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冬うらら * チェンマイ

【チェンマイ俳句毎日】2024年11月11日

バリスタの友人が3タイプのドリッパーを使ってコーヒーを淹れてくれた。同じ豆を同じように淹れても、ドリッパーによって変化する味を飲み比べてみましょう、という。
まず、一口目を飲もうとしてカップに口をつけた瞬間、ふわっと立ちあがるコーヒーの香りにまばたきをした。温度(89℃)や湯の雫を落とす間隔、場所などコントロールしながら丁寧にドリップされたコーヒーは、こんなにも香りが引き出されるものなのか。飲む前からこんなにも驚いて、今までの飲み方が急にもったいない気がしてきた。
味の方は甘みが引き出されていて雑味がない。3つのドリッパーごとに酸味などに変化があり、確かに違っていた。
友人の説明によれば、3つのドリッパーは、それぞれ内側のリムと呼ばれる溝の深さが違っていて、それによって落ちる早さ、全体が混ざり合う割合に違いが出て、それが味の差になっているとのこと。その差は、疲れきった時に休憩にがぶがぶ飲む(それはそれでおいしいけど)感覚では気付かない、ごく微細なものだ。
お店でこの淹れ方をしていたら、お客さんを待たせることになるけど、プレッシャーになったりしない?と友人に聞いてみたら、ドリップをしている間はすっと集中できて気分がいいのだという。淹れる人も飲む人も、瞑想的でリラックスした時間が得られる喫茶って素敵だなと思う。
何年も食べたことがないような繊細な和菓子も作ってくれて、コーヒーの奥深さを知ると共に、友人の才能や繊細な感覚にじんわりと感激した1日だった。

珈琲のドーム膨らむ冬うらら


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古川節子
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