙者たちのたまり場じゃないか。絶対、お洒落な店にしてやる。喫煙者は出禁にしてやる。

でも、あれ、気付くと、居心地のいい店になっているぞ。おしゃれじゃないけど。

お店のせいで彼女に振られたり、振り回されてばかりの夏美。でも、くやしいけどいつの間にかこの店が大事で、守りたいものになっていた。
都市開発による立ち退き問題、常連さん達の人間模様、夏美の恋。今日も「緊張感ある贅肉」はオープンする。

■感想
光石研さんのインスタで紹介されていたのをきっかけで読んだ。
なんか、わかる。
お洒落な内装やオブジェ、どこを切り取っても絵になるような隙のないカフェが好きなわけじゃなくて。お客さんの趣味嗜好にめちゃくちゃにされて、煙たくておんぼろで、雑多で。いつも暖かくて。居心地のいい場所ってそうやって出来上がっていくんだな。

居心地よくて自分の家より入り浸ってしまう人の部屋を思い出した。あれは何なんだろうな。そこに生活があって、なんか安心するんだ。
あと、読んでみてあらためて、帯の一言が適格過ぎて、この言葉考えた人凄いと思った。

変わる時代の中で振り落とされていく人やモノたち。
実はかけがえのないものを自ら壊してしまっているんじゃないのって、この作品は訴えかけている気がする。

■印象に残った言葉
・誰かに嫌われても社会や時代にうまく合わせられなくても、きっと受け入れてくれる。そんなお店なんです
・誰だって失敗するし、言いたくない過去もあるよ。むしろそーいう人のほうが優しい人多くない?
・でもボクはね…みっともなくてもいいんだ!どんなにダサくても、ミジメに思われても…あるときから自分にウソをついたりカッコつけるのはやめたのさ。それで失くしたものは、二度と戻ってこない。
・ナツミさんってホントにずっと…自分より先に「誰か」のことを思うんだね。それで損ばっかりしてるのに…バカみたい。でも、素敵だと思う。私はナツミさんのそーいうとこが、好きだよ
・ぜんぜんオシャレじゃないけど…なんか居心地いいから。オシャレじゃないけど!
・世の中にはいろんな人がいるもんで…それぞれに大切なものがありまして…そういう…誰かの大切なものを思う気持ちっていうのは、伝播して自分にとっても大切なものになっていくんですよね…


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